以前、私の父親である会長に、西村工務店の原点とはいったいなんぞや…と聞いたことがあります。
父は、大工からスタートして、一つ一つの仕事を一生懸命にこなしていった…ただそれだけだったとそのときは話してくれました。
いわゆる経営理念とかそういうものが聞けるかと思ったけど、それ以上の話がでてこなかったので、ちょっと肩透かしを食ったような気がしました。
それでも、社員を雇い、香美町では、それなりの事業規模になったその原点みたいなものが知りたくて、いろいろ追及するのだけれど、本当に本人は、それ以上のことは思わなかったようです。
話題を変えつつ、その真意に迫ろうとしたら、ぽつっと、「地域の皆さんの期待に応える」という言葉が出てきて、そーかこの会社の原点は、そこにあるんだなーと改めて理解したのです。
時代の要請もあり、過去50年間は、均衡ある国土の発展のために、建設業は、地域を牽引する産業でありました。
時代はそういう時代からは本当に変わったと思います。
スマホ全盛のこの時代、距離が離れていても、誰かとつながることができ、また物流も発展し、インターネットで物が買え、地域を意識しなくても、生きられる時代になりつつあります。
しかし、そういう時代だからこそ、新しい地域像を模索してやっていく必要があるのではないかと思います。
私は、建設業の携わっていますが、おそらく、均衡ある国土はある程度その目的を達成したのだと思います。
いまから、私達がこの業界として考えなくてはいけないのは、地域のありようをデザインし、それをみなさんと共有しながら創造していくことです。
しかし、いかなる時代になろうとも、やはり地域があって、人の生活があるんだということを忘れてはいけないと思います。