昨日の稽古では、

 

拳の握り方をはじめ、普段から丁寧な

 

指導を行っている助教が、

 

新しい入門者に

 

帯の締め方を教えてくれました。

 

 

帯を締めること ―――

 

多くの日本人にとって、

 

日常生活ではまずないことだろうと思います。

 

私もその一人ですが、

 

稽古では帯を締め、いつも心身を

 

切り替えるような感覚を持っています。

 

正座でも立ち姿勢でも

 

背筋が伸びて、気持ちは鎮まり

 

集中力が上がります。

 

 

恩師からは、

 

基本稽古では「下を向かない」

 

すべてにおいて「呼吸に合わせる」

 

組手では「相手の目を見て」、

 

「絶対に下がらず」「廻り込む」こと。 

 

また、

 

体力の限界を超えて疲労した状況においても

 

「かがまない」 「背中を丸めない」で、

 

「吸うのではなく、息を吐く」ことなどを

 

長年、教わってきました。

 

そして、

 

帯を締めることが「理にかなっている」

 

ということもその一つです。

 

 

かつて、

 

和服で帯を締めていた日本人は、

 

帯により身体の前では腹の下、

 

丹田が締まり、

 

後ろでは腰から背中にかけて

 

全体が支えられていました。

 

ゆえに、昔の日本人には

 

いまほど腰痛持ちの者はいなかった、

 

というのもうなずけます。

 

 

良い習慣やしっかりとした形、

 

理にかなっているものを徹底すること。

 

これらを身につけるまでには

 

ある程度の時間、期間が必要ですが、

 

自分のものとしたならば、強い。

 

これほどに強いことはありません。

 

それは圧倒的で、

 

幅広く他の分野への応用も自在です。

 

 

決して失くすことも盗まれることもない、

 

生涯にわたりその人の確かな軸となっていく。

 

継続こそが力であり、

 

多くのことを成す源泉となる、

 

改めて確信しています。

 

 

<追記>

 

少し理論的に伝えるとするならば、

 

自分の意志と自律神経の働きを

 

可能な限り合致させるということです。

 

具体的には、

 

自律神経である交感神経と副交感神経を

 

最善にバランスさせるということ。

 

もちろん、自律神経とはその名の通り、

 

ヒトの生命維持装置として

 

自動的に備わっているものであり、

 

意識的にコントロールできる余地は

 

限られています。

 

 

よく言われる、深呼吸をして、とか、

 

青空や夜空を見上げて、緑を見て、

 

ということで、多少、

 

制御することはできるでしょう。

 

手のひらに「人」という文字を3回書いて

 

飲み込む、というようなものは、

 

おまじないの類ですが、

 

これも信じて繰り返すことで、

 

気休めでも少しは落ち着くきっかけに

 

なるかもしれません。

 

 

私たちの稽古は、

 

伝統を受け継ぐ呼吸法と修練で、

 

交感神経と副交感神経を

 

最善にバランスさせるものです。

 

自分の意図するところに

 

その瞬間、瞬時にもっていくのです。

 

 

ここぞというような、

 

自分にとって大事な場面や局面で、

 

力を出し切れずに終わるか、

 

持っている力と同等、

 

もしくはそれ以上の結果を生み出すか。

 

受験やテスト、個人面接や集団討論でも、

 

人前での発表会やプレゼン、

 

講演会などでも、

 

誰しもいろいろな経験があると思います。

 

 

通常、交感神経が優位に働くと、

 

力みや極度の緊張、

 

固さや空回りの状況に陥ります。

 

仮にリラックスモードに入り、

 

副交感神経が優位に働いたとしても、

 

気持ちやエネルギーを

 

引き上げることはできないでしょう。

 

 

気持ちは引き上げられるなかでも

 

高ぶらず鎮まり、

 

エネルギーは満ち溢れるなかでも

 

研ぎ澄まされたものとして

 

これまでの取り組みを

 

いかんなく発揮すること。 

 

これが、

 

交感神経と副交感神経の働きを可能な限り

 

自らありたい

 

絶妙なバランスにもっていくということ。

 

そして、

 

続けていくその先に自分のものとする、

 

身につける、という世界、

 

領域がある。

 

その強さは、絶対的です。

 

相対的ではありません。

 

 

これまでも伝えているとおり、

 

感覚的で理論的 ―――

 

感性を持って理論的に考えること、

 

理論的でありながら感性を大事にすること。

 

私の揺れ動く思考であり、

 

いずれも大切にしています。

 

 

いまも道半ば。

 

これからも仲間たちとともに

 

続けていこうと思います。

 

 

3つ、再掲します。

 

自律

 

白帯

 

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