ゲンドウとユイ~消失した形而上学の女神ウーラニア― 博愛と天文学・占星術を司る六分儀のミューズ
新作制作予告もあった30周年企画が続くエヴァ界隈だけど……30周年企画はまだまだ目白押しみたいで、全国各地で展開される30周年記念展「ALL OF EVANGELION」やら、『エヴァンゲリオン』 シリーズ初、映像とともに楽しめるコンサート「BACK TO NEON GENESIS」や「エヴァンゲリオン」ウインドシンフォニー2026などの音楽系ライブ企画も開催されるらしい……Amazon Music Podcastsの「FM EVA 30.0」も楽しそうだね……エヴァンゲリオン公式サイト Newsエヴァンゲリオン公式サイトwww.evangelion.jp今年2026年の1月~2月にかけて旧エヴァ『新世紀エヴァンゲリオン』とその劇場版二作品に関しての予想妄想迷想記事を書いたけど、物語の内外の構造(北欧神話・グノーシス主義・フロイトとユングの対立)とキョウコ・アスカの惣流母子のお話をしただけで、碇シンジ・綾波レイを始めとする他の主要キャラクターについては、まだ記事を書いてなかった……『『新世紀エヴァンゲリオン』は神話的宗教的な象徴解釈だけでなく構造解釈も可能な作品かも?』寒い❄:;((>﹏<๑));:❄カナダでマイナス30℃を経験したことがあるけど、今回のマイナス12℃の方が体感的に寒く感じる🥶食事はまぁ日本に比べればアレだけ…ameblo.jp『新世紀エヴァンゲリオン』キョウコとアスカ・縊死・槍・隻眼は“狂気の神”オーディンの智慧の代償『新世紀エヴァンゲリオン』旧劇ENDは超巨人ユミル殺害解体と血の洪水神話?~2つの北欧終末神話アスカとフレイア~ゼウス・プロメテウス・オーディン・デミウルゴス~創られし人類創造者旧エヴァTV版・最終2話はユング派セラピー「箱庭療法」に放り込まれたフロイト派のシンジ君?今回はシンジパパの「碇ゲンドウ」についてチョットだけ予想妄想迷想を語ってみる!!まずは旧エヴァが制作された頃の時代背景から……(1)キャラネーミングに影響大?1990年前後の字源・語源ブーム過去記事でキョウコ・アスカの惣流母子のネーミングについて、漢字の語源やモデルになった艦艇名に隠されたキーワードなんかを色々と語ってみたけど……おそらくコレは1980〜90年代にかけての文芸サブカル雑誌を中心に拡大した衒学的ムーブメントが影響してるかも🍎1984年に発刊されてベストセラーになり後に毎日出版文化賞特別賞を受賞した漢文学者・白川静博士の著作『字統』……『新世紀エヴァンゲリオン』が企画製作された1990年代は、その名著『字統』等を端緒とした一大「字源ブーム・語源ブーム」が文芸サブカル界隈で沸き起こっていた時代らしい……字統Amazon(アマゾン)エヴァンゲリオンと同時代のマクロス作品にも言えるけど、字源研究や歴史学、さらには多言語要素などを重層的に詰め込んだアレゴリー的性格を持ったキャラクターネーミングは、当時のサブカル界隈の思想的潮流を反映したもので、2020年代の現代においても盛んに使われているのかもしれない……下の過去記事では、旧エヴァにおける惣流親子のネーミングに込められた様々な仕掛けを予想妄想してみたけど、もはや執念を感じるレベルの凝り様で、凄かったね💦『『新世紀エヴァンゲリオン』惣流キョウコ・ツェッペリンとアスカ・ラングレーの名前を予想妄想してみた』今日は惣流母娘の名前をアレコレ予想妄想迷想してみたの前半になりそう🍏その前にちょっとだけグノーシス主義について簡単に触れておきたいグノーシス主義を語りだした…ameblo.jp(2)碇ゲンドウの旧姓は「六分儀ゲンドウ」惣流親子に凝りに凝ったネーミングを導入した以上、惣流母子以外のキャラクターネームにも何か仕掛けがあっても不思議ではない!!