大江英樹@officelibertas
今日の日経電子版に書いた記事です。 定年後の働き方をぐんと広げる 副業はやらないと損 : NIKKEI STYLE https://t.co/RXX9sBnZMT
2018年05月17日 07:27
昨今、副業をOKという企業がだんだん増えているようで、先日の日経の社説にも、それを容認するコメントが載っていました。
それに対する私の考え方を述べたいと思います。
副業を可能とする働き方を認める大きな理由は、社員が持っている能力を最大化するということにあると思います。
会社で行う仕事は、ある意味、ルーティン化していきますから、そういう業務ばかりをやっていると、業務が偏ってしまうということはあると思います。
副業をもつことで、会社の仕事以外の仕事に触れることになり、ものの見方考え方に幅が広がりますから、それが会社の業務にも好影響を与えるということは理解できます。
そういう考え方ならば、私はぜひコミュニティにかかわることに積極的に関わってほしいと思います。
社会が円滑に回るためには、会社でもなく、行政でもない中間の働きをするところがあります。
特に、田舎になればなるほど、『自治』組織の重要度は高いです。
河川や道路の清掃活動、祭りの運営、自衛消防などは、会社もやってくれないし、行政もやってくれません。
そういうものには報酬が伴うものは少ないですが、そういう活動がしっかりとできているところは、地域の結束力も高く、また暮らしていてほんとうに心地いいものです。
当然ながら、誰かがその担いをしていただいているからなのです。
副業をするひまがあるくらいなら、私はそういう活動にこそ目をむけてやってほしいと思います。
青年であれば、JCや各種団体の青年部などに入ることもいいでしょう。各種団体の青年部はある意味同じ利害関係にある人たちばかりだから、時に対立したりすることもありますが、特にJCなどは、関係者との利害はあまりありません。だから、相手には損得抜きで、本音を語れる部分もあります。
私は、会社経営者という立場ですので、自分の時間を社員に比べるとはるかに自由にコントロールすることができます。
なので、そういったいわゆる『金にならない』こともたくさんやっています。
ですが、そういう活動で得られるものは、はかりしれません。
ただ、最近感じることは、そういう『金にならない』、会社の立場からすると『余計なこと』を担ってくれる人が少なくなってきています。
もし、副業を認めている社会であるがゆえにこれら、第3の立場のことを担う能力が低下しているとするなら、相当に皮肉なことだと私は思っています。
以前テレビで拝見したときに、自治会運営を担ってくれる後継者が極端に少なくなっている現状をレポートをみたことがあります。
都市機能が充実してくるあまり、人の出入りが激しくなって、それらの機能が低下してしまってコミュニティが機能しなくなっているわけです。
もし、人がコミュニティに帰属意識していれば、目の前にゴミが落ちていたら率先して拾おうとするでしょう。しかし、ゴミが落ちていてもそれが自分ごとにならなければ、どっかの都市の清掃局に電話して
『ゴミが落ちているから目ざわりなんで拾ってください』という人もあらわれてくるでしょう。
清掃局の人はそれが仕事だから、市民から言われればそういったものに応えてくれるのかもしれませんが、行政運営コストは、うなぎのぼりになってくるはずで、それは結局のところ市民一人ひとりの負担になってくるわけです。
副業OKの観点というのは、個人としてみた場合には、一人ひとりの幸せが実現されるかもしれませんけど、社会全体がどういう形でなりたっているのか、またどういう形で形成されるのが望ましいのかという論がすっぽり抜け落ちているようでなりません。
まさにマネー資本主義がどんどんと進む社会に、本当の幸せはあるのだろうかと疑問に思わざるを得ません。