私の地元にある村岡高校は、典型的な田舎にある高校です。
この辺りの子たちの一般的な進路先になっています。
しかし、昨今の少子高齢化で、生徒数が減少し、存続の危機に立たされました。
もう5年ぐらい前でしょうか、村岡高校は、地域創造コースをたちあげ、『地域と共に歩む』ということに、改めてコミットメントしました。
多くの卒業生たちが、口々に将来、この地元に帰ってくるんだ、そのために、技術や知識をつけるんだ!と、活躍の場を広げつつあります。
これだけ地域愛にあふれた高校もそう多くはないと思います。
そうはいいながら、なかなか生徒減少を食い止めることができず、さらに新たな策を講じました。
全国から生徒を集めることが可能な、アウトドアスポーツコースの新設です。
これによって、県内はおろか、県外の学生も徐々にですが、集まるようになってきています。
県立高校でアウトドアに関する専門知識を学べる学校というのは、他では例をみないはずです。
ただ、全国初ということもあって、いわゆる前例がない状況。
すべてが手探りな状況です。
いまの三年生が、コース開設以来の生徒ですから、今度の春、いよいよアウトドアスポーツコース初めての卒業生が出ます。
彼らが、どんなキャリアを描いていくのか、県教委のみならず、全国が注目をしています。
そして、来春を皮切りに、毎年毎年卒業生が出てくるわけです。
卒業生の未来が明るければ、『あそこで学びたい』とさらに、全国にその環が広がっていくことでしょう。
だから、なんとしても成功させなければならない。
ただこれは、学校だけの問題ではありません。
アウトドアスポーツコースを有する地元がそれに呼応するように、盛り上がらなければいけないのです。
全国募集ができる学校とはいいながら、やはり県立高校ですから、地元の生徒も学びに来ます。
アウトドアのスキルはみについた、だけれど、卒業しても地元にそれを活かせる場所がなかった…ではダメなんです。
一生懸命高いスキルを身に着けても、自分の活躍の場が外にしかない状況ではどうしようもないんです。
だから、私たちは、この町にアウトドアのスキルを身に着けた学生たちが、安心して働ける場を作る必要があるのです。
そのためには、マーケットをつくっていかなくてはいけない。
アウトドアスポーツをもっと楽しめるフィールドにして、絶え間なくお客様がお見えになって、それをインストラクションしたり、インタープリテーションをしたり、ガイドをしたり、そういう地域にしていかなければならないのです。
そういう観点において、まだまだ、地域は本気にはなれていません。
アウトドアで食える場所をつくる。
村岡高校の挑戦は、私たち地域の挑戦でもあります。
村岡高校の存続は、イコール地域の存続でもあるのです。