オーストラリアのシドニーで開催されている、第13回シドニー国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。
7月18日は、ファイナルの第1日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、第13回シドニー国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。
(第12回シドニー国際ピアノコンクール ファイナル結果発表)
なお、以下の協奏曲はウンベルト・クレリチ指揮、シドニー交響楽団との共演である。
08. Yungyung GUO (11 September 2003)
Wolfgang Amadeus Mozart: Piano Concerto No.27 in B♭ major K.595
ピアノはカワイ。
予選でモーツァルトのアンダンテK.616も弾いていた彼女は、おそらくモーツァルトの後期作品が好きなのだろう。
確かに、彼女の美しい音色はそれにふさわしい面もあるが、全体的な雰囲気は、モーツァルトにしては地味な印象(天国的というよりは、暗い夜空に星が瞬くような)。
えいっ、と一音に気持ちを込める一方、滑らかな歌は犠牲になっており(終楽章は滑らかさも感じられたが)、好みが分かれそう。
13. Jeonghwan KIM (10 July 2000)
Wolfgang Amadeus Mozart: Piano Concerto No.22 in E♭ major K.482
ピアノはカワイ。
こちらはより自然で明るく滑らか、私としてはこちらのほうがモーツァルトのイメージに近いように感じる。
技巧面での安定性も高く、即興的な音型など遊び心もある。
ただ、音色のアドバンテージはあまりない。
また、ときどきあっけらかんとしすぎている部分があるのと(モーツァルトは全パッセージ歌ってほしい)、わずかにロマン派寄りの雰囲気なのが(ルバートなど)、気になるといえば気になる。
12. Uladzislau KHANDOHI (7 October 2001)
Ludwig van Beethoven: Piano Concerto No.3 in C minor Op.37
ピアノはスタインウェイ。
この日の3人の中では、音色面でも音量面でも最も華やかで、協奏曲にふさわしい。
ただ、弾けている部分とそうでない部分の差が大きく、見事な指捌きをみせる一方、第1楽章ではオーケストラと合わせづらそうにしている箇所があり、終楽章コーダでは高速テンポで攻めすぎてオクターヴトレモロで転んでしまっている。
そんなわけで、ファイナル第1日の3人の演奏を気に入った順に並べると
1. 13. Jeonghwan KIM (10 July 2000)
2. 12. Uladzislau KHANDOHI (7 October 2001)
3. 08. Yungyung GUO (11 September 2003)
といったところか。
3人とも一長一短あって、最終的には好みの問題になりそう。
次回(7月19日)はファイナルの第2日。
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