ベルギーのブリュッセルで開催されている、2025年エリザベート王妃国際音楽コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。
5月30日は、ファイナルの第5日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、2025年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)についてのこれまでの記事はこちら。
2021年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ピアノ部門)が終わって
以下、使用されたピアノはいずれもスタインウェイ/マーネである。
また、以下の協奏曲は大野和士指揮、ブリュッセル・フィルハーモニックとの共演である。
第5日(5月30日)
24. Shiori KUWAHARA (Japan, 1995-)
Kris Defoort: Music for the Heart
Johannes Brahms: Concerto n. 2 in B flat major op. 83
今大会のコンテスタントたちの中でも随一の卓越した技巧、安定したタッチを持つ。
コンクールにおいては、テクニックのある人は皆ラフマニノフやプロコフィエフを弾いてしまい、テクニックはないが音楽面で勝負する人がブラームスの協奏曲を選ぶ傾向にある。
フランス人たちの艶のあるブラームスも良いのだが(その記事はこちら)、やっぱりこの曲を本来あるべきベストの状態で聴きたい、そんな気持ちに真っ向から応えるのが桑原志織である。
隅々まで高い完成度に、揺るぎない確固たるテンポ感、そして音の芯を捉えたような重厚で強靱な打鍵。
やっぱりブラームスはこうでなくては。
ゆるふわではダメである。
私の中でこの曲の理想形に近い、バックハウス1939年盤とポリーニ1976年盤にも並びうる演奏だと思う。
彼女はストイックな辛口タイプのピアニストであり、他のファイナリストたちのような映える音色や表現は持ち合わせないが、そういった他の演奏がすべて小手先に聴こえてしまうほどの圧倒的な“本物感”、見事な正攻法の名演である。
14. Mirabelle KAJENJERI (France, 1998-)
Kris Defoort: Music for the Heart
Sergey Prokofiev: Concerto n. 3 in C major op. 26
フランス風の優美な音を持ち、プロコフィエフの乾いた音楽に一種の色彩をもたらしている。
ただ、技術面で言うと、弾けていないことはないのだが、今回この曲を弾いた4人の中では最も下と言わざるを得ない。
パワーの面でも、彼女はないほうではないのだが(1次のマゼッパなどなかなかだった)、この4人の中ではやや弱い。
これらはプロコフィエフにおいて特に重要な要素であり、これらを補ってあまりあるほどの強い個性(Jiaxin MINのこだわりの表現のような)があるかと言われると、そこまでではない気がする。
そんなわけで、ファイナル第1~5日の10人の演奏を気に入った順に並べると
24. Shiori KUWAHARA (Japan, 1995-)
04. Valère BURNON (Belgium, 1998-)
35. Jiaxin MIN (China, 1996-)
09. Arthur HINNEWINKEL (France, 2000-)
46. Sergey TANIN (Russian Federation, 1995-)
34. Nathalia MILSTEIN (France, 1995-)
55. Yuki YOSHIMI (Japan, 2000-)
14. Mirabelle KAJENJERI (France, 1998-)
32. Nikola MEEUWSEN (The Netherlands, 2002-)
03. Rachel BREEN (United States of America, 1996-)
といったところか。
桑原志織、高く評価されるのは明白だと思われるが、優勝するかどうかとなると、何とも分からない。
優勝するにはやはり派手さが必要だろうか、それとも彼女のストイックな演奏が最高の評価を受けることもあり得るだろうか。
次回(5月31日)はファイナルの第6日。
ついにファイナルの最終日である。
亀井聖矢と久末航が登場する。
桑原志織らの名演に対し、彼ら2人がどのように食い込んでいくだろうか。
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