私どもが営んでいる建設業は、常々、市民生活をサポートする業種で、また、その地域の産業を支えるという役割もあると思います。
地域にはそれぞれさまざまな特色がありますので、その場所で、色合いが微妙に異なります。工場が多いところ、商業が盛んなところ、自然を活かすところなどです。
但馬というくくりで考えると、間違いなく第1次産業である農林漁業と、観光業が主役だと思っています。
農林漁業に関していうと、海側、山側、平野部、山間部で微妙に異なっています。
村岡や小代という地域でいうと、間違いなく畜産業です。それは但馬牛の起源であることに他なりません。
世界的ブランドがこの地に存在するという事実を、もっと真剣に受け止める必要があります。
私の会社も、ここ数年、畜産というものがトップランナーでいていただけている恩恵をたくさん受けています。
今後もトップランナーで居続けてもらうためにも、もっと協力していかなくてはいけません。
私自身は直接的には、牛舎を建てることで貢献ができると思っているわけですが、そこに至るまでには大きな課題をいくつも乗り越える必要があり、そこはオール市民な体制で向かう必要があると思います。
一つは住民の理解です。
今、畜産農家さんからよく聞くのは、牛舎を建てる場所がない…というものです。
但馬の人は、みなさん一様に但馬牛は、私たちの誇りであるといいます。しかし実際に牛舎を建てるとなると、においの問題でほとんどアウトになるケースが多いです。
『うちの村に牛舎が建つとにおいで住めなくなる』
というものです。
実際、人家が近いところではそういう問題ことがないとはいいませんが、うちの村には一切建てさせないという極論も多いと聞きます。
検討の余地もなく、建てることができないとなれば、それはいかがなものであろうかと思います。
ほんとは可能であれば、建てるうえでの、ガイドラインみたいなものがあって、客観的数値みたいなものがあるといいのですが、今のところそういったものもありません。
事例は違いますけど、風営法で許可が必要な施設は、学校から何キロ離れていないといけないとか決まっています。
なので、そういうものがあれば、目安にはなると思います。
一方畜産農家側も、糞尿の処理を適切に管理し、汚水等が流れないようにする必要があります。
それらによって、総合的に判断し、建てる場所の可否を決めていくことができれば、もっと積極的な増頭計画を建てたり、新規参入を決めたりすることができるのではないかと思います。