(古海行子とグレン・グールド) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

好きなピアニストの、古海行子。

今回のピティナ特級では(それについての記事はこちらなど)、きっと優勝すると思っていたので、第3位と知って最初はショックだったけれど、考えてみれば第3位でも十分にすごいことである。

それに、聴衆賞では見事、第1位を獲得した。

さすがなことだし、数多くの名演を聴かせてくれて本当に感謝である。

 

 

そんな古海行子の入賞を記念して、彼女の演奏が入っているCDを購入してみた。

下記のものである。

 

第15回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA 受賞者記念アルバム

 

2014年に行われたショパン国際ピアノコンクール in ASIAの、アジア大会金賞受賞者の演奏CDである。

古海行子は高校生部門で金賞を受賞しており、演奏曲目はショパンの練習曲 Op.10-5 「黒鍵」と、幻想曲 ヘ短調 Op.49となっている。

 

 

聴いてみると、もちろんうまい。

うまいのだけれど、左手の和音の安定性といい、右手の走句の鮮やかさといい、現在の彼女のあまりに洗練されたトップクラスのレベルに比べると、そこまでの特別さはまだないような気がする。

とてもうまいけれど、他の金賞受賞者よりも飛びぬけて優れていたというよりは、同じくらいのうまさであったように聴こえる。

それが、今では世界でも最高度の技量を持ったピアニストの一人となっている。

そうなると、彼女はこの3~4年で驚くべき成長を遂げた、ということになる。

これほどの急成長がありうるのだということに、私は驚きを覚えた。

 

 

同じような事例として思い浮かんだのが、伝説のピアニスト、グレン・グールドである。

彼の1952年の「エロイカ変奏曲」の放送用録音を聴いてみると(当時彼は19~20歳)、もちろんうまいのだけれど、まだ少し大味なところもけっこうあって、完成度としては他のピアニストとそれほど変わらないように思われる。

それが、1955年の「ゴルトベルク変奏曲」のセッション録音になると(当時彼は22~23歳)、その衝撃的な完成度の高さについては、有名な録音なので今さら言うまでもないほど。

ピアニストにとって、20歳前後の3年間というのは、私たちが想像するよりもずっと密度の濃い、大きな飛躍のための大切な時期なのかもしれない。

 

 

なお、このショパンコンクール in ASIAのCDには、今回のピティナ特級のファイナリスト、武岡早紀の演奏も入っていて、こちらもなかなか良い。

 

 

蛇足だが、以前に購入した、別の回のショパンコンクール in ASIAのCDについての感想記事は、こちら。

 

ショパン国際ピアノコンクール in ASIA 受賞者記念アルバム

 

続・ショパン国際ピアノコンクール in ASIA 受賞者記念アルバム

 

 


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