(雑誌「サラサーテ」と「ショパン」の第18回ショパン国際ピアノコンクール特集号) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

先日の第18回ショパン国際ピアノコンクール(その記事はこちらなど)に関する特集号が、雑誌「サラサーテ」および「ショパン」からそれぞれ発売された。

詳細は以下の通り。

 

 

 

 

 

 

 

第18回ショパン国際ピアノコンクール 雑誌 –

 

弦楽器専門誌「サラサーテ」12月増刊
『第18回ショパン国際ピアノコンクール』

《COVID-19に負けないショパン・パワーの面目躍如、第18回》

●ショパンに限りない情熱を持っている原口啓太が現地取材、編集をしました。

●コンクール結果速報
●編集人・原口啓太による優勝者・入賞者インタビュー
第1位:ブルース・リウ
第2位:反田恭平 (5ページ)
第2位:アレクサンダー・ガジェヴ
第3位:マルティン・ガルシア・ガルシア
第4位:小林愛実
第4位:ヤクブ・クシュリク
第5位:レオノーラ・アルメリーニ
第6位:J・J・ジュン・リ・ブイ

●審査員はこう見た/審査員長:カタジーナ・ポポヴァ=ズィドロン、
審査員:海老彰子、ケヴィン・ケナー、ピオトル・パレチニ、ネルソン・ゲリナー(酒井茜、原口啓太)

●166ステージ完全レビュー
第1次審査:高久暁
第2次審査:萩谷由喜子
第3次予選:酒井 茜
ファイナル:青柳いづみこ

●日本人コンテスタントたちの活躍:ピティナ/飯田有抄

●特別インタビュー:角野隼斗(かてぃん)

●ピアノメーカーの熱き闘い(ヤマハ/カワイ/スタインウェイ/ファツィオリ):酒井茜

●ポーランドメディアはどう伝えたか!?:木米真理恵

●ショパン172回目の命日に モーツァルト《レクイエム》:原口啓太

●ショパンの旅/洗礼を受けた聖ロフ教会、夏休みを過ごしたサンニキ:原口啓太

●各ステージ採点表:第1次予選/第2次予選/第3次予選:編集部

 

 

 

 

 

 

 

ショパン2021年12月号 雑誌 –

 

空前絶後の華麗なる戦い!
第18回ショパン国際ピアノコンクール大特集

1位 ブルース・シャオユー・リウ ■森岡葉
2位 反田恭平 ■森岡葉
2位 アレクサンダー・ガジェヴ ■アーリンク明美
3位 マルティン・ガルシア・ガルシア ■アーリンク明美
4位 小林愛実 ■森岡葉
4位 ヤクブ・クシリック ■アーリンク明美
5位 レオノーラ・アルメリーニ ■アーリンク明美
6位 JJジュン・リ・ブイ ■森岡 葉
ファイナリスト エヴァ・ゲヴォルギヤン/イ・ヒョク ■アーリンク明美
ファイナリスト カミル・パホレッツ/ハオ・ラオ ■森岡葉
第3次予選 コンテスタント23名全レビュー ■藤巻暢子
第1次予選、第2次予選レビュー ■高久暁
ファイナルレビュー ■藤巻暢子
第3次予選レビュー ■藤巻暢子
一次予選、二次予選概評 ■髙久暁

審査員インタビュー&メッセージ ■アーリンク明美&森岡葉
日本人コンテスタントに聞く! 私たちのショパン国際ピアノコンクール2021

先生に聞く! 江口文子先生/メディアの立ち位置 ■恒川洋子
江口文子先生が振り返る ショパン国際ピアノコンクール2021
音楽メディアのパワースポット=ショパン国際ピアノコンクール ■恒川洋子

ショパン国際ピアノコンクールピアノメーカーレポート ■小笠原萌子
YAMAHA
KAWAI
FAZIOLI
Steinway & Sons
来場者・スタッフインタビュー
結果一覧 ■アーリンク明美

Interview
第29回クララ・ハスキル国際ピアノコンクール ■東ゆか
第20回リーズ国際ピアノコンクール ■鬼木玲子
第14回シューベルト国際ピアノコンクール ■神田朝子
Topics
小倉貴久子と巡るクラシックの旅Vol.4 ノスタルジア ■神田朝子
Report
仲道郁代 ~ベーゼンドルファーを弾く ■武田奈菜子
Report 第22回大阪国際音楽コンクール ■長井進之介
国際アマチュアピアノコンクール2021 ■武田奈菜子
「パイプオルガンと横浜の街2021」 ■東ゆか

SIRIES
・ストピフリーセッション さなゑちゃん×よしかねさん
・ピアニストの手 川嶋 仁×パスカル・ロジェ
・アフロのピアノレッスン〜やめてしまったピアノを大人になってもう一度 〜第48回 第48回「ピアニストにピアノを習うということ」 ■稲垣えみ子
・現役最高齢(100歳)ピアニスト 室井摩耶子エッセイ ピアニストの呟き第94回「荷物」 ■室井摩耶子
・菊池亮太のぶらり音楽さんぽ 第4回「近年のJ-POPが面白過ぎる件」■菊池亮太
・世紀を飾るプロフェッショナルの肖像■上地隆裕
・至福の音を作り続けるヴァーチュアオーソ(VIRTUOSO)たちの光と影(沖縄からの音楽通信)第42回 マルタ・アルゲリッチ
・ピーター鈴木の横丁ばなし■鈴木達也
・第8回 財団法人ヤマハ音楽振興会 川上源一理事長の執念

