『少種のチョウ、シカ食害で絶滅の危機 但馬・ハチ高原』
私自身は、以前から『環境問題』に感心がありましたが、2007年頃だったと思いますが、ウスイロヒョウモンモドキという絶滅危惧種が鉢伏山付近に生息しているということを聞きました。
またウスイロヒョウモンモドキを守る会という団体や、養父市大久保地区のみなさんを中心に保全活動を熱心に取り組んでいることを知りました。
昔、中国山地には、この蝶は普通に生息していましたが、環境の変化によって、生息域を減らしてきました。
この蝶、草原環境に生息する蝶です。
昔は、茅葺屋根の材料の調達場として、あるいは、但馬牛の放牧場として、草原が各地に存在していましたが、生活の中で草原をそういう場として必要としなくなったため、草原は、灌木の生える普通の山に戻っていきました。
余談ですが、但馬牛は昔、農耕用の耕耘機の役割を果たしていました。肉牛として有名な但馬牛ですが、生活に欠かせないものとして、各家の敷地内に牛を飼っていたところも多く、まさに家族同然に大事にされてきたという歴史があります。
昭和30~40年頃のそういう生活環境の変化に伴って草原を守ってきたのが、スキー場です。
中国山地のスキー場は、そういったもともと牧場として場所で、木が生えていなかったので、それをスキー場に転換していった歴史があります。
スキー場は、ゲレンデの維持のために、毎年草を刈ったり、火入れなどをする必要があって、草原環境が残ることができ、ウスイロヒョウモンモドキも同様に生き延びることができたというわけです。
コウノトリに代表される生物は里山で暮らす鳥です。
ですので、まったく人がいない大自然の環境下か、もしくは、都市のように、まったく自然の残っていない場所では、生息できません。
ウスイロヒョウモンモドキもその里山があって、生きながらえた蝶だということを教えていただきました。
『絶滅危惧種』を守るためには、人は自然にまったく手をつけてはいけないように思われがちですが、実はそうではなく、人が自然と程よい関係にあることで、その生息が守られるというものもあるのです。
ハチ北でもウスイロヒョウモンモドキを守るための活動をしようと、蝶のえさとなるオミナエシの植栽を何年もかけてやってきましたが、この『程よい関係』が難しく、またハチ北でも、鹿による食害があり、ウスイロヒョウモンモドキが生息できるだけの環境を作り出せていないのが現状です。
会の皆さんに教えていただいたのですが、ウスイロヒョウモンモドキが餌とするオミナエシは、園芸種ではだめなのだそうです。
ですので、ハチ北で植えたオミナエシは鉢伏山の周辺で咲くオミナエシの種を採取したものから株を増やしたものです。
豊岡の中貝市長は、よく講演の中で”こうのとり『も』住める環境づくり”と話されて、特に『も』という部分を強調されています。
あくまで人にとっては、私達自身の暮らしが大事です。
その暮らしは水も空気も食べ物など、ありとあらゆるものが自然の恵みなしには、なりたちません。
コウノトリも住める環境は、それは実は人にとってもっとも心地いい暮らしなのだと話されていることを聞いて実にストンと腑に落ちました。
だから、絶滅危惧種を保全することというのは何もどっかの偏った環境保護団体のプロパガンダとは違って、私達自身の生活環境の維持向上とイコールなのだということです。
これから、私達に何ができるかわかりませんが、ウスイロヒョウモンモドキを守るために私も微力ながら力になれたらと思います。
