
東洋経済オンラインで、デービッドアトキンソンさんの記事を読んで感じたことを書きます。
http://toyokeizai.net/articles/-/182174
アトキンソンさんは、日本がこれから観光をもっと稼げる産業にという提言をたびたびされております。
今回の『自然』をもっと売りにすべきだというご意見はまさにそのとおりだと思っています。
今、但馬地域において、もっとも稼いでいる自然資源は、雪だと思います。
つまりスキーです。
私はハチ北高原に住んでいますが、ここが観光地としてある程度名を馳せているのは、ハチ北スキー場があるからにほかなりません。
『ある程度』という枕言葉をつけたのは、雪以外の自然はほとんど活かせていないからです。
ハチ北の場合、スキーシーズンはだいたい4ヶ月、12月中旬にはじまり、4月第2土日で終了します。
つまりは、3分の2は、ほとんど活かせていません。
昔はそれでも、良かったです。冬だけで年間の収益をあげることができたからです。
しかし、今は冬だけで食べていけることはできなくなりました。
冬における問題点は、また今後にしたいと思います。
サマーシーズンをどうしていくのかという課題に対して、今、私が取り組んでいることは、トレッキングをきちんと稼げるものに育てるということです。
2015年頃より、ガイド付きトレッキングを販売するようになりました。
主に週末を利用して、氷ノ山、鉢伏、瀞川、蘇武、妙見といった私が住む周辺になる1000m越えの山々をご案内するトレッキングイベントを実施しています。
正直、それでバンバン来ていただけるようなサービスにはまだ育てあげることはできていませんが、少なからぬお客様をご案内する中で、きちんと育てれば、安定した収益につながるのではないかという感触は得ています。
では、育てるというのは具体的にはどのようなことかといいますと、
1 希望されるお客様がいつでもガイドサービスを利用できる
2 『安全』を磨いて、安心して利用できる
3 技術や、スキルを磨いて、楽しく利用できる
4 トイレや看板、遊歩道などを整備する
といったことです。
1については、これは、マーケティングにも絡むのですが、現在は、常駐スタッフをおけるようにはなっていません。
ニワトリが先か、タマゴが先かという議論にもなりますが、常駐するほどにはお客様が来ていただけていないので、現在のところは他の業務もしながら、ガイドをしています。認知をあげて、頻度を増やし、顧客も増やしながら、最終的には常駐スタッフをおいて開催をできるようにしたいと考えています。
2、3については、もちろん専門の知識の習得は大事なのですが、それ以上に大事なのは、数をこなして経験値を身につけるということです。
但馬の山々は、長野の北、中央、南アルプスといった3000m級の山々と違い、『山岳』ではありません。
但馬の山々の魅力は、多様な動植物であると私は思っています。
ただ、これには相当高い知識を身につけなくてはなりません。
地元の観光協会に、ワタナベさんという事務員さんがいらっしゃるのですが、この方とあるくと、たくさんの草花の名前や特徴をご存知で、ちょっと歩いただけでも飽きることがありません。
植物に詳しい方にお聞きしますと、みなさん口を揃えて、『ここの自然はすばらしい』とおっしゃていただきます。
つまりは、街では見られない、山野草などの宝庫なのだそうです。
実際、私自身もいくらかは名前を覚えましたが、街の園芸店でけっこうなお値段で売っているような山野草が、ここではあちこちにみることができます。
ただ、やはり山野草は、園芸種と違い、きらびやかでなく、どちらかというと清楚な感じのものが多いので、普通の人はそれに気づかず、山々を見ても、単なる緑にしかみえないことが多いのです。
桜とか、紅葉とか、そういう分かりやすいものではないので、ガイドのスキルを相当高めないといけません。
まだまだワタナベさんに遠く及ばずで、これもまた日々の努力で勉強を積み重ねていくしかありません。
4についても、正直、トイレなどはまだまだ十分ではありません。男である我々はさほど感じませんが、女性にとっては、やはりこれらは大きな問題です。
これも究極的には多くの人に、この地域でのトレッキングで利用していただくことで、その設置の必然性を高めていく以外にはないように思います。
ただ、遊歩道の整備などもそうなのですが、人が無秩序に歩くことで、山を覆っている表土が流出するなどによって、自然環境が崩れてしまっては本末転倒ですし、最近では獣害被害が拡大し、山野草が荒らされてしまうといった被害もあり、こういった対応も必要です。
山歩きは、入山料でも取らない限り、地元にお金が落ちることはないため、これまでそういったことにはほとんど力を入れてきませんでした。
しかし、山を歩いて地元にお金を落としてもらう手段が私はガイドだと思っています。
まだまだ発展途上ではありますが、『自然』が資源賭して活かせるよう努力を続けていきたいと思います。