『つながる』ことが価値になる | ニシムラマサキのブログ 【株式会社 西村工務店 代表取締役】【 SASAYA・うづかの森 オーナー】

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どうすれば地域を『素敵』に変えられるのか、誇るべき田舎になるのか、そんなことばかり考えています。






かつて読んだ、デービッド・アトキンソンさんの2冊の著書をもう一度、引っ張り出して読みました。


デービッド・アトキンソン 新・観光立国論/東洋経済新報社

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イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言 (講談.../講談社

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要旨としては、日本が観光立国として、力を発揮するためには、文化財の保全に力をいれるべきだ!

ということだと理解しています。


神社、仏閣に象徴される文化財、ある意味日本という国の歴史を象徴するモノであり、残すべきものであることは私でも十分に理解できます。


一方で、決してきらびやかでない農村の文化はこれは残すべきものであるのか?という問いに、みなさんなら何と答えるでしょうか?


実は、私自身もそれに対しての明確な答えを持ち合わせていません。


例えば、棚田に象徴される日本の農業。


冒頭の写真は、以前訪れた白米千枚田。世界農業遺産の一つであります。


この棚田から米を収穫するために、かかる労力は、平野部でとれるお米の何倍になるのでしょうか?

おそらく、経済的価値からみると、相当な労力がかかり、いわゆる市場に一般的に流通しているお米からすると、まったくあわないものであると思います。


しかし、環境保全や文化を継承するという意味で、この棚田には、価値があると世界が認めているわけですね。


この香美町にも、『西が岡棚田』『うへ山の棚田』と日本棚田百選に選ばれているところがありますが、それ以外の相当数の棚田は、耕作放棄されて、その状況は年々深刻になってきています。


その他多数の棚田を保全するために、中山間地域等直接支払制度というものがあって、国からお金をもらえるのですが、それがいわゆるその他の価値を認めているということなのでしょうが、あくまで『制度』というものですから、市場が価値として本当に認めてくれているものなのか、そこはなんとも腑に落ちないところもあるわけです。


まだ私の中で明確な解を持ち合わせていませんが、『つながる』ということが、そのカギを握っているのだと思います。


数年前から、田植えイベントをJAさんや、コープこうべさんと行うようになりました。
コープの消費者の方が、こちらに来られて、田植えや稲刈などのイベントをされます。

自分たちが体験すると、大変な作業の中でお米が作られていること、澄んだ水、空、そういう環境のもとでお米が作られていることを『体』で感じることができます。


コープこうべのご担当者の方にお聞きすると、そういうことを体験された皆さまは、少し値段が高くても、必ず、それにまつわる商品を買い求めてくださるのだそうです。


私は思うに、単なる『米』が、愛情を注がれた特別な『価値あるモノ』に代わるからだろうと思います。


私の近くの農家さんに行くと、老夫婦が一生懸命お米をつくっていて、お聞きすると、『子や孫が都会にいらっしゃるので、家族、親族が食べる分だけは生産をしている』という人をけっこうみかけます。

おじいちゃんおばあちゃんが天塩にかけて育てた価値あるものを、子どもたちは、毎食たべるたびに、遠いふるさとに思いを馳せているのでしょう。


それは単なるお米でなく、ふるさととつながる特別なモノです。


だから、お米をカロリーを得るためのモノではなく、人やふるさとに思いを馳せ、心まで満たしてくれるモノに変えていくことが必要だと思うのです。

そうならない限り、中山間地で農業をつづけることはほんとうに厳しいと思います。


いまやITの世の中、むしろITでさまざまなものがつながる時代だからこそ、心がしっかりと『つながる』経済をつくることが、日本がこれからも幸せを続けれる方法なのではないか…


そんなふうに思います。