スキーというのは、とても環境に左右されるスポーツです。
雪の状況は刻一刻と変わります。
その状況によって、滑りやすい雪、滑りにくい雪というものがあります。
そういった不公平を是正するため、スキーの大会では、コースを氷のような硬い雪に仕上げるのが一般的です。
なぜかというと、選手が同じところを滑っていくため、あとの選手は前の選手が少しずつ荒らしていったところを滑らないといけないからです。
また、スキーの大会で使われるコースというのは、山の斜面を利用しているので、場所ごとに大きく異なります。
急斜面が多いところ、少ないところ、コースが長いところ、短いところ、コースがうねりがあるところそうでないところ…。
このため、選手は硬い雪質が確保できるところを選んで、トレーニングをするようになります。
さらには、雪がある時期は、地域によって差があります。
それらの要因が重なると、一般的には関西圏のスキー選手というのは不利な立場にあり、選手はそれを求めて、北海道、甲信越、もっと突き抜けている人はヨーロッパでの氷河などをもとめ、とにかく滑る環境がよいところを求める傾向にあります。
いま、ICSと呼ばれる、氷を砕いて雪をつくる技術や、スノーガンと呼ばれる、水を噴霧して冷たい外気で雪をつくる技術など、スキー場の経営の安定化のためにさまざまな技術が利用されるようになって、関西圏でも安定的に比較的長期間スキーができるようになってきました。
雪質の問題などでは課題があるとしながら、以前から比べると格段に『地元』でスキーができるようになってきました。
文化として醸成させるためにもう一つ重要なことは、地元で選手を育成していくということです。
これもサッカーの例を出すわけですが、サッカーが急速に、国民的スポーツになった理由は、日本でいえばJリーグを頂点とする街単位でサッカークラブを運営しているからだと思います。
最近では、野球も地域性を表にだすようになってきましたが、サッカーは最初からその部分には徹底してこだわっていたように思います。
確かに地域クラブだが、選手自身は海外の選手もいたり、ヨソの人もいるじゃないか!という御批判もあるかもしれません。
しかし、Jリーグには、トップチーム以外に、サテライトチーム、ジュニアチームなどをつくることが義務づけられているようですね。
やはり考え方のベースは、地域ということです。
沖縄県など、明らかに雪が降らないところもありますが、北海道、東北、甲信越に偏るのではなく、九州、四国、なども含めてその地域で選手を育成していくということで、全国的な広がりを見せていくことが、文化になっていくうえでも重要です。
選手は地域で育てられることで、地域に愛着を感じ、将来大人になった時にまたそういう子どもたちを育成しようという循環が生まれます。
自然相手のスポーツであるスキーで、地域にそのような環境を整えていくことはとても難しい面があります。
選手を育成するために海外に連れていったりそのような環境に移動するほうがはるかに楽です。
しかし、地方を創生するということを考え、自分たちの子供たちにつないでいくためにも、あえて厳しい道を選択することが必要なのではないかと思います。
私自身、思っていても、それをなかなか実現できていません。
ですが、やはりそういうことを見据えて地道に積み上げていくことがいま求められているのだと思います。

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