当然、シンジパパの碇ゲンドウの名前にも何らかのギミックが仕掛けられている可能性があるけど、シンジ・ゲンドウ・ユイという超重要キャラクターに共通する「碇」の姓に関しては、シンジのお話をするときに語ってみたい🍎今回、金銀りんごが注目したのは碇ゲンドウの旧姓「六分儀」『新世紀エヴァンゲリオン』では碇ゲンドウは入り婿養子として碇ユイと結婚したことになってて、元々の姓名は「六分儀ゲンドウ」……ところが金銀りんごはまだ「序」しか見ていない新劇場版では設定が変更されていて、六分儀ゲンドウの入り婿設定は無くなって、碇ゲンドウは最初から碇ゲンドウであって「六分儀」という姓も無かったことになっているらしい……そのあたりはまた新劇場版を観てからだね🍏(3)六分儀は現在地の緯度経度を知るための観測機材六分儀(sextans)とは、主に船上で天体(太陽、月、星)と水平線との角度・高度を測定し、現在地の緯度・経度を算出するために使われる携帯用反射計測機器のこと…円周の6分の1(60度)の目盛盤を持つことから六分儀という名称がある…同じような計測機器には円周分割数の違いで旧式の八分儀があり、それを改良したものが六分儀ということになる……六分儀の場合は、鏡の反射を利用して最大120度までの角度を測定可能であり、18世紀中盤に発明されて以来、1990年代にGPSが開発・展開されるまでの約250年間において最もよく使われた航海用観測機器だった……GPSの普及により法的装備義務は無くなったものの、電源トラブルや太陽フレア、人為的な電波妨害などの諸問題でGPSが万一使えなくなった場合でも使用可能なので、商船や軍艦の船乗りたちには欠かせない装備であり、現在も訓練が行われている……また六分儀は船舶航行だけでなく天文学や宇宙工学分野でも使われる機器である…特に天文学分野では17世紀以前から大型六分儀が使われていた……そして望遠鏡を使わずに、その天体観測用大型六分儀を使って肉眼で天体観測を行った著名な天文学者がいる……(4)消失した形而上学の象徴としてのウーラニア―と碇ユイ「六分儀」のネーミングを聞いた時、もしかすると占星術を研究してたファンならピンときた人もいるんじゃないかな❓SextansUraniaeセクスタンス・ウーラニアー六分儀ウーラニアー天文学者ヘヴェリウスの火災で失われた天体観測用六分儀などの観測機器の象徴的総称がウーラニア―なんだよね🔭ウーラニア―はギリシャ神話の天文学・占星術の女神……つまりエヴァンゲリオンの起動実験中に消失した形而上生物学者・碇ユイが、焼失した天体観測器具・六分儀ウーラニア―~天文学・占星術を司る天上の至高の女神~に相当するんだろうね⭐(5)炎に消えた六分儀は自然神学の女神の星座になった17世紀のポーランドの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスは1679年の火災事故によって自身で構築した天文台(「星の城」と呼ばれていた)と愛用の六分儀などの観測機材・蔵書・未発表の膨大な研究データなどの重要資料を失ってしまう……へヴェリウスの天文台「星の城」と設置された巨大空気望遠鏡の版画この六分儀は、望遠鏡を使わない「肉眼観測」において当時の世界最高峰の精度を誇っていた特別なものであり、天文学の女神ウーラニア―を始めとしたギリシャ神話の女神たちの彫像によって装飾されていた……ヘヴェリウスと後妻エリザベートによる真鍮製六分儀での天体観測(1673年)へヴェリウス自身、そして当時の天文学者たちは天文学を「女神ウーラニアに仕える神聖な行為」とみなし、自分たちを「ウーラニアーの従者」と呼んでいた🍎16世紀のコペルニクスの地動説や望遠鏡の発明などで、徐々に占星術から科学への方向転換を始めていた天文学……それでも17~18世紀の天文学は純粋な科学というよりも「宇宙の完璧な秩序は、偉大なる設計者(神)の存在を証明するものである」と考える「自然神学」の影響下にあったから、まだまだ形而上学である神学と分離して考えることは困難だったらしい……つまり天文学は形而上学の要素がまだまだ濃かった時代ということだね⭐当時、天文学の世界では既に望遠鏡が普及し始めていて、へヴェリウス自身も全長45メートルにも及ぶ巨大空気望遠鏡などを制作したけど、その精度に満足できず、あえて「肉眼と精密な目盛り」による観測にこだわったんだよね……ところがその自慢の天文台も観測機器も火災で失われてしまった🔥多くの星座は古来、神話を背景とした命名がなされているけど、実質的に対象が死亡した後に天上に上がる・貼り付けられるなどのパターンの星座誕生神話が多い……ヘヴェリウスは自身の労力と資材・情熱・愛情を注ぎ込んだ観測機材やデータ類を憐れみ、赤道付近にあった未命名の星座(しし座とうみへび座の間にある)に対して次のように命名した……六分儀ウーラニアー座Sextans Uraniaeヨハネス・ヘヴェリウス『Prodromus Astronomiae』(1690)に描かれた Sextans