ある方から聞いた話です。
墓地をリニューアルするお話があり、その方は石材やさんと、12時30分に待ち合わせをしました。時間は、石材やさんからの提案です。
その時間に現地に行ったのですが、5分、10分待てど、石材やさんは来ない。
お施主さんは裏切られた気持ちで、もし石材やさんが、その場に表われたら、その場で、仕事を断ろうと決意し、待つこと15分ようやく石材やさんが姿を現しました。
お施主さんは、開口一番
『私は、人を信頼するバロメーターを約束する時間にきちんとあらわれるかどうかで判断している。遅れる連絡もない私は、あなたを信頼することができないので、この仕事をお断りしようと思います』
と申し述べたところ、石材やさんはびっくりして、遅れたわけを話し始めました。
『私は、12時に現地につきました。お墓には、花がたむけられることもなくずいぶんとみすぼらしくなっていたので、私は思い立って花屋に花を買いに行きました。近くに花屋さんがなかったもので、遅れてしまったことはたいへん申し訳ない』
実際、手には花を持っていました。
お施主さんは
『私は、あなたがそんな気持ちだったことを知らずに、開口一番怒鳴ったことをたいへんお詫びします』
『しかし、そんなあなたの心づかいも、お電話が一本あれば、私はそんな気持ちにならずに済んだんです。きちんとコミュニケーションがあれば、よかったんですから、今後はそのように対応してほしい』
そんなお話でした。
きっと多くの人は、誰かが知らないところで、いろんな心遣いをしているはず。でもひょっとしたらそんな気遣いが相手に知られることのないことも多いかもしれません。
心遣いをひけらかす必要はないですが、やはりそんな思いを、きちんと届けること。
それが電話一本であったり、手紙の一言であったり…。
大変勉強になりました!