(桑原志織のライヴDVD ストラヴィンスキー ペトルーシュカより リスト ラ・カンパネラ) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

先日書いた中川真耶加、丸山凪乃、進藤実優に引き続き、今回は桑原志織の2019年3月4日の宗次ホールでのピアノリサイタルのライヴDVDを視聴した。

この公演には私は行っていないので、聴くのは今回が初めて。

曲目は以下の通り。

 

 

シューマン/リスト:献呈

ストラヴィンスキー:「ペトルーシュカからの3楽章」 より ロシアの踊り

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 op.27-2 「月光」 より 第1、3楽章

リスト:パガニーニ大練習曲 第3番 嬰ト短調 S.141/3 「ラ・カンパネラ」

 

※アンコール

プッチーニ:「ジャンニ・スキッキ」 より 私のお父さん

(クラリネット 阿部寛己)

 

 

中川真耶加、丸山凪乃、進藤実優といったショパン弾きたちと違って、桑原志織のピアノは辛口のテイスト。

シューマン/リストの「献呈」やベートーヴェンの「月光」ソナタはもう少し甘口が好みだが、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」は相変わらずうまい(彼女はこの約半年後の2019年8月にブゾーニコンクールで同曲を演奏した)。

ブゾーニコンクールでの演奏の方がやや活きがいい気もするが(当DVDの音質が悪いからか、あるいはその半年でさらに上達したのか)、ブゾーニのときの冒頭部分右手連続オクターヴでのミスタッチが今回はないなど、当DVDにも長所はある。

 

 

リストの「ラ・カンパネラ」も、丸山凪乃や進藤実優の抒情的な同曲演奏とは異なり、きりっとしている。

よく通る美音だが甘くなく、言うなれば鐘の音の無機質な、金属的な美しさである。

テクニック面も全体的に安定している。

真ん中あたりの右手の同音三連打はテンポが落ち苦しそうだが、その分ごまかさずに弾こうとしているのが伝わる。

そして、コーダでの分厚い和音の力強さはリストにふさわしい。

新型コロナウイルスの影響で延期にはなってしまったが、彼女が出場予定のエリザベート王妃国際音楽コンクールでの活躍が期待される。

 

 

なお、宗次ホールのこれまでのライヴDVDについての記事はこちら。

 

中川真耶加のライヴDVD ショパン 即興曲第3番 舟歌 スケルツォ第1番 マズルカ第32番

丸山凪乃のライヴDVD ショパン バラード第1、4番 ワルツ第2番 マズルカ作品59

進藤実優のライヴDVD リスト ラ・カンパネラ ショパン バラード第1番

 

私が注文したのは以上3つと今回のもの、計4つである。

このような名企画を実現して下さった宗次ホールの関係者および音楽家の皆様には深く感謝申し上げたい。

 

 


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