と私の前に差し出したのは
ニッポン景観論 (集英社新書)/集英社

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でした。
私は以前『犬と鬼』という著者が書いた本を読んだことがあるし、最近ではTEDxKYOTOのプレゼンも拝聴し、おそらく、私が、アレックスカーさんの書籍を読んでいることは知っていないと思いますが、やはり夫婦も長く続けると、なんとなく読みたい本が似てくるんかなーと思いました。
本人はまだ読んでいないらしいのですが、先に拝借して一気に読破しました。
が、実に頭の思考にグサグサと突き刺さるものが多く複雑な思いになってしまいます。
なぜならば、我が本業をまっこうから否定してくれるからです。
美しい日本をダメにしたのは、土建国家であるからだというのが、彼の論です。
今回の『ニッポン景観論』では、プラスの公共工事ではなく、マイナスの公共工事が必要だ!と公共工事を全否定しているわけではないし、アレックスさんが取り組んできた空き家の再生は、公共事業としてやってきたことも多いようなので、必ずしもそれを否定するものではないようですが、それでも、何か自分たちがやっていることを否定されている気がしてとても痛いのです。
しかし、内容としては説得力のあるもので、グランドデザインをする時に、『景観』ということを意識しているか!ということに関しては何の配慮もされていないこともこれまた事実です。
田舎がもっと輝く田舎であってほしいというそのことには、大いに賛同します。私自身、悲しいかな、『景観』を語れるだけの知識と実力が備わっておらず、田舎を美しい田舎に替えられる大きな力を持っていないので、いわれることはよくわかるけれども、それを覆せない無力感みたいなものもまたあります。
私の座右の銘は『明珠在掌』(みょうじゅたなごころにあり、あなたは宝をすでに掌にもっているのですよという意味)ですが、何を隠そう、アレックスさんの書籍を読んで、ものすごく自分の中に衝撃的な言葉だったのでそれを今使わせていただいています。
改めて、美しい日本を取り戻すことが必要だと感じます。
地方創生は、何か新しいことを作り出すことを意味するのではなく、本来持っているそれぞれの地域のすばらしさを輝かせていくことではないかと改めて感じました。