
私はハチ北スキー場の麓で暮らしています。
なので、ずっと、いわゆるスキー産業と関わって生きてきました。
私の家の場合、直接的には宿泊業をしていて、以前はレンタルスキーもやっていました。
今は、私個人は、ハチ北観光協会の役員であり、またハチ北温泉の理事でもあります。
スキーを楽しむという一日の行程を考えてみましょう。
家を出て、高速道路などを乗り継いでここまで来ます。
ハチ北の場合は、圧倒的に、マイカーが多いですが、ツアーのバスで来られる方もいますし、場合によっては、JRと路線バスを使ってお見えになる方もいます。
こちらに来られると、マイカーの方は車を駐車場に入れます。
自分のスキーを持っておられない方は、スキーをレンタルします。
そして、リフトチケットを購入し、いざゲレンデへ…。
そして、リフトに乗って一日楽しみます。
昼食で、レストランやカフェを利用します。
滑り終え、温泉で体の疲れをいやしたり、民宿やホテルなどにチェックインします。
夕食を食べ、場合によってはお酒を飲み、また場所によっては、バーや居酒屋などがある地域もありますし、また何か夜のアクティビティがあるところもあります。
一晩をホテルで過ごし、朝食を食べ、チェックアウトをして、翌日も滑り、家路につきます。
途中、ドライブインや道の駅などで、トイレをしたり、お土産を買ったりして、家にたどり着く。
まあ、それ以外に例えば、他の観光を入れたり、他のエリアのご当地グルメを楽しむ人もいるでしょう。
『スキーに行く』という行為は、実はこれらすべての合わせ技に他なりません。
この行程のどこかに何かの不満があれば、その人にとっての貴重な体験がすべて台無しになる可能性があります。
私たちは、この地域に住まうものとして、ここらへんをよく認識する必要があります。
もちろん、直接携わっているところ、例えば私の家でいえば、民宿を営んでますので、そこはちゃんとしなければなりません。
だけれど、私たちは家を出てから、家に帰るまでのことを常に頭において、そのすべてに満足してもらえるためにいかにあるべきかということを考える責任があると思います。
例えば、アクセスの問題。
道路は直接的には、国なり、県なり、行政が管理をしています。
しかし、それらがスムーズにいくために私たちにもできることがあります。
住民の声として、道路管理のオペレーションを改善を提案したりすることです。
そうやって、トータルな満足をさらに引き上げる努力をしていかなければならないのです。
昔、苗場プリンスが登場したころ、あそこはハイヒールをはいても、スキー場に来れると聞かされ、
『山に来るにはやっぱり長靴だろ』
って鼻で笑うような時代がありました。
残念ながら、ハチ北はいまだハイヒールを履いてでは来ることができないスキー場ですが、しかし、そのことを真剣に考え、取り組んでいるスキー場はたくさんあります。
私たちがかつて思っていたスキーするのに長靴で来るのは当然でしょ…
という常識はもはや常識ではなくなってきています。
関西のスキー界には、ピークは三つあるといわれています。
お正月、成人の日、建国記念日。
すでにこのうちの2つを終えました。
周りから聞こえてくる声は、
『今年はお客さんが少ないなぁ』というもの。
私たちは、本当にお客様の満足を与えられるように真摯に取り組んできたと胸を張っていえるのでしょうか?
周りの状況に憂うのではなく、まずは自分事として考えない限り、未来はないと思います。