スキーを文化として発展させるために何が必要か | ニシムラマサキのブログ 【株式会社 西村工務店 代表取締役】【 SASAYA・うづかの森 オーナー】

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どうすれば地域を『素敵』に変えられるのか、誇るべき田舎になるのか、そんなことばかり考えています。



長年、スキーというスポーツに関わって、今考えていることを述べてみたいと思います。


今、スポーツの世界で、商業的に成功を収めているものといえば、私は、スケートと、サッカーがあげられると思います。

Jリーグが登場したのは、1992年。
それまでのサッカーは、日本もワールドカップにも出場できていなかったし、野球小僧はいても、サッカー小僧はそれほど多くありませんでした。

しかし、今やワールドカップ出場の常連となり、日本のトップ選手は、海外のビッククラブで活躍するようになりました。

しかも女子においては、実力は世界一です。


一方、フィギュアスケート。こちらも男子・女子共に、オリンピックで金メダルをとり、全日本選手権ですら、テレビではゴールデンタイムに放送したりします。



サッカーにおいては、もはや国民の文化まで落とし込まれ、老若男女が熱狂するスポーツまで発展しました。

強い選手が表れ、メディアでの露出が増えているので、子どもたちもそれに憧れ、底辺が広がり、そういった分厚い選手層の中から、さらにまた強い選手が生まれるという正のスパイラルがあります。

スケートにおいても、多くの企業が、そのブランド力を手に入れるために、スポンサーとなり、その資金で、選手育成がされ、強い選手が生まれ、子どもたちはそんなトップ選手にあこがれて、これまた底辺を広げていき、さらに強い選手の強化につながるという正のスパイラルがあります。


フィギュアスケートは、楽しむスポーツとしては、まだまだ文化のレベルには達していないでしょうが、完全にショーという部分では、完全に国民化したといってよいと思います。



私が関わっているスキーというのは、残念ながら、負のスパイラルに陥っています。
かつてのスキーがレジャースポーツとして隆盛を誇っていた時代からは一揆に落ちてしまい、スキー場の閉鎖が相次いでいきました。

アルペンスキーは、ワールドカップなどを除けば、テレビにほとんど出てきません。いま日本のトップで活躍している選手は、選手強化費も十分支援していただけていないために、自費で大会や合宿に飛び回っているという状況です。

前回のソチでは、女子にいたってはついには、オリンピックの出場枠ゼロという憂き目にあってしまいました。


私が尊敬するマックアアースグループのCEO一ノ本社長は、スキー場の再生でいまや30以上を超えるスキー場のオーナーでありますが、『持続可能な中山間地域の創造』を掲げられておられます。

スキーというスポーツは、いま言われている地方創生という観点で、中山間地域を支えるモノとしてたいへん重要な役割を果たしているのです。

かつて、冬場になれば、地元でできる仕事はほとんどなく、多くの人が出稼ぎとして、酒造りなどの仕事で数か月家族と離ればなれになっていた時期がありました。

しかし、スキー場というインフラは多くの人を雇用して、中山間地域に経済の循環を作り出しました。


多くの人に関心を寄せていただき、足しげく通ってもらえるために、スキーに関わるものは、それをレジャーとしてではなく、文化まで昇華させる必要があります。

そのためには、日本のスキーヤーたちの中から世界で戦える人材を育成していかなくてはいけません。

先に成功例としてあげた、サッカーやスケートなどのように、強い選手を業界全体でつくっていくこと、これが一つ、文化として昇華させる一つの道筋だと思います。

だから、スキーの選手を育成するための練習できる環境を整えたり、リフトの無料券などを支給して支援したり、ときに選手の育成のための金銭面での支援も必要かもしれません。

強いトップを作り出すためには、分厚いジュニア層をつくっていくことが何より必要なのです。



そのためには、地域をあげて、取り組む必要があります。


スキーはかつてナンパの道具として恰好のツールであった時代があります。なので、いまでもチャラいスポーツと思われている節もたぶんにあります。

しかし、地方創生という観点で述べたように、これは中山間地域を再生させるために重要な戦略として考えれば、もっと真剣にみつめていく必要があると思います。