大阪フィルハーモニー交響楽団
第571回定期演奏会
【日時】
2023年9月29日(金) 開演 19:00
【会場】
フェスティバルホール (大阪)
【演奏】
指揮(・オーボエ *):ハインツ・ホリガー
ハープ:平野花子 #
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター:崔文洙)
【プログラム】
ルトスワフスキ:オーボエとハープのための二重協奏曲 *#
ホリガー:音のかけら
シューベルト:交響曲 第8(9)番 ハ長調 D.944 「ザ・グレイト」
※アンコール(ソリスト) *#
ルトスワフスキ:3つの断章 より 第1番 Magia
大フィルの定期演奏会を聴きに行った。
指揮は、1939年スイス生まれのオーボエ奏者/指揮者/作曲家、ハインツ・ホリガー。
ソリストは、ホリガーと、1988年埼玉県生まれ、2007年USA国際ハープコンクール銀メダル受賞、2017年より大フィルのハープ奏者を務める、平野花子。
最初のプログラムは、ルトスワフスキの「オーボエとハープのための二重協奏曲」。
この曲で私の好きな録音は
●H.ホリガー(Ob) U.ホリガー(Hp) ギーレン指揮 シンシナティ響 1983年4月11日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube)
●H.ホリガー(Ob) U.ホリガー(Hp) ルトスワフスキ指揮 バイエルン放送響 1986年1月セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3)
●シェレンベルガー(Ob) ジュス(Hp) ペシュコ指揮 アムステルダム・フランツ・リスト室内管 1998年以前セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3)
●ルルー(Ob) モレッティ(Hp) カバラ指揮 シンフォニエッタ・クラコヴィア 2003年2月19-23日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3)
あたりである。
開放的なホリガー、繊細なシェレンベルガーとルルー、いずれも捨てがたい魅力がある。
今回、この曲の委嘱&初演者ホリガーによる演奏が生で聴ける貴重な機会だった。
ホリガーのオーボエは、終楽章の細かいパッセージなど上記の若き日の録音ほど明瞭ではない箇所もあったけれど、それでもホリガーにしか出せない音の存在感は健在、むしろさらに味が濃くなっていて、聴きごたえ満点。
平野花子のハープは、繊細というよりは直線的な表現だったけれど、かっちりとまとまっていて危なげなく聴けた。
12人の弦楽器、4人の打楽器奏者による室内オーケストラも言うことなし、特に打楽器は太鼓の迫力といい鉄琴・木琴の煌めきといい、生演奏だとよく映える。
総合的に、上のどの名盤よりも強い感銘を受けた。
この曲だけでも、聴きに行った甲斐があったと思う。
次のプログラムは、ホリガーの「音のかけら」。
この曲は、私はおそらく初めて聴いたけれど、各楽器の奏者たちが、みな名手のはずなのに普通の楽音は出さず、少しずつ変な音を出しては引っ込める、“大オーケストラの無駄遣い”ともいうべき面白い曲だった。
こういう挑戦的な曲を、今後も積極的に演奏してほしいと思う。
最後のプログラムは、シューベルトの交響曲第8(9)番「ザ・グレイト」。
この曲で私の好きな録音は
●アバド指揮 モーツァルト管 2011年9月19-23日ボローニャ、24,25日ボルツァーノライヴ盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
あたりである。
シューベルトの澄んだ歌を表現できるのは、晩年のアバドしかいない。
今回のホリガー&大フィルの演奏は、清澄なアバド盤とも、またずしっとしていた2017年のスダーン&大フィル(その記事はこちら)とも違った、きわめて軽快な解釈だった。
ホリガーがバーゼル室内管を振った録音とアプローチは似ている(YouTube)。
実にサクサクしていて、第1楽章の序奏から相当に速いテンポ、主部にかけて加速する必要がないほどだし、コーダの序奏再現でもテンポは全く落とさない。
感傷を完全に排した演奏で、シューベルトらしい歌心は望めないが、推進力はなかなかのもの。
20世紀のノイエ・ザッハリヒカイトやピリオド奏法の要素を現代に受け継いだ、躍動感のある演奏だった。
(画像はこちらのページよりお借りしました)
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