アルベールビルオリンピックのことを思い出す。
ノルディック複合団体で、日本が金メダルを獲得した大会だ。
それまでスキージャンプはテレビ中継もされていて、ある程度知られていたが、ジャンプとクロスカントリーを組み合わせた「ノルディック複合」という競技についてはそのときに初めて知る人も多かったのだろうと思う。
当時の日本チームには、荻原健司、三ヶ田礼一、河野孝典といった名選手がいた。
彼らの身体能力は間違いなくトップレベルだ。
ただ、ここで少し冷静に考えてみたい。
もし彼らが「ジャンプ単体」で戦ったら、ジャンプ専門の選手に勝てるだろうか。あるいは「クロスカントリー単体」ではどうだろうか。
おそらく答えは、どちらも「簡単ではない」だろう。
それでも彼らは世界一になった。
なぜか。
それは、
「瞬発力が求められるジャンプ」と
「持久力が求められるクロスカントリー」
この全く異なる能力を、両方とも高いレベルで持っていたからだ。
つまり、「掛け合わせ」で勝ったのである。
たとえば、100m走では誰よりも速くない。フルマラソンでも誰よりも速くない。
それでも、
「この2つを組み合わせた競技なら絶対に負けない」
そんな領域が存在するかもしれない。
この話は、スポーツの世界に限らない。
例えば仕事でも、
営業だけならトップではない。
技術だけでも突出していない。
それでも「技術がわかる営業」という存在になった瞬間に、
他にはない価値が生まれる。
地域づくりでも同じだ。
私は、建設業を主なフィールドとして活動をしているが、建設の知識や経験に加えて、観光やデザイン、環境への視点を掛け合わせることで、単に工事を請け負う人ではなく「地域に価値をつくる仕事」へと変えてきた。
人生も同じだと思う。
人にはそれぞれ、得意なことや好きなこと、これまでの経験というベースがある。
それ単体では、誰かに勝てないかもしれない。
でも、組み合わせた瞬間に、誰にも真似できない価値になる。
それらをどう掛け合わせるか。
そこに、その人だけの「唯一無二」が生まれる。
だからこそ、もっと自分自身を見つめることが大切だと思う。
何が好きなのか。
何が得意なのか。
そして、それをどう組み合わせるのか。
アルペン、モーグル、スキークロス、ジャンプ、クロスカントリー…スキー競技にもさまざまあるが、ノルディック複合は、「キング・オブ・スキー」と呼ばれている。
それぞれの強みがかけあわさったとき、みんな、人生の王者になれるのだ。



