前回の記事で、転職までのあと1ヶ月間、募る不安に打ち克つためにも、なるべくたくさんのビジネス関連の本を読みたいと書きましたが、読書に関して、以前読んだ本のなかで結構面白かったのが、「レバレッジ・リーディング」という本(本田直之著:東洋経済新報社)です。


ちょっと変わったタイトルですが、本を読むことを自分への投資と定義して、自分の「やる気(目的意識)」に対して、本を読むことで得られる「他人の経験」を掛け合わせれば、レバレッジ効果(てこの原理)で、本に投資した金額の何十倍、何百倍もの結果を出すことができる、ということからついたタイトルです。


確かに、文庫本や雑誌と比べるとビジネス書はちょっと値段が張る(1,500円~3,000円くらい)のですが、この本の中でも書かれているように、著名な経営者の成功体験や失敗体験について筋道立ってまとめられた文章を手に入れることが出来ると考えれば、安い買い物といえます。(自分でアポをとって直接聞きに行くなどということはまず出来ませんので・・)


本を読むことのリターンを定量的に把握することは難しいので「何倍か」というのはさておき、自分自身の経験からしても、多くの本を読むことで、確かにビジネスの実戦の場での対応の幅は広がるように感じます。。


そして、最大限にレバレッジを利かすには二つのポイントがあって、一つはとにかく短時間で多くの本を読んで、何が重要かという本質を掴むということと、もう一つは読みっぱなしにせずに、重要なポイントをメモ書きにしていつでも自分の手元におき、それを実践して本当の意味での自分自身の血肉にするということです。


ちなみに、この本を読んで今の私が一番共感した部分は、「意識して自分の新しい刺激を与えないと、自分のやり方に固執したり、視野が狭くなったりしてしまう。特に年齢を重ねてある程度の成功体験を積むと、ますますその傾向が強くなり、その時点で人間の成長が止まってしまう」ということが書かれた部分です。


前回の記事で書いた「ビジネスパーソンが本を読むことは、スポーツ選手にとっての練習にあたる」というコンセプトも、実はこの本からの得たものなのですが、今の自分にとって最も良くないのは、その「練習」を放棄してしまって、自分のやり方に固執してしまうことです。


そうならないためにも、意識して本を読み、常に自分を揺さぶり続けないといけないなあと思っています。


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募る不安



9月もそろそろ終わりに近づき、転職まで1ヶ月余りとなりました。


以前の記事に書いたように、健康診断の実施、履歴書(Resume)の準備など、入社に向けての(事務的な)準備は着々と進めているのですが、そろそろ心の準備もしていかなければならないと思っています。


心の準備といえば、「今さら」なのでですが、ここに来て二つの不安が頭をよぎるようになってきています。ひとつは、今勤めている会社を辞め、比較的安定な生活を捨ててることに対する不安、もうひとつは、新しい世界のしかも荒波の中で、ちゃんと生き残っていけるかどうかという不安です。


前者は、若い頃は感じたことのない不安というか、逆に若い頃は先の見える安定的な生活を毛嫌いしていた程なのですが、やはり会社生活が長くなってそれなりの基盤を今の会社の中で築いてきたこと、そして支えるべき家族があるということもあり、安定を捨ててゼロスタートでやり直すことに対して不安を覚えるようになっています。


後者は、経営企画の経験はあるとはいえ、自分自身が経営者視点で課題を拾い出し、仮説検証しながら全体の戦略ストーリーをまとめあげることの経験はそれほどないものですから、仕事を進めていく上で、最初は相当なギャップに苦しむ(精神的に&肉体的に)のだろうなと思う不安です。


ただし、不安を感じるようになったということは、裏を返せばいよいよ新しい生活を現実感をもって自分が迎え入れている証拠です。ちょうどコンサートにおいて舞台脇で緊張しているような状態に近いと思っています。これまでは、どちらかというと新しいフィールドでいろいろとチャレンジできるという期待のほうが先行していましたが、これかはら日ごとに不安が大きくなってくるのだと思います。


そして、その不安に打ち克つには、とにかく努力を重ねるしかありません。スポーツ選手や音楽家が練習に練習を重ねて、これだけやったんだから本番でも大丈夫と言い聞かすというのと同じように、ビジネス・プロフェッショナルの世界でも練習を重ねるしかありません。


ビジネスの世界での練習は、読書をすることです。そこでいろいろな知識を蓄えたり、擬似経験をすることで、実践で使えるスキルの幅も広がっていきます。11月までの残された1ヶ月の間、課題として送られてきた書籍もあるのですが、それだけでなく、昔読んだ経営書を含めて、本番に備えて改めてしっかり「練習」しておこうと思います。


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健康診断

レジュメ(Resume)

「のだめ」とプロフェッショナリズム




また、先週金曜日の飲み会ネタの続きです。


「戦略的思考のできる経営者とは」というテーマで少し話が盛り上がりました。以前の記事でも、経営者にはいろんなキャラがいると書きましたが、本当の意味で戦略的思考ができる経営者は、案外と少ないのかもしれないと思っています。


戦略的思考を行うための必要条件の一つは、現状にとらわれずに、事業のあるべき姿としてのビジョンを描くことです。現状の延長線上でしか考えられず、思い切った手が打てない経営者も多い中で、あるべき姿から考えていけるというのは、戦略的思考を行うための重要な要素の一つとなります。


一方で、案外落とし穴となるのが、現状を正しくつかむということです。戦略には3つの要素があって、一つはゴールを描くということなのですが、それだけではだめで、現状(スタート地点)を正しく把握するということと、その両者を踏まえてゴールへの正しい道筋(戦術)を描く、という3つがそろって初めて「戦略」になります。


