ブロードウェイ・ミュージカル 「ウエスト・サイド・ストーリー」
【日時】
2023年8月5日(土) 開演 17:00
【会場】
オリックス劇場 (大阪)
【プログラム】
バーンスタイン:「ウエスト・サイド・ストーリー」
【あらすじ】
ステージに炸裂するソング&ダンスの饗宴!
シェークスピアの「ロミオとジュリエット」をベースに、設定をニューヨークのウエストサイドに置きかえ、そこに芽生えた恋を描いた、ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」。
ミュージカル・ナンバーとして、トニーとマリアがデュエットする「TONIGHT」をはじめ、「AMERICA」、「I FEEL PRETTY」、「SOMEWHERE」などいくつもの広く知られた名曲が作品を彩る♪
胸に迫る超ド級の衝撃と陶酔。これぞ正真正銘のミュージカルだ!
舞台はNYのストリート。不良グループ「ジェッツ」と「シャークス」は人種の違いから対立状態にあった。ある日、ジェッツの元リーダー、トニーは現リーダーのリフとダンスパーティーに出かける。そこでトニーは美しい少女マリアに出会い、2人はまたたく間に恋に落ちた。しかし、彼女は対立するシャークスのリーダー、ベルナルドの妹だった。恋と友情の板挟みにトニーは悩み、禁断の恋は、悲劇の連鎖を生んでいくのだった・・・。
【スタッフ】
オリジナル演出・振付:ジェローム・ロビンス
脚本:アーサー・ロレンツ
音楽:レナード・バーンスタイン
作詞:スティーブン・ソンドハイム
演出:ロニー・プライス
振付:フリオ・モンへ
音楽監督:グラント・ストリアーレ
舞台美術:アンナ・ルイゾス
照明デザイン:ファブリス・ケブール
音響デザイン:トム・マーシャル
【キャスト】
PRINCIPALS
トニー:ジェイドン・ウェブスター
マリア:メラニー・シエラ
アニタ:キラ・ソルチェ
ベルナルド:アントニー・サンチェス
リフ:タイラー・ハーレイ
ADULTS
ドク:ダレン・マティアス
シュランク:ブレット・トゥオミ
クラブキ:エリック・グラットン
グラッドハンド:スチュアート・ダウリング
THE JETS(ジェッツ)
アクション:アンソニー・J・ガスバール3世
A-ラブ:スカイ・ベネット
ベビー・ジョン:ダニエル・ラッセル
スノーボーイ:リアム・ジョンソン
ビッグ・ディール:アシュトン・ランバート
ディーゼル:マレック・ズロウスキー
エニィボディズ:ローラ・レオ・ケリー
グラジェラ:ナタリー・スーティエ
ヴェルマ:ビクトリア・ビロ
ミニー:ニコル・レワンドウスキー
クラリス:ケイトリン・ニーヴーナー
THE SHARKS(シャークス)
チノ:クリストファー・アルバラード
ペペ:アレッサンドロ・J・ロペス
ムース:アーネスト・オリバス
ルイス:マイケル・ビショップ
アンキシャス:ヴァコ・グヴェレシアニ
ニブレス:ヘラルド・エスパルサ
ロザリア:ミチェル・ヴァスケス
コンスエーロ:ディアナ・カジョー
テレシタ:ジャンナ・アネージ
フランシスカ:マーヨ・リベロ
マルガリータ:ベロニカ・ケサダ
SWING & UNDER STUDY(スウィング&アンダースタディ)
ダニエル・ディピント
ジャスティン・ロペス
サラ・ゴールド
ガビ・シモンズ
【オーケストラ】
Music Director:Grant Horace Sturiale
Reed 1:Daniel Orie Dorrance
Reed 2:品川 政治、日向 秀司
Reed 3:Tanner Michael Dawson
Reed 4:鈴木 徹
Trumpet 1:柴山貴生、荒井弘太(大阪・群馬)
Trumpet 2:佐藤秀徳 *、牛腸和彦 *
Trombone:細貝潤 *、梶原彰人 *
French Horn:廣川実 *、比嘉康志 *
Violin 1:遠藤雄一(concert master)
