今回は前回の「錬金術」「黄金」と関係の深いお話……北欧神話の魔女に関するエピソードについての考察したいけど、その前にマクロスの繰り返し構造についても触れておきたいかも🍎……数回連続で投稿する予定……
神話バレ注意かも
マクロスの河森監督は同じことはやりたくないとよく言っているのはファンには有名かも
にもかかわらず……度々似通った場面やストーリーが繰り返されたりするのがマクロス……
細かな演出だと……
『愛おぼえていますか』のリン・ミンメイ様のステップを意識したワルキューレ5人のステップとか……
エース死亡フラグとして有名なパインサラダとか……とにかくいっぱいある
あと絶対絶対に欠かせないのが~ラスボス決戦での決まり手……
~エース単機突入~
一条輝ドクトリン
マクロスファン的にはこれらの繰り返しは過去作オマージュとされていて、その場面を探すのもファンの楽しみ方のひとつだったりする……
あとは……私はRT当時は知らないけど、ちょっとファンの間で物議をかもしたらしい……マクロスFの電脳貴族とマクロスΔのロイド・ブレームの目的がほぼ同じだったこととか……
私の神話大好き目線では目的が同じだった理由は思いつかないわけではないけど……電脳貴族もロイドもプロトカルチャー・システムを通して誰かに操られていただけ……同じ奴かどうかは分からないけど目的は同じだった……みたいに予想してるけど
誰かが夢でゲペルニッチを操って作らせたスピリチア・ブラックホールなんかも含めて……
このオマージュシーンや繰り返し表現の多用は北欧神話等に頻出する繰り返し構造を意識したものだと予想している……
北欧神話は似通ったストーリーが何度も出てきて……むしろ複数回繰り返すことで物語が一回完結したりする……
そもそもギリシャ神話と違って北欧神話にはラグナロクという終末論があって、またその終末の後に再生の物語が続くところが特徴……私は勝手にこの“終焉と再生”の構造は「ギュルヴィたぶらかし」の法則と呼んだりしてる……この“終焉と再生”を意識して「繰り返す」こと自体に意味があると思ってる……
アニメ本編じゃないけどゲーム「マクロス30・銀河を繋ぐ歌声」の舞台になった惑星ウロボロスの名前の元になったギリシャ神話のウーロボロス(Ouroboros,古希: ουροβóρος)は蛇が自らの尻尾を加えた構図の円環で「終焉と再生」が未来永劫続く世界様を表した象徴図……
An ouroboros in a 1478 drawing
an alchemical trac
マクロス30やヴァリュアブルファイター・マスターファイルによるとS.M.Sウロボロス支社長アイシャ・ブランシェット様によって、悠久の蛇で象徴されるクロノス・カイロスと続く時間神シリーズの可変戦闘機が開発されるのも、この繰り返し構造をマクロスが重要視しているからかも……
グノーシズム(サブユニバース)とも関係が深い時間神ズルワーン・アイオーンも獅子頭蛇体だったりするし……ここで“ライオン”が出てきたね……
アイシャの名前もアラビア語で“末永く生きる”という意味だしね……
「ギュルヴィたぶらかしの法則」は「ウーロボロスの法則」と呼んでもいいかも
なんかそっちの方が響きがかっこいい気がする
関係ないけどマクロス30を最新機種やPCやSteamに移植して欲しいかも
“終焉と再生”「ギュルヴィたぶらかし」の過去記事↓
あと世界の神話共通で言えることだけど、神話は過去の権力者が自身の支配に都合がよいように書き換えられたり創作されたりしてきた歴史があったりする……
古代において北欧・ドイツで国家・民族が成立し始めると同時に、支配層は自分たちが北欧神話の原初の神々・アース神族の直系子孫であることを宣伝して、その支配を正当化しようとする……そのために最高神オーディンやフレイ・フレイア等の原初神以外の登場人物(多くは現支配層の祖先がモデル)が異なるだけで、中身は似通った神話エピソードが国別や民族別に改造されて出現するようになる……これも繰り返し構造が生まれた原因の一つ……
これが学術上の対立までになったのが過去記事でも取り上げた……
ジークフリード・シグルズの起源論争
ジークフリード(大陸ドイツ名)とシグルズ(スカンジナビア名)のどちらがオリジナルでどちらがコピーかという学術論争……つまり大陸ドイツ人とスカンジナビア人のどちらがアース神族最高神オーディンの正統後継者なのかという民族や国家のアイデンティティーに関わる議論……
これをそのまま地球人とウィンダミア人のプロトカルチャー正統後継者の座を巡る闘争に当てはめたようなマクロスΔシリーズはまさに“神話学劇”だったと思ったりする……
ジークフリード・シグルズの起源論争の過去記事↓
そして北欧神話は同じ欧州のギリシャ神話よりもむしろ古代インド・イラン・ペルシャ方面の神話の影響を直接的に受けていると言われている……
世界神話を再構成してプロトカルチャー神話を組み立てつつあるマクロス・サーガでは、同じ北欧神話エピソードであってもその源となるより古い時代の神話との関係性を反映したバリエーション的な物語も展開したいという意図があるのかも🍎
今回はその繰り返し構造の代表的なもの……
ヒロインの敵地単独侵入のエピソードが3度も繰り返されていることについて考えたいかも🍎
一度目 ミリアのマクロスへの単独潜入
二度目 シビルのマクロス7船団への単独潜入
三度目 美雲のウィンダミア潜入作戦での単独行動
この敵地潜入物語はおそらく北欧神話のエピソード……
「魔女グルヴェイグのアースガルド侵入」
……に基づいたものだと予想している……
3度繰り返したこともマクロス制作陣の神話解釈を表現した可能性が高いと思う……
それは魔女グルヴェイグは三回処刑されて三回蘇って死ななかったから~しかも生まれ変わるたびに魔法力~特に洗脳魔法の威力が上昇したらしい
たしかにミリア⇒シビル⇒星の歌い手・美雲と超能力お化け度が増してはいる
これを表現するためにはどうしても別キャラクターを立てて3回する必要があった……とか❓
The Æsir lift Gullveig on spears over fire
as illustrated by Lorenz Frølich (1895)
そしてマクロスがこの神話エピソードにこだわっている理由はいくつか考えられる🍏
ひとつは……
このエピソードから読み取れる~
北欧神話アース神族の「黄金」への欲望
……マクロス的には……
プロトカルチャーの「スピリチア」への欲望
……を示唆する物語であるということ……