「そんなの絶対に変える必要はないよ」
海都が気を利かせてくれた飲み物片手に、のんびりピロートーク突入。
晶「…ありがと。ねえ、海都が教えてって言ってた、私の”本気の無理”だけど…」
晶「…そういうときは、さっきの最後みたいに、海都を押しのけたり、逃げようとしたりするかもしれない。海都はびくともしてなかったけど。やっぱり言葉で伝えた方がいいの?」
海都「どういたしまして。…押しのけるか。そうだな、動きだと察知できないから、本当に限界とか嫌ってときは、言葉で言ってほしいな。本気で言ってるんだなって俺も解れば、無理にはしないし、止めてあげられるからな。」
優しい。ほんと、基本的に優しい男だよね海都は。
晶「わかった。…でも好きな人に向かって、”本気でやめて”とかはちょっと言い辛いな。…傷つけちゃわないかと心配になるし。」
海都「俺はそれで傷つくほど繊細じゃないから大丈夫だよ。何にせよ、わかるように伝えてくれると助かるな。(頭ぽんぽん)」
晶「ねえ、そういえば海都は、普段の私の態度が気にならないって言ってたよね。あれ本当? 可愛くないとか思わないの?」
海音に可愛気ないと言われたので、けっこう気になっています(笑)。
海都「悪い意味で気になるんだったら、今こうして付き合ってると思わないけど。言葉選びが気になることがあるなら、俺は直接言うし」
晶「そっか、海都は言うもんね。私、勝ち気で我儘じゃない。大抵の男性から、気が強い、生意気、可愛気がない、とか言われるんだよね。」
晶「…我ながら損な性格だと思うけど、自分を変えてまで他人に媚びたくないし。…海都が気にならないなら良かったよ」
海都「そんなの絶対に変える必要はないよ。」
海都「みんな、女性なのに強い晶に嫉妬してるだけなんだからさ。…俺はそういうところも含めて大好きだ。だからずっとずっとそのままの、ありのままの晶でいてくれよ?」
なにそれーーーーーっ!
海都、そういうこと言ってくれちゃうの⁉︎
やばい、涙出るほど嬉しいんだけど。
晶「ええっ…。そんなこと言われるなんて、思ってもみなかった。(抱きついて)そんな風に言ってくれた人、初めてだよ。なんか…感激。」
聞いたか一条海音、私もう無敵モードだからね(笑)。
晶「まあ、大抵はナンパ野郎の捨て台詞とかだし、海都が肯定してくれるなら絶対に負けない。」
海都「ただ思ってることを言っただけだよ。そんなどうしようもない連中の台詞だったら、尚更気にしないほうがいい。」
晶「…まぁでも、今日海都を怒らせちゃったような、棘のある態度っていうの? 私、ああいう感じだからなぁ。海都以外の人に対しては。ちょっと反省。」
反省…。
晶「あれは海都だって怒ったもんね? 少しだけ自重するよ。機嫌悪いのぶつけてごめんなさい。海都に対してはしないって約束するよ。」
海都「そう言ってくれると助かるよ。俺は機嫌悪いのぶつけられるのは理不尽だなって感じるタイプだから、八つ当たりされたら、どうしても売り言葉に買い言葉になりがちだろうしな。」
晶「(キス)…身体はまだ辛いのに、海都といるとまた抱かれたいって思っちゃうの、なんでかな? 好きすぎて困るわ…おねだりしてまた無理ってならないよに、避難がてら夕食でも作るよ」
海都「何作るんだ? 俺も手伝うから、何かできることあれば言ってくれ。」
晶「それは海都くんのキッチンにある食材次第かな。そうだ、お土産にスパークリングワイン買ってきたんだった。海都飲める? まぁ冷やさなきゃいけないけど、海都はお酒飲める人だった?」
これまでのところ、飲むイメージないもんね。
海都「ワインとかは日頃自分からは飲まないけど、飲めるとは思う。俺と一緒に飲もうと思って買ってきてくれたんだろ?」
晶「強いほうなの? 酔っ払うとどんな感じになるのか、ちょっと興味あるな…さて、冷蔵庫拝見。うん、相変わらず野菜が多いね」
海都「普段から減量の関係でサラダを食べることが多いしな。酒は弱い方ではないと思うよ。」
晶「このラインナップだと…、んー、肉豆腐。カプレーゼ。オニオンスープ…らへん? 和洋入り混じってるけど。おっ、豆缶がある。これはガーリックビーンズにして、おつまみかな」
海都「へえ、この材料でそれだけ作れるんだな。すごいじゃん。じゃあ俺はテーブルを拭いたり、酒の用意をしておくよ」
晶「缶詰だけ開けてくれる? 海都はお酒強いんだ? 私はそこまで強くないから、たぶん数杯でふにゃーんてなるよ。」