Violin 2:谷口いづみ *、浮村恵梨子 *
Violin 3:佐久間大和 *(double concert master)、青柳萌 *
Violin 4:申愛聖 *、奈須田弦 *
Cello 1:鈴木和生 *、宮尾悠 *
Cello 2:谷口広樹 *、塚本慈和 *
Bass:安藤章夫
Percussion:土屋吉弘、清田裕里江
Drums:Taylor Gage Simpson
Keyboard:David Terriault、白石 准
* シアターオーケストラトーキョー
ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」を観に行った。
昨年に観た「ミス・サイゴン」(その記事はこちら)がヨーロッパ・ミュージカルの最高峰だとすると、「ウエスト・サイド・ストーリー」はアメリカ・ミュージカルの最高峰と言えるだろう。
私はニューヨークに行ったこともないし、ブロードウェイの来日公演も観たことがなかったので、初めてのブロードウェイはぜひこの曲で、と思ったのだった。
バーンスタインの「ウエスト・サイド・ストーリー」で私の好きな録音は
●ゴーバーマン指揮 管弦楽団 1957年9月29日セッション盤(Apple Music/CD/YouTube)
あたりである。
初演メンバーによる録音で、この何ともいえないノリのよさ、軽薄さが良い。
なお、このCDには、作曲者バーンスタインの指揮、ニューヨーク・フィルによる組曲「ウエスト・サイド・ストーリーからの交響的舞曲」(1961年録音)がカップリングされていて、そちらはもう少しクラシック音楽風の重みがあり、ダイナミックで、でもやはりノリがよくて、これまた良い。
この2種の録音ほど、1950~60年代のニューヨークの空気が感じられる同曲演奏は他にあるまい。
今回のストリアーレの指揮は、ゴーバーマンの軽みもバーンスタインの重みもなく、中庸といったところ。
個性は感じられなかったが、変なクセがあるよりはずっとよく、初めての生ブロードウェイを安心して楽しめた。
また、歌手陣は、上記初演メンバーであるトニー役のラリー・カート、マリア役のキャロル・ローレンス、アニタ役のチタ・リヴェラらの歌声にはやはり敵わないけれど、それでもみな水準以上の歌唱力ではあったし、美男美女たちでダンスも上手くて、さすがは本場のクオリティであった。
余談だが、トニーのナンバー「Something's Coming」は、本当は初演メンバーのラリー・カート以上に、好きなミュージカル歌手でヘルデンテノール風の声の持ち主、アーロン・トヴェイトのライヴ録音が最高(Apple Music/CD/YouTube)。
こういう歌をいつか生で聴いてみたいのだが、こんな声だとトニーにしてはかっこよすぎるかもしれない。
ともあれ「ウエスト・サイド・ストーリー」、やっぱり名曲である。
アメリカが最も栄えていた時代に、その栄光の裏側、ユダヤ移民やヒスパニック移民の悲哀を描いて、それにぴったりな音楽をバーンスタインはつけた(彼もまたユダヤ系だった)。
こうした“陰の真実”“弱者の悲哀”を表現するのに、音楽はしばしば非常に適した手段となる。
アメリカ音楽を発展させてきたのも、WASPよりも彼ら移民たち、またアフリカ系アメリカ人たちだった。
「ウエスト・サイド・ストーリー」は、そんなアメリカ音楽の全盛期を代表する記念碑的作品の一つであり、当時のアメリカの空気感を如実に表すとともに、それだけにとどまらず、人間の寛容/不寛容について、高い普遍性をもって私たちに訴えかける。
ノリノリで聴いていても、最後には涙してしまうのだった。
(カーテンコールの様子)
(画像はこちらのページからお借りしました)
↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。