2025年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門) ファイナル 第6日 および結果発表 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

ベルギーのブリュッセルで開催されている、2025年エリザベート王妃国際音楽コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。

5月31日は、ファイナルの第6日、ついに最終日。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、2025年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)についてのこれまでの記事はこちら。

 

2021年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)が終わって

1次予選 第1~6日

セミファイナル 第1~5日

セミファイナル 第6日

ファイナル 第1日

ファイナル 第2日

ファイナル 第3日

ファイナル 第4日

ファイナル 第5日

 

 

 

 

 

以下、使用されたピアノはいずれもスタインウェイ/マーネである。

また、以下の協奏曲は大野和士指揮、ブリュッセル・フィルハーモニックとの共演である。

 

 

 

 

 

第6日(5月31日)

 

 

15. Masaya KAMEI (Japan, 2001-)

 

Kris Defoort: Music for the Heart

Camille Saint-Saëns Concerto n. 5 in F major op. 103

 

サン=サーンス、以前からこの曲を自家薬籠中の物としてきた彼は、もう曲が体に染みついている。

ぎこちない部分も機械的な部分もまるでなく、すべてのフレーズが生きている。

よくあるような音階の音型も、彼が弾くとピチピチ跳ねる魚のように活きがいい。

全体にエモーショナルというか、爽やかな朝の空気のような、優しくて前向きな雰囲気に満ちている。

そして終楽章では、協奏曲らしいクライマックスを作り上げる。

彼の強音は、桑原志織のような完全に脱力した柔らかい強音とは違って力みがあるけれど、その力みがかえって激しいドラマトゥルギーを生み出す。

テンポも相当に速く、普通のテンポに落ち着きそうになると、「それでは聴衆を熱狂させられない!」と言わんばかりにピアノ自らテンポを速め、オーケストラを引っ張っていく。

オーケストラとずれそうでずれない、大人数の中で音楽を牽引していく様が、まさに天性のソリストである。

 

 

10. Wataru HISASUE (Japan, 1994-)

 

Kris Defoort: Music for the Heart

Johannes Brahms: Concerto n. 2 in B flat major op. 83

 

ブラームス、技術的に何の不安もない、余裕綽々の演奏。

音楽的には、辛口の味わいだった桑原志織の同曲演奏よりもさらに辛口で、ドラマ性はほとんど表出されず、常に淡々としている。

非常に感情的な演奏の多かった12人ものファイナリストたちの演奏をずっと聴いてきて、胃がもたれた私たち聴き手としては、口直しにちょうどいい。

ただ、コンクールとしての評価はどうだろうか。

技巧的にもっと華やかな曲を選んで、それをさらりと弾いてのけてしまうほうが、彼には効果的だったのでは、とも感じた。

 

 

 

 

 

そんなわけで、ファイナル第1~6日の12人の演奏を気に入った順に並べると

 

15. Masaya KAMEI (Japan, 2001-)

24. Shiori KUWAHARA (Japan, 1995-)

04. Valère BURNON (Belgium, 1998-)

35. Jiaxin MIN (China, 1996-)

09. Arthur HINNEWINKEL (France, 2000-)

46. Sergey TANIN (Russian Federation, 1995-)

34. Nathalia MILSTEIN (France, 1995-)

55. Yuki YOSHIMI (Japan, 2000-)

10. Wataru HISASUE (Japan, 1994-)

14. Mirabelle KAJENJERI (France, 1998-)

32. Nikola MEEUWSEN (The Netherlands, 2002-)

03. Rachel BREEN (United States of America, 1996-)

 

といったところか。

亀井聖矢と桑原志織、どちらかが上か選べというのは、ホロヴィッツとバックハウスのどちらが上か選べというようなものだと思う。

全く別の良さがあって、到底選べない。

ダブル優勝にしてほしいところだが、協奏曲としての“華”を考慮して、ギリギリの選択でこのように並べてみた。

 

 

 

 

 

さて、ファイナルの実際の結果は以下のようになった。

 

 

【ファイナル結果】

 

1位: Nikola MEEUWSEN (The Netherlands, 2002-)

2位: Wataru HISASUE (Japan, 1994-)

3位: Valère BURNON (Belgium, 1998-)

4位: Arthur HINNEWINKEL (France, 2000-)

5位: Masaya KAMEI (Japan, 2001-)

6位: Sergey TANIN (Russian Federation, 1995-)

 

Audience awards (the Musiq’3 Prize): Valère BURNON

Audience awards (the Canvas-Klara Prize): Valère BURNON

 

 

 

 

 

以上である。

3~6位は概ね当たっている傾向だったが、1位と2位は私には意外だった。

Nikola MEEUWSEN、勇み足なところが多かったが、確かに音楽に勢いがあったし、完成度よりもポテンシャルが評価されたということか。

久末航は、逆に完成度が高く評価されたのかもしれない(別の曲にしたほうが、などと書いた私は恥ずかしい限りである)。

エリザベートコンクール第2位というと、日本人では若林顕(1987年)以来の快挙だろう。

亀井聖矢の第5位入賞も見事。

桑原志織はもう少し評価されてほしかったが、吉見友貴も含め全員がしっかり個性を出し尽くした中であり、これはこれで仕方ない。

全員を表彰したい気持ちである。

 

 


音楽(クラシック) ブログランキングへ

↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。

 

YouTube(こちら)やTwitter(こちら)もよろしければぜひ!