日本センチュリー交響楽団 ハイドンマラソン32 飯森範親 ハイドン 交響曲第55、29番 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

日本センチュリー交響楽団

ハイドンマラソンHM.32

 

【日時】

2023年8月4日(金) 開演 19:00 (開場 18:00)

 

【会場】

ザ・シンフォニーホール (大阪)

 

【演奏】

指揮:飯森範親

フルート:永江真由子 *

ハープ:篠﨑和子 *

管弦楽:日本センチュリー交響楽団

(コンサートマスター:荒井英治)

 

【プログラム】

ハイドン:交響曲 第55番 変ホ長調 Hob. I:55 「校長先生」

モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K. 299 *

ハイドン:交響曲 第29番 ホ長調 Hob. I:29

 

 

 

 

 

センチュリー響のハイドンマラソン(ハイドンの交響曲全曲演奏会ツィクルス)Vol.32を聴きに行った。

というのも、今回はハイドンと同時に、好きなフルート奏者、永江真由子をソリストに迎えて、モーツァルトのフルートハープ協奏曲が演奏されるからである。

センチュリー響の首席フルート奏者である彼女は、大フィルの首席フルート奏者である田中玲奈とともに、関西オケのフルート奏者の二大巨頭だと私は勝手に考えている。

そんな彼女がフルートハープ協奏曲を演奏するとあっては、聴き逃すわけにはいかない。

 

 

 

 

 

モーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲」で私の好きな録音は

 

●パユ(Fl) ラングラメ(Hp) アバド指揮 ベルリン・フィル 1996年9月22,24,28,29日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube123

●パユ(Fl) レナエルツ(Hp) ルルー指揮 パリ室内管 2021年1月4-6日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube123

●シュッツ(Fl) ジュス(Hp) シェレンベルガー指揮 ベルリン響 2021年9月20-22日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube123

 

あたりである。

フランス系の華やかな音を持つエマニュエル・パユと、ウィーン風のまろやかな音を持つカール=ハインツ・シュッツ。

この2人のフルートには、抗しがたい魅力がある。

また、フランス・ベルギー系のマリー=ピエール・ラングラメとアンネレーン・レナエルツ、それからドイツ系のマルギット=アンナ・ジュス、彼女らのハープも、それぞれパユやシュッツの音楽性と相性が良い。

 

 

今回の永江真由子らの演奏は、これらの名盤に匹敵する、と言いたいほどに美しいものだった。

彼女は、パユやシュッツのような彩り豊かでふくよかな音とは対照的に、線の細い、淡く清廉な音を持つ。

また、一音一音の出し方がとても丁寧で、特にノンレガートの速い音階風パッセージの、きわめて均質に整えられていることにかけては、パユやシュッツにも勝るほど。

 

 

彼女は、殊更に各フレーズにニュアンスを付けることはせず、こじゃれたリズムの伸び縮みも排して、あくまで楽譜に忠実に、音量や音長の均等かつ滑らかな配分に細心の注意を払う。

その涼やかさ、清冽さは、古海行子の弾くモーツァルトの同じ調性のピアノ協奏曲第21番を思わせる(演奏動画はこちら)。

このように澄んだ“モーツァルトのハ長調”を聴けることは、ピアノにせよフルートにせよ、私のようなモーツァルトファンにとってこの上ない喜びである。

 

 

篠﨑和子のハープは、永江真由子のフルートほどの特別な清澄さはなかったにしても、この難しい技巧曲をしっかりこなしていたし、ニュアンスをあまり付けすぎない点も永江真由子の音楽性に合っていた。

飯森範親の洗練された指揮も含め、全体に文句なしの出来だった。

 

 

 

 

 

ハイドンの交響曲第55、29番は、私は普段ほとんど聴かない曲だが、さすがは飯森範親、こうした地味な曲でも聴かせる。

特に第29番、第2楽章の、対向配置された第1/第2ヴァイオリンの掛け合いが印象的。

これら2曲は、現在進行中の飯森範親&センチュリー響によるハイドン交響曲全曲録音に含まれることになると思われるが、それと同時に番外編として、上記モーツァルトのフルートハープ協奏曲の録音を、どうかどうか一緒に発売してくれないものだろうか。

もしそれが実現したならば、きっと同曲最高の名盤の一つとなることだろう。

 

 

 

(画像はこちらのページよりお借りしました)

 

 


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