猪名川は白金という地域に行くことがあった。
猪名川というのは、生まれて初めて行った。
三田や川西の近くってのは、頭の知識としてはあったので、まあそういうイメージであったが、初めていく猪名川は、「こっちと全然変わらない」というのが、第一印象だった。
山あり川あり、篠山から行ったこともあって、ずいぶんと山深いところだなーと思った。
ところが、突如イオンが出現し、またニュータウンが出現した。ニュータウンの人口は3000世帯あるらしい。
旧村岡町をすっぽりと飲み込んでしまう規模だ。
ニュータウンの名にふさわしく、新しくきれいで、しかも庭もしっかりと手入れされている家がずらずらと並んでいて住宅地にふさわしい場所であることには、間違いがなかった。
しかし、自分の中に不思議と、憧れとか、うらやましさとかそんな感情がおこらなかった。
雨の日ということもあって、人通りが少なかったせいもあるのかもわからないが、なにかこう人間味みたいなものを感じなかったからかもしれない。
近くには、イオンもあるので、生活するのは、ことかかないだろう。
まったくここは田舎であって、田舎でなく、私たちの住んでいる村岡とは、とうてい異質なもののように思えた。
建設というジャンルで働いている私たちにとって、家だけではなく、まちのあるべき姿というがいつも気になる。
田舎はやはり田舎であって、ニュータウンのまねごとをやったところで、なんの価値も生み出さないのだと深く認識した。