音本。-Books info-
道下京子のCD PICK UP!
演奏会から
9月22日金澤克史ピアノリサイタル ■伏谷佳代
10月1日福井敬介ピアノリサイタル ■秦はるひ

ショパンバックナンバーのご案内
INFORMATION

おたよりカフェテラス

 

 

 

 

 

以上、Amazonのサイトより引用した(引用元のページはこちらこちら)。

 

 

 

 

 

これら二つの特集号から、印象に残ったインタビュー文をいくつか引用したい。

下記のもの以外にも多くの興味深い発言が載っており、採点表(その記事はこちら)と見比べて読むと面白い。

 

 

反田恭平(コンテスタント)

“演奏後、一度だけ食事をしたことがあるクリスチャン・ツィメルマンから連絡が来て「最高の《英雄ポロネーズ》だった」と言われました。”

 

 

カタジーナ・ポポヴァ=ズィドロン(審査員長)

“私は小林愛実さんや角野隼斗さん、ス・ヨン・キムさんの演奏も大好きでした。小林さんはこの6年間でアーティストとしてかなりの成長をしたと思います。他の日本人では、沢田蒼梧さん、古海行子さんの演奏も個性があり好きでした。”

 

 

ケヴィン・ケナー(審査員)

“私はブルース・リウの優勝を主張する同僚をサポートして審査員の意見の一致を図りました。議論はないのですよ。結果発表までに時間がかかったのは複雑な投票システムのせいです。話し合ったのは第1位を出すかどうか、第2位をふたりにするかどうか、そして特別賞の行方だけです。”

“角野隼斗さんのスケルツォやバラード、進藤実優さんのソナタが印象に残っています。第2位の反田恭平さん、第4位の小林愛実さんとともに今後の活躍が楽しみです。”

 

 

エヴァ・ポブウォツカ(審査員)

“ブルース・リウが優勝した理由は、第3次審査での《ドン・ジョヴァンニ》変奏曲での圧倒的な名演ですね。まるでシューラ・チェルカスキーのような19世紀のヴィルトゥオーソです。大袈裟ではなく本物の演奏で、彼の第1位は確信していました。”

“日本人ファイナリストのふたりもよくがんばりましたね。反田恭平はたいへんタフで、とても優秀なピアニスト。全ラウンドでとても安定していました。小林愛実の24のプレリュードは、私にとって、このコンクールでのハイライトのひとつでした。彼女にしかできない真実の演奏。私は審査員席から思わず拍手をしてしまったくらいです。彼女は本当のアーティストです。”

 

 

ピオトル・パレチニ(審査員)

“今までたくさんの優秀な生徒をショパンコンクールに送り出しました。2005年の山本貴志さんの第4位が最高だったのですが、恭平の第2位は心からうれしいです。”

“彼(注:反田恭平)はすでに全て備わったピアニストで、私は彼の師匠であることに誇りを持っています。”

 

 

ネルソン・ゲルナー(審査員)

“ブルース・リウの優勝は誰の目にも明白でした。”

“小林愛実は第4位でしたが、プレリュードは彼女の音楽世界を完璧に表していました。独自なアーティストです。”

“私のお気に入りのピアニスト達がファイナルに進出した事には満足はしていますが、順番は少し違っても良いと思いますし、残念ながら落選したお気に入りのピアニストもいます。日本人の古海行子さんがファイナル進出できなかったのもとても残念でした。”

 

 

ディーナ・ヨッフェ(審査員)

“今回出場した日本人は皆素晴らしかったと思いました。特に小林愛実さん、反田恭平さん、進藤実優さん、角野隼斗さん。彼らはとても想像力があり、本物のアーティストです。”

 

 

海老彰子(審査員)

“Yes & Noとか点数だけでなく、フィギュア・スケートのようにテクニカル・メリット、アーティスティック・インプレッションとか、独創性、伝統的なショパン演奏など、要素に分けて審査した方がいいのではないかとコンクール事務局に今後のための提案をしました。”

 

 

 

 

 

なお、この最後の海老彰子の発言に関して、私も同じようなことを考えていたので(下記リブログ元の記事を参照されたい)、大いに溜飲が下がった。

とても良いと思ったコンテスタントも、少し良いと思ったコンテスタントも、同じ「Yes」となり差がつかないのはいかがなものか、かといって25点満点で何となく点数を付けるのも良くないので、フィギュアスケートのように多項目細分評価を導入しては、ということである。

どのような項目にするか等、多くの議論が必要とされるだろうが、作り込めばより厳正な審査システムになりそうな気がする。

これまで「音楽のオリンピック」として、世界の音楽コンクールに先駆けて審査法をいち早く改善してきたショパンコンクール(その記事はこちら)が、本件に関してもぜひ一肌脱いでほしいものである。

 

 

 

 


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