海都「ほら開けておいたよ。晶こそ酔ったらどうなるんだ? もし酔い癖が強かったら早々に寝かしつけておくよ」
晶「絡んだりしないよ。寝ちゃうの。ねえ海都くん、上半身裸でうろちょろしてないで服着てよ。胸にキスマークつけちゃうよ? 信用第一の銀行マンにそんなのついてたらまずいんでしょ?」
海都「見られるところにはな。(シャツを着る)」
晶「昔、うちの父の会社に銀行の営業マンが来たとき、その人のシャツの襟元に口紅がついててね。父が頭取を呼びつけて謝罪させてたな。別にいいじゃんと呆れたけど、やっぱりそういうのは叱られちゃうんだ?」
海都「まぁ、どういう仕事だろうとそこまでになるとな。銀行の営業マンて俺と同じ立場の人か。その口紅いつつけたんだろうな。仕事中に何かしてたのか…。」
晶「そんなの直接本人に注意して、反省したら終わりでいいじゃない? 口紅つけてたから仕事できない奴とは限らないんだし。頭取に言いつけるとかどっちが大人げないんだって話。…て、ごめん、私、父と険悪だからつい愚痴って」
海都「んーまあ晶の言い分もお父さんの言い分もわかるけどな。社会人としてだめだっていうのも、仕事さえしてるなら個人の自由だっていうのもな。…険悪になったきっかけとかってあるのか?」
晶「なんていうか…そもそもうちの父と母は愛のない結婚て奴なのよ。親父は地元の名士っていうの? 家同士の結婚てやつで。」
海都「政略っていうか、条件婚ていうやつか。」
晶「父はワンマンな暴君で、娘の私にはともかく、母への当たりがキツかった。暴力が出ることもあったし、許せない。」
海都「じゃあ、お父さん側が権力があって亭主関白って感じなんだな。何があっても暴力はだめだよな。」
よし。海都は暴力は否定派。
晶「母はもう亡くなってしまったけど、私は未だに父を許してないの。私、大学出たあとこっちで就職しようとしたんだよね。そしたら、働くならうちで働けって父に言われて、それが嫌で院に進んだんだよ」
海都「そういうことか。それは許せなくもなるよな…仕事まで親に口出されるの嫌だろうし。一度きりの人生なんだから、自分の好きなことくらいやらせてほしいよなぁ…(頭をぽんぽん)」
晶「でしょ? いまは学費と生活費は母方の祖父母が面倒見てくれてるから、親父とは縁切りってことで地元には近づかないの。ベーーって感じ。…海都のご家族は円満なの?」
海都「あー…言ってなかったか。家族はいないよ。施設で育ったんだ。」
初耳。なんと……。
晶「えっ…そうだったんだんだね。…えぇと、デリケートな問題に触れてしまった…? 話したいと思ったときでいいから、話してくれると嬉しいな。もちろん教えてくれてもくれなくても、私が海都を好きなことには変わりないから。…さあ、出来たから食べよ?」
海都「ああ、別にそのことを負い目に感じてるわけではないから、気にしなくていいよ。俺は物心ついたときには、親がいないのが普通だと思ってたくらいだしな」
晶「……」
せつない。
海都「だから、家庭にいいイメージがあまりないよ。自分が家庭を作るとかそういうのが、あまり想像できないっていうか。」
そこは、つつくところではないですね。
晶「家庭にいいイメージがないのは一緒だね。ワイン開ける? まだ冷えてないけど。これ、氷入れるのって邪道かな、海都試してみてよ」
海都「まあ似たような似てないようなって感じだな。ワインに氷は薄くなるからやめておいた方がいいんじゃないか?」
晶「そっか。…まあ、子供は可愛いんだろうから、殴らない旦那がいれば楽しい…のかも?くらいのイメージだけど。」
海都「子供か…いまはそれも俺には考えられないな。想像で俺が父親になるイメージってのができないし、今はまだって感じだよ。…飲んでみようか」
晶「そーなのね。てことは…じゃ銀行の上役に”出雲くん、うちの娘とどうかね?”とか言われても断るんだよね?じゃ、あと数年は海都は嫁探ししなさそうってことで、私が隣にいても大丈夫そうだよね。ふふっ、ラッキー。」
重くて微妙な空気にならないよう、最大限に気を使ってます…。
海都「はは、晶はドラマの見過ぎじゃないか? 俺はなんのコネもツテもなしに入った人間だし、そういう対象にはなり得ないよ。」
その考えは逆に甘いですー。
海都「仕事も程よく手抜きしながらしてるしな。…ぬるくても美味いよ。飲んでみてくれ。」
