なまじっか公共事業をやっていると、お客様志向とだんだんと離れていくことを危惧しなくてはなりません。
公共事業は、『設計図書に基づいて、規定値をはみ出さないように、仕事をする』というのが、常道です。
一般のお客様と違い、規定値以上の仕事をしても、役所の人がとびあがって喜ぶことってほとんどないし、それによって次の仕事の受注が確約されることもありません。
公共事業を多く抱える当社は、それに依存しがちだし、そうすると、思考はだんだんそんなふうになっていきます。
しかし、一般のお客様はそうではありません。一般のお客様は口コミという強力な宣伝力があり、またリピートオーダーというものもあります。
だから、一般のお客様には喜んでいただかなければなりません。
何で喜んでいただくかは、お客様によって違います。それこそ、手探りでやっていきます。ときには、お客様がまったく必要としていないこともあって空振りをすることもあるかもしれないけれど、それでも喜んでいただくようにしなければ、そこから次を産みだすことはないです。
以前リッツカールトンの総支配人がこんなコメントを述べられていたのを思い出します。
『期待されていることをしても、お客様はそれでは満足しない。期待される以上のことをやったとき、驚きや感動に替えてこそ、満足につながる』
とても深い言葉です。
ホテル界のみならず、サービス業のトップランナーたるリッツカールトンは、どこよりも期待を受けているはず。
そんなところが、期待値以上の感動を生み出すようにしていくのは並々ならぬ努力が必要なのだと思います。
これを書きながら、人をどうこういう資格がないことを反省しました。まずは私自身が、感動を産みだせる人になっていかないといけないですね。