ところが、この現状把握が得てしておろそかになりがちになります。以前の記事で書いたように、情報を吸い上げるルートをちゃんと持っていないと、ふるいにかかった偏った情報しか上にあがってこないようになるからです。


そうすると、あるべき姿(ゴール)は描いたものの、出発点の認識が違っているため、現場の人間にとってみればそのゴールにどうやってたどり着けばいいのかわからない、ということが起こります。


千里の道も一歩からといいますが、実は、戦略を実行するうえで最初の1歩が非常に大事で、ここでちゃんと実績を出していくことが、全体のモチベーション向上にもつながります。そのためには、定性的にも定量的にも正しく現状を把握し、最初の一歩を間違えないようにすることが重要なのです。


そういう意味では、以前の記事で書いたように、現状を一番よくわかっている現場のメンバーが戦略策定プロセス(特にゴールに向けての道筋を策定するプロセス)に積極的に関わることが効果的です。



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ふるいにかけられた情報
経営者のキャラ

経営企画という仕事(3)



前回に引き続き、金曜日の会食で話題になった事のなかで、いくつか心に留まったことを書いていきます。


前回の記事では、会社の中での情報がどのように上に伝わっていくか、そして上司や経営者が情報を正しくつかむにはどうすればよいかについて書きました。正しい経営判断を行うためには実態を正しく把握することが必要で、そのためには情報のルートをいくつか持ち、上に立つもの自身が聞く耳を持ちながら、より多面的に情報を収集することが重要となります。


一方で、経営トップが経営判断を行うために重要なことがもう一つあります。これは「聞く耳を持つ」と同じことなのですが、自分と対極にある考え方を提示してくれる人を自分自身の周りに置くということです。経営者であれば、そういった人をボードメンバーに加えるか、あるいは自身の補佐役に据えるようにすることが大事です。


ただし、対極と対立は違います。経営者(トップ)と対立を起こして、物事が動かなくなる事態を招くような人を置いてはだめですが、そうではなくて、トップの考えを理解した上で、敢えて違った視点を投げかけてくれる人が重要です。たとえば、「想定している前提が変わればどうか?」や、「前提が楽観的過ぎるので、リスクケースを用意したほうがいい」などを指摘してくれる人です。


このような対極的な要素を取り入れながら、トップ自身が自分の考えを弁証法的に止揚させることができるかどうかが、その経営者の器の大きさになります。対極的な要素を認められるということは、その人に揺るぎない軸(芯)がある証拠です。


経営者は孤独です。意図的に意見を聞くだとか、対極の考えを取り入れるだとかを行わなければ、知らず知らずのうちに孤高な存在となってしまいます。そうして、周りがイエスマンばかりになると、まず間違いなく舵取りに失敗してしまいます。


さて、まだまだ盛り上がった話の続きがありますので、それは次回以降に書きます。


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ふるいにかけられた情報
経営者のキャラ




昨日、以前の私の上司で、今はグループの別の子会社で取締役をしている方と飲む機会がありました。この方は人事・経営管理を中心に歩んでこられ、これまで私の上司となった5人の部長の中でもっとも洞察力が鋭く、良きメンターとしていろいろと相談に乗っていただいた人でもあります。


約半年ぶりの再会で、3時間近く話が盛り上がったのですが、その中で、改めて心に留まったいくつかのことについて、何回かに分けて記事に書きたいと思います。


まず一つ目は、会社の中での情報の伝わり方、あるいは、上司や経営者が会社の中の情報を正しくつかむにはどうすればよいかについてです。


会社の中で一番情報を持っているのは、ビジネスを行っている現場です。ただ、現場の生の情報というのは膨大で玉石混交の状態ですから、情報がエスカレーションされていく(つまり上司や経営陣に報告される)際には、必然的に情報の取捨選択が起こります。情報がふるい分けされていくイメージです。


その際、報告を行う側としては、自分なりの考えで、ポイントを絞ってわかりやすく伝えようと努力するわけですが、それでも上司からすれば要領を得ないと思える報告になることはあります。そんな時に、上司が部下の報告をちゃんと最後まで聞かず、逆に、結論を先回りして指示をするようなことが繰り返されていくと、部下は上司が聞いてくれると思う情報以外の情報を上げなくなってしまいます。


そうすると、上司や経営者に上がるのは、都合のいい「きれいな情報」ばかりになり、本当に現場が困っていることや、対処しなければならないことが、だんだんわからなくなってきてしまいます。例えて言うと、経営者に対してトロの刺身を示して「これがマグロです」と報告してしまうようなことが起こるようになります。そうすると、経営者は、マグロには赤身はもちろん、臓物や骨といったものもあることがわからなくなります(つまり現場感覚を見失ってしまう)。


このような事を考えると、上司や経営者の立場としては、部下からあがってくる情報にちゃんと耳を傾けることはもちろんなのですが、それに加えて、1つの情報ルートだけでなく、水面下の(つまり会社の役職を離れたプライベートな)ルート含めて複数の情報ルートを持っておくことが重要になります。一番危険なのは、信用する側近からあがってくる情報しか耳を傾けないような場合で、そのような場合は、まず間違いなく「裸の王様」になってしまいます。


そして、下から上がってくる情報を待つだけでなく、自分から情報を取りにいくことも大事です。そしてその際には、現場の目線に立って、しっかりと話を聞く態度をとることが重要となります。


次回以降の記事で、これに関連していろいろと盛り上がった内容について、書きたいと思います。


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飲み会続き
横の情報の流れ