私が社会人になりたての頃、ある先輩から
『経営者になるんだったら人より10倍働かなきゃいけんぞ』
と言われたことを時々思い出します。
父が会社の経営者だったこともあって、自分自身が経営者になることは必然だと思っていました。
一般的には、よそさんのところで修行に出ることが多い中、私は他でお世話になった経験はなく、社会人の一発目から自分の会社で働き始めました。
自分の会社に入社すれば、自分自身が新米だということは理解していたので、とにかくがむしゃらに働いたと思います。
まずは2倍働こうと思いました。
そこで考えたのは、勤務時間を2倍にしようと…。
みんなより早く出社し、誰よりも遅くまで働こうと思いました。飯を食って、寝て、風呂に入ってという最低限のこと以外は、とにかく仕事をすれば、人よりは量はこなせるだろうと…。
2倍の時間を働いて、2人役の生産性が産みだされたかは定かではありませんが、1.5倍ぐらいにはなったかなあという自負はありました。
しかし、そんなふうに取り組んでみたけれど、10倍は働いていないな…
という気持ちはありました。
会社の代表になったのは、32歳ぐらいでしたが、やはり10倍働くという言葉は重くのしかかっていて、その年は、会社を休みにしているときも、会社に出てあれこれやってみました。
しばらく10倍働くという意味が分からず、10倍にはほど遠い生産性に自分の能力の情けなく思ったりもしました。
今だもって、当時言われた10倍の仕事ができるようになったかは、まったく自信がありませんが、10倍働くという意味は、時間の量ではないことはようやく理解できるようになりました。
週休2日制の昨今ですから、5分の7、つまりは140%は、さらに働いて、時間拡大をできたかなと思いましたが、その年は、体調を崩してしまい、3度寝込み、10倍には達していなかったので、今は、社員よりかは休む日数は少ないかもしれないけど、休みの日はそれなりにとるようになりました。
さて、今、『働き方改革』を聞かない日はありません。
残業を減らすようにしむけながら、生産性は究極に向上させなければならない。経営者となったいま、その相反する難題をクリアーしなければ、従業員の確保もままならない。
どうやら、時間を費やすことではない…ということだけはなんとなく体で理解はできています。
少しだけわかったことは、経営者は、会社におけるもっともボトルネックになる部分をしっかりとみて、全体が滞ることのないようしていくこと、そしてポジティブに言えば、最大のレバレッジポイントをみつけ、そこを動かして最大限の効果を発揮するようにすること、それが10倍働く意味の一つなのかなということです。
世の中には、でもどうやら、10倍以上の猛烈な生産性を実現している会社がゴマンとあります。
『10倍働く』という意味。
深いです…