大阪フィルハーモニー交響楽団 第533回定期 準メルクル シューマン 交響曲第3番 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

大阪フィルハーモニー交響楽団

第533回定期演奏会

 

【日時】

2019年11月27日(水) 開演 19:00 (開場 18:00)

 

【会場】

フェスティバルホール (大阪)

 

【演奏】

指揮:準・メルクル

ピアノ:児玉麻里 *、児玉桃 *

管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団

(コンサートマスター:三浦章宏)

 

【プログラム】

ドビュッシー:子どもの領分(カプレ編)

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲

武満 徹:夢の引用 -Say sea, take me!- *

シューマン:交響曲 第3番 変ホ長調 作品97 「ライン」

 

※アンコール(ソリスト) *

ラヴェル:マ・メール・ロワ より 第3曲 「パゴダの女王レドロネット」

 

 

 

 

 

大フィルの定期演奏会を聴きに行った。

指揮は、1959年ドイツ生まれの指揮者、準メルクル。

彼の実演を聴くのはおそらく2回目(1回目の記事はこちら)。

 

 

最初の曲は、ドビュッシー/カプレの「子供の領分」だが、遅れていったのでこれは聴けなかった。

次の曲は、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」。

この曲で私の好きな録音は、

 

●ネゼ=セガン指揮 グラン・モントリオール・メトロポリタン管 2007年3月27-28日セッション盤(NMLApple MusicCD

 

あたりである。

今回の準メルクル&大フィルの演奏は、リヨン国立菅を振った彼自身の録音とよく似たアプローチ。

冒頭のフルート・ソロをゆっくり引き延ばしたり、途中でテンポをさっと速めたりといった濃いめの表情付けを随所で行いながらも、全体的には穏やかで明るい雰囲気を持っている。

ただ、より自然体でありながらあまりにも精妙で洗練されきった上記ネゼ=セガン盤と比べてしまうと、細部がやや大味に聴こえてしまい分が悪い。

 

 

次の曲は、武満徹の「夢の引用」。

この曲で私の好きな録音は、

 

●クロスリー(Pf) P.ゼルキン(Pf) ナッセン指揮 ロンドン・シンフォニエッタ 1997年3月セッション盤(NMLApple MusicCD

 

である。

この盤のような不思議な魅力は今回の演奏からは感じられなかったが、それでも大フィルのヴァイオリン群の明るい美音が活かされていた。

児玉麻里&桃のピアノも、ややそっけない硬派な感じが妙に曲とマッチして面白かった。

 

 

休憩をはさんで、後半の曲はシューマンの交響曲第3番「ライン」。

この曲で私の好きな録音は、

 

●アーノンクール指揮 ヨーロッパ室内管 1993年6月グラーツライヴ盤(NMLApple MusicCD

 

あたりである。

今回の準メルクル&大フィルの演奏は、第1楽章など爽快でなかなか良かったけれど、楽章が進むにつれ物足りなさも覚えた。

交響曲第1番であれば、こうしたアプローチがよく合っただろう。

しかし、後期様式への入り口に立つこのシューマン最後の交響曲においては、何と言ったらいいか、壮麗さの裏に秘められたそこはかとない物悲しさのようなものがもう少し欲しい。

それは、陽気な第2楽章と穏やかな第3楽章、荘重な第4楽章と活気ある第5楽章といった、一見性格を異にする箇所においても変わらず通底する、この曲の大事な要素だと思う。

上記アーノンクール盤ではそうした要素がしっとりとよく表現されているのだが、今回の準メルクルの演奏からはそれが感じられなかった。

とはいえ、彼の明るい音作り(特にやはりヴァイオリン)がここでも印象的ではあった。

 

 

 

(画像はこちらのページよりお借りしました)

 

 


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