Uraniæ多くの観測業績をあげ「月面地形学の創始者」とまで呼ばれた著名天文学者へヴェリウスの発案と言うこともあり、彼の死後にその名称は正式採用されたものの、国際天文学連合(IAU)による名称簡略化措置により「ろくぶんぎ座」が天文学界隈で定着することになったらしい……(6)へヴェリウスはビール職人から市議会議長・天文学者で貴族になった凄い人ヨハネス・ヘヴェリウスは元々は裕福な醸造商人の家庭に生まれ……後にヨーペン・ビールの製造販売で大成功し、また法学にも明るくグダニクス旧市の市議会議員・市議会議長として活躍……さらに28歳の頃から始めた趣味の天文学では、いくつもの研究業績をあげたことから、ポーランド王室はじめフランス王室など各国の有力者とも懇意になり、とうとう「貴族」にまで出世してしまった傑物💫Johannes Hevelius (1611-1687)精密な月面観測を行い著作『Selenographia, sive Lunae descriptio 』(1647年)で「月面地形学の創始者」の名声を不動のものにしたんだよね……彼は先妻に先立たれて、後妻を迎えるんだけど、後妻となったエリザベスも天文学者だったので、へヴェリウスの死後に彼の業績を発表したのは後妻エリザベスだった……(7)天文台「星の城」火災と「六分儀ウーラニア―座」の誕生1679年9月26日、当時68歳だったへヴェリウスはポーランドの都市ダンツィヒの別荘に滞在中に、へヴェリウスが雇用していた御者による蠟燭の火の不始末により、彼の天文台「星の城(ステラブルグム)」は火災により全焼してしまう……なんでも当時13歳だった娘カタリーナと近隣住民が必死で窓から書斎の資料類を放り投げるなどして救ったために、『星図(Prodromus Astronomiae)』の原稿など、一部の重要な記録だけは奇跡的に助かったという逸話があったらしい……またへヴェリウスはこの火災を御者による故意の放火の可能性を疑っていたとか……その理由は御者が大切な馬を救出することも、消火を手伝うこともなく逃亡し、そのまま行方不明になってしまったから……不注意による失火の放置もしくは故意の放火の可能性に思い至ったらしい……その御者は当局の捜査にもかかわらずそのまま行方不明に……でも彼はめげなかった……「火災によってすべてを失ったが、私の精神まで焼かれたわけではない」彼の業績の素晴らしさを知っていた有力者の資金援助もあって、へヴェリウスは短期間で天文台を再建し1682年のハレー彗星の観測でも成果を上げている……でも……当時としては既に高齢で、さらに1679年の火災の精神的打撃で体調を崩していたへヴェリウスは、76歳の誕生日である1687年1月28日に亡くなり、故郷の聖カタリナ教会に埋葬されたらしい……「六分儀ウーラニアー」の星座名の発表は、ヘヴェリウスの死後の1690年に妻によって出版された著書『Prodromus Astronomiae』に収められた星表『Catalogus Stellarum』と星図『Firmamentum Sobiescianum』に「Sextans Uraniæ」という名称が記載されていたことに由来するらしい……へヴェリウスの死後のお話だったんだね……🤔(8)ウーラニア―はギリシャ神話ムーサ妖精の一柱・天文学・占星術の至高の女神ウーラニア―はギリシャ神話のゼウスとムネーモシュネーの間に生まれた文芸の妖精女神姉妹ムーサ―(複数形でムーサイ、日本では英語表現ミューズの方がよく知られているかも❓)の一柱であり、天文学・占星術を司る女神として知られている……占星術の女神として神官や巫女たちの最も重要な崇拝対象であり、リズム・音楽を生んだという伝承が残る音楽家アムピマロスと結婚したなどの神話が残っている……占星術や歌の発明に関わる神話だから、もしかするとマクロスにもウーラニア―に相当するキャラクターが登場する可能性もあるね🍎ムーサとセイレーンの悲劇の親子対抗歌合戦なんかはスッゴク期待してる♬またプラトンは著作『饗宴』において「博愛」「肉欲を排した純粋な愛情」「普遍的な愛」を表現する神性的存在として「アプロディーテー・ウーラニア―」を語り、「天に座し全てを司る至高の女神」として定義した……金銀りんごもルーブル美術館やメトロポリタン美術館でウーラニア―の絵画や彫像を見たことがあるけど、天球儀・地球儀やコンパスを持った絵画や彫像が多いよね🧭Urania, Muse of Astronomyby Giovanni Baglione (1620)アラス美術館所蔵(9)へヴェリウス・ウーラニア―とユイ・ゲンドウの構造対比ヘヴェリウスのエピソードとゲンドウ・ユイの境遇には、いくつか共通点が浮かび上がる(9.1)普遍的な愛の女神まずウーラニア―が持つ「普遍的な愛」という性格は碇ユイの「人類の生きた証を永遠に残したい」という願望とも共鳴する✨(9.2)自然形而上学の女神六分儀ウーラニア―は17~18世紀当時の形而上学的な自然神学としての天文学碇ユイはエヴァ世界独自の形而上生物学どちらも「自然形而上学」のための“象徴・資源・道具”としての役割を担う女性であると言うこと……(9.3)神格化ヘヴェリウスの「六分儀」は、火災による物理的消失から夜空に輝く天上の女神ウーラニアの名を冠した星座として永遠の存在になった……一方、ゲンドウの最愛の女性「碇ユイ」もまた、実験中の事故によって肉体が物理的に消失、エヴァ初号機コアという「神の座に近い存在」となった……どちらも最愛の存在は自然形而上学を司る存在・象徴であり、その消失が手の届かない高次元の象徴的存在として神格化されるという再定義の構造が一致してる🍎(9.4)失われたものに対する強い執着によるリスタートそして六分儀は天体を観測して自分の現在地を知るための道具……へヴェリウスにとっては分儀は女神ウーラニア―の理(ことわり)と自身の立ち位置を相対的に定義するための存在……そしてゲンドウにとってはユイが六分儀に相当する自身の立ち位置を定義する存在だったのかも❓ランドマークとしての碇ユイを得たことでゲンドウは「六分儀」を捨てることができたのかもしれない……しかしそのランドマークは失われた……へヴェリウスは焼失した六分儀を天上の女神の星座として掲げながら、失意を覆い隠すように短期間で天文台と新しい六分儀を再建し天体観測をリスタートした……ゲンドウは「女神となったユイに再会する」という一点のみを目的として、人類補完計画という全人類を巻き込む巨大計画を、密かに私的な宗教儀式と再定義してリスタートした……どちらも「最愛の対象の消失」をきっかけに狂気的なまでの情熱で自らの宇宙世界を完成させようとしたという点において対比になってるよね💖「六分儀」も「北欧神話・グノーシス主義・フロイトとユングの対立」と共に、旧エヴァの叙事詩構造を決める重要な構成要素のひとつだったのかもしれないね🍎(10)「最愛の対象の消失」はヒンドゥー神話シヴァ・サティの物語に通じる「最愛の対象の消失」は奇しくも「最愛の女性を失った男の狂気と破壊と新世界創造の舞タンダヴァ」を描くヒンドゥー神話「シヴァ神と妻サティ(死後パールヴァティに転生)の物語」とも通じるものがある……不動明王の起源とも言われているシヴァ神と妃サティの悲恋叙事詩は、エヴァンゲリオン(ゲンドウとユイ)だけでなく、デビルマン(不動明と牧村美樹)、ガンダム(シャアとララア)でも物語構造の根幹を成していて、おそらくマクロスでもハヤテとフレイアの物語の続きはこれがベースになりそうな予感がするから、ほとんど競作関係みたいなもの……『永井豪先生旭日小綬章記念 デビルマン不動明が不動明王なら牧村美樹は誰かを妄想してみた?』先日11月3日・文化の日、マクロス界隈ではフレイア生誕祭が盛り上がったその日、なんとコミック・アニメ界の巨匠・永井豪先生(80)が旭日小綬章を受章されたとのこ…ameblo.jp『再UP『密会 アムロとララァ』デーヴァ神族シヴァ神・シャアと神娼デーヴァダーシー・ララァの聖婚?』次回の新規記事はちょうど本ブログ200本目の記事で、いまのところは『マクロスF』と『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』のクロスオーバー記事になる予定か…ameblo.jp同じ神話構造をそれぞれのクリエイターがどの様に解釈・解剖し、さらに拡張や破壊したのかなんて記事もいつか書いてみたいね🍎画像データは全てWikipediaからの引用です🍏【Amazon.co.jp限定】『新世紀エヴァンゲリオン』+『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』+『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 Full Complete Blu-ray BOX[初回限定版](Blu-ray+4K Ultra HD Blu-ray)(A5キャラファイングラフ3個セット+ビジュアルシート5枚セット付き) [Blu-ray]Amazon(アマゾン)