畜産を阻むもの | ニシムラマサキのブログ 【株式会社 西村工務店 代表取締役】【 SASAYA・うづかの森 オーナー】

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どうすれば地域を『素敵』に変えられるのか、誇るべき田舎になるのか、そんなことばかり考えています。

先日は畜産農家が展開できない問題を一つとりあげたのですが、新規就農者が増えていかない大きな問題があります。

 

それは畜産経営を行うためのお金の問題です。

 

牛を飼うのに、もちろん一頭からでも始められないわけではありませんが、これまで私が関わってきた経験からすると、約50頭というのが、一つの単位になるようです。

 

これは、一人の一日にできる作業量や、日常的に牛を管理し、目が行き届く範囲の頭数がそれぐらいということ、畜産経営に牛舎を建築することが不可欠なのですが、牛本体以外の費用を抑えるために、できるだけ大きな牛舎を建築するのが望ましいのですが、、敷地の関係、法的な問題などをふまえた大きさがその頭数がかえる大きさであることなどがあります。

 

ここで、実際にどれくらいのお金がかかるのか、ざくっと試算してみますと、、現在の子牛価格が平均80万円するとすると、牛の導入だけで4000万円、そして、それに必要な牛舎が、およそ2500万円、牛を飼って、肉になるまでに餌代などで、1頭につき1000円とすると、1年でおよそ1800万円、そのほかにも、トラックなどの機械などをあわせていくと、もう簡単に1億ぐらいはかかってしまいます。

 

スタートアップ時にこれだけの巨額の資金を、実績ゼロの農家に対しては、おいそれとは出すことがなく、ここがこの業界に新たな人が増えていかない要因の一つだと思います。

 

新温泉町などでは、現在、そういう人がスタートアップできるよう、町の資金で牛舎を建築し、新規就農者へ貸すという仕組みをたちあげるようですが、今後新規就農への大きなはずみになればと期待しているところです。

 

但馬牛の生産農家をみていますと、家族経営で行っているところがほとんどで、企業的にやっているところは数えるぐらいしかありません。

 

人を雇い入れるということになると、牛の管理に加え、人材の管理が必要となります。

 

一人50頭理論で行くと、人を一人雇い入れるということは、さらに1億ぐらいの投資が必要となるわけです。

 

それに加え、賃金や休みを与え、技術を教え込んでいく手間はやはり相当かかり、家族以外の他人を入れて経営をするということこになかなか踏み切れないということもあり、畜産を学んだ学生が、そういうところに飛び込むにも受入してくれるところもなかなかみつからない…ということもあります。

 

但馬牛が今後も私たちの地域のトップランナーであり続けるために、さまざまクリアしなければならない課題があることを理解し、どういう協力ができるのかを業界以外の地域の人もいっしょに考える必要があるのではないでしょうか?