ある繁殖の畜産農家の方とお話しする機会があって、ご商売は順調ですか?って尋ねてみると
『いまは、子牛価格があがっていて、数年前に比べたら倍の値段だよ』
って、いうお顔は、若干ほころんでいるように見えました。
ご縁があって、畜産農家の方のところのお仕事、例えば牛舎とか、堆肥舎とかそういう案件を多数させていただき、もうずいぶんとなります。
だから、市場が上向いていることで、私たちも仕事をさせていただけているわけですから、とてもありがたいことです。
しかし、子牛価格が半分の時代だったとき、BSEだとか、口蹄疫だとか、そういう苦しい時代もあり、傍らでその苦悩の様子をみていました。
また、今をときめく、但馬牛生産の第一人者と呼ばれる人たちは、まだ、10代や20代前半の頃、一人で始められて、一日たりとも休むことなく、牛とむきあってこられていました。
自分が病気になっても、牛には必ず餌をやらなければならないし、嵐が訪れても、豪雪になっても、当然ですが、毎日餌をやったり牛の世話を欠かすことはできません。
牛舎は、だいたいが人里から離れたところにあることが多く、特に冬季は雪の中をかきわけて、そこまでいかなくてはいけません。
そんな、ある意味どん底の状況から、但馬の至宝ともいうべき但馬牛の未来に向けて、ひたむきにがんばって来られた過去があるから、今の繁栄があることを私たちはほとんど知りません。
おそらく、今は畜産農家は、経営的にもとてもいい状況にあるところが多いと思います。市場が活況だし、国や県などの行政も後押ししてくれている。
しかし、表面だけをみて畜産農家はうらやましいねっていうのはナンセンスな話なんだと私は思います。
今、養父市を中心に農業の未来への大改革が行われています。
養父市が国家戦略特区になったのは、日本中に同じように点在する中山間農地のモデルとして、この現状を打破するために選定されたのだと聞いています。
ただ、この但馬にあって、傾斜地が多く、雪深い場所にあって、農作物を育てていくのは相当に厳しいのかなぁと素人ながらに思います。
だから、但馬という地域が但馬牛という至宝をトップランナーとして、農業の再生に取り組むのは必然なような気がします…。
畜産農家にはもっともっと儲けて、走り続けてほしいなぁと思います。