妻への手紙 -3ページ目

眩しくて 目の奥が痛いくらいだった

12月の遊園地は、とても寒かった。

雪乃のはく息が
一息ごとに白く 大気へと溶け込んでいた。

メンバーは男が3人。
僕と高橋と三本木、
いつものメンバーだ。
そして、女の子は2人だった。
雪乃ともう一人。そして後からマキが来る。

僕らは、不公平にならないようにと
乗り物の席順をじゃんけんで決めた。

「グーチョキパーッ!」

僕は、エリという子と
グルグルと大きく回転をするジェットコースターに乗る事になった。

三本木と雪乃がもう一組のペアで
高橋は一人で乗った。

次に、地下にある お化け屋敷に入った。

席順のじゃんけんは、
三本木とエリがグーを出し、
高橋と雪乃がチョキ
そして僕が一人になった。

お化け屋敷から出ると
出口近くのコーヒーカウンターでマキが待っていた。

「あらっ。 マキちゃんじゃない。
 待ってたわよ~。
 さぁさっ、ジェットコースター乗りましょ。
 マキちゃんが来るまで乗らずに待っていたんだからっ」

高橋がまた、おかしなオカマ言葉で調子のいい事を言い、
僕らは、ジェットコースターに乗る事になった。


ジェットコースターは、
高橋とエリ
三本木と雪乃
僕とマキの組み合わせになった。

僕は、じゃんけんの度に
ただひたすら雪乃の手元を見つめ、
雪乃が最初にチョキを出せば、
次の乗り物の最初には僕もチョキを出していたのに
なかなか雪乃とおなじものを出すことができずにいた。

少しずつ日が暮れ
辺りがすっかり寒くなった頃、

「夜景がきれいだろうねー」

雪乃が上を見上げながら言った。
見ると、そこには大きな観覧車がそびえていた。


「グーチョキパーッ!」


雪乃がグー
そして僕もグーだった。

慌てて周りを見渡した。他にグーを出した奴はいなかった。



観覧車から見る東京の夜景は
眩しかった。

“何を話そう”
そんな事を考えているうちに
僕ら二人を乗せたボックスは、もう真上近くまで来ていた。

まだ半分あるはずなのに
僕は、もう焦り始めていた。

雪乃との時間が終わる―

そして、ちょうど真上に差し掛かった時、
雪乃が窓の外を見ながら言った。

「ね。上杉くん、真上だよ。
 ここで止まっちゃったら、どうしようか?
 怖いけど、楽しそうだね。
 そう 思わない?」

雪乃の横顔に
東京のキラキラとした明かりが反射して
眩しくて
目の奥が痛いくらいだった。