晶「ドラマじゃなくって、うちの父親みたいな人間は本当にやるの。会社の利益に貢献しそうな男に、娘差し出して取り込もうとするとかね…じゃ、かんぱーい。うん、なかなか。海都、食べて?」
海都「おう、ありがとな。」
晶「数年前に見合い写真を8枚も送りつけてきたから、全部に油性ペンでバツつけて送り返したら、親父と大喧嘩になったよ。」
海都「へぇ…すごいな。まぁそれは晶のこと思ってやってることかもしれないし、俺にはどうこう言えないしな。でも…晶と出会ってから少しは変化したな。人と過ごすのもいいなと思えるようになってきたからな。」
晶「…海都くん、ツテもコネもないのに成果出すような男にこそ、うちの親父みたいな人種は目をつけるんだよ。だからそのまま、手を抜いて仕事しててね」
海都「俺が気をつける必要は特にないよ。もしそういう話が舞い込んできても断るからな。」
海都「そもそも家柄がちゃんとしてないやつは、そういう候補にも上がらないと思うよ。そんなに心配しなくていい。俺は自由が好きだし、誰かにへりくだるのだけは我慢ならないからな。」
うわ……。めっちゃくちゃ共感できるし、なんかもうモロに好みだ、こういう男。
海都、あらゆる面で想定以上でした、かっこ良すぎ。
晶「おっ、同志だ。自由がいいよねえ! 他人の顔色うかがったり、命令されるままに生きるとか絶対に嫌。」
海都「ああ、本当にその通りだよ。自分のしたいように…まあ当たり前に常識の範囲内でな? 我慢して人に擦り寄る人生なんて馬鹿らしいよ。」
晶「はい、かんぱーい2回目。…まぁ、でも海都はそつなくこなしそうで、私は敵つくっちゃうんだけどね。私も男に生まれついたほうが良かったのかも。」
海都「んー、男と女じゃそこは違うよな。やっぱ女同士の関係って面倒か?」
晶「うん? 海都、誤解してる。私は女友達のほうが多いし、女子にモテるよ。晶はその辺の男よりもよっぽど男らしい、というのが友人たちからの評価。」
晶「男がダメなの。顔と胸だけ見て寄ってくるようなのばっかりじゃん。脳味噌ついてんだぞって追っ払うと、生意気と罵られるわけ」
海都「なるほど。じゃあ女性は晶の良さをちゃんと解ってるってことか。ふっ、脳味噌ついてんだぞ、って面白いな。じゃあそういう奴らについていくような女は、脳味噌ついていないってことか? ふふ」
海都くん、女性に対して悪意ありすぎっしょ(笑)。
晶「えっ、そう取る? 私には脳という器官も付いてますから、乳と膣だけが目当てのお前のことは選びませんよ、という意味で使ってるんだけど。女にこれ言われたら海都でもイラっとこない?」
海都「そういうことなんだな。まぁでも単純に、言い寄ってくる男が好みだったら、また対応も違うんだろ?」
↑意訳:好みの俺には言わないんだろ?
晶「まあ、好みならそりゃ…。好みの海都くんを落とすために、禁じ手の乳と膣を使いましたし?」
晶「でも、見た目だけで好みだとかは判断しないよ。海都はまず、助けられた時点で好感を持ち、顔を見たら好みだった、という経緯があるんだから。」
海都「使ったって言い方はやめてくれよ。俺は乳と膣がなかったとしても、晶の虜になってたと思うけどな。」
海都「でも嬉しいな。俺も晶のことは最初から好感というか、惹かれるものがあったよ。あれが運命というものなのかな。」
晶「(真っ赤)…照れちゃうよ。」
晶「…じゃあ、告ったとき、友達から始めてたんだとしても、ちゃんと会ったりしてくれてたの?」
海都「そりゃ会うだろ。」
晶「そうかな…。あの時の海都からは、彼女いらないオーラが漂ってたじゃない。だから友達になっただけじゃ、体よくその後は放置されてフェードアウトだろうと思ったんだよ。違う?」
海都「確かにあのときは彼女はいらなかったけど、別に一回やったらもう終わりとか、そういうこだわりは無いからな。友達も、セフレなのか、そうでない友達なのかにもよるだろ? 興味がなければ連絡もしないし。現に放置してなかっただろ?」
そういえば確かに、ちゃんと海都のほうから連絡くれていましたよね…。
晶「なんだ。じゃあ焦って色仕掛けなんて、することなかったんだ…」
続く。
ちょっと想定外なキャラでした、出雲海都くん。色々と。
友達付き合いをすっ飛ばしてきたら、ここに来てわかる真実が続々…。
次回もまだ、海都宅お泊まり回が続きます。
長くてすみません!
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