今日は、規制について書きたいと思います。
それは、旅館業法についてです。
いま、田舎では空き家が増えています。
持ち主は親がこちらにいて、子供が都会に出てしまっているなどで、親が老いてきて、生活ができなくなって、子供のところに出たり、はたまた、福祉施設などにはいったり、まあ理由はさまざまですが、各集落にだいたい一つか二つぐらいはあると思います。
家は人の出入りがあるとないのとでは、『もち』がちがいます。
おそらく、人が出入りすると窓を開けたりして、通風があるので、湿気がこもらないからなんだと思います。
で、最近、田舎で生活してみたいと思う人がだんだん増えているようですが、こういった空き家を利用して、貸し別荘などをしたらどうかと思うのです。
しかし、田舎ぐらしにあこがれても、いきなり土着して生活できればいいのですが、なかなかハードルが高いです。
いろんなステップを踏んで、いざ田舎ぐらしに近づきたいという人は多いのではないかと思います。
一番手軽のは、農家民宿などを利用して、農家の生活に触れるというスタイルです。
これはあくまで民宿ですから、田舎体験とはいっても本当の入門編というところでしょう。
空き家を借りて生活するというスタイルはあります。これはまあ中級編といったところでしょうか。
実は、この入門編と中級編のところの間がないのです。その規制になっているのが、旅館業法なのです。
たとえばこんなケースが想定できると思います。
『空き家があって、それを一週間、試行的に田舎ぐらしを体験してみようと思い立ち、つてのつてを頼って、知り合いから空き家を紹介してもらった。
いまその空き家を管理しているのは、同じムラに住む親戚の人である。
親戚の人がカギを持っているのでということで、親戚のところからカギを借りた。
ふとんや、電化製品などは使えるものは使えるよということで使用した。
そして、一週間利用したら、ムラの人が最後のあと始末はしてくれるというので、ご好意に甘えた。で利用料として、3万円を管理者の方にお支払いをした。』
とったような感じです。
貸し別荘と名前のつくところは多くありますが、違法な営業をしていないかぎり、旅館業法の規制を受けています。
旅館業法では、もし、借りた人がある一定期間生活の本拠を置くこと、そして清掃などの管理を借りた人が行うことに該当しない限り、部屋を利用するのは旅館業法という規制がかかってしまってしまうのです。
そして、旅館業法の網がかかると、建物には常駐できる管理者を置かなくてはいけないですし、建物も改造して、一定の用件をみたした上で、旅館業の営業許可をとらなくてはいけなくなります。
しかし、普通住宅を貸すのに、貸す人は許可をとってやっているわけではありませんね。(仲介する人は、宅建業の許可が必要でしょうが…)
そこに、旅館業法がかなり大きく介入しているように感じます。
貸し別荘の中でも建物内に管理者をおいていないところがほとんどですが、それは同一敷地内にあるコテージのような場所にかぎられているようです。
もしくは、一定期間生活の本拠を置くことをかなり拡大解釈して、行っているということでしょう。
冒頭に言った空き家を貸し別荘として利用する場合に、建物内に常駐できる管理者を置くという点でアウトになるので、空き家を有効に利用する手段になっていかないのです。
以前管轄する、県に問い合わせたことがありますが、このような規制ができた背景には、みなしラブホテルを規制するためだと聞いたことがあります。
なんとも、時代遅れで、いまの社会的背景に沿っていないように感じるのは、わたしだけでしょうか。
集落にある空き家を区で管理するなどして、貸し別荘ができ、またそれを農地などとともに貸し出すことができるようになれば、過疎地域の活性化にも有効だと思うのですが…。