ローム ミュージック ファンデーション スカラシップ コンサート Vol.17 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

ローム ミュージック ファンデーション スカラシップ コンサート Vol.17

 

【日時】

2018年8月5日(日) 開演 15:00 (開場 14:30)

 

【会場】

京都府立府民ホール アルティ

 

【演奏・プログラム】

・加藤 大樹 (ピアノ)
J.S.バッハ:協奏曲 ニ短調 (マルチェロのオーボエ協奏曲による) より アダージョ BWV974
J.S.バッハ:コラール前奏曲「主イエス・キリスト、われらを顧みたまえ」 BWV655

J.S.バッハ:コラール前奏曲「いと高きところにいる神にのみ栄光あれ」 BWV715

D.ショスタコーヴィチ:前奏曲とフーガ 変ニ長調 作品87-15

 

・杉田 恵理 (ヴィオラ)
A.ヴェプリク:ラプソディー 作品11

  ピアノ 吉武 優

 

・森山 まひる (ヴァイオリン)

P.サラサーテ:カルメン幻想曲 作品25

  ピアノ 越知 晴子

 

・黒田 哲平 (ピアノ)

J.ブラームス:2つのラプソディー 作品79 より 第1番 ロ短調

J.ブラームス:ハンガリーの歌の主題による変奏曲 ニ長調 作品21-2

 

・梅村 知世 (ピアノ)

R.シューマン:幻想小曲集 作品12 より

   1. 「夕べに」

   2. 「飛翔」

   7. 「夢のもつれ」

   8. 「歌の終わり」

 

・佐藤 晴真 (チェロ)

R.シューマン:アダージョとアレグロ 作品70

R.シューマン:幻想小曲集 作品73

  ピアノ 梅村 知世

 

・林 佑子 (ソプラノ)
R.シュトラウス:<4つの歌> 作品36 TrV186 より 第3曲 「私の父は言いました」

R.シュトラウス:〈5つの小さな歌〉 作品69 TrV237 より 第5曲 「悪天候」

R.シュトラウス:〈"最後の花びら"による8つの歌〉 作品10 TrV141 より 第2曲 「なにも」
F.J.ハイドン:歌劇<月の世界> より 「人には分別があります」
N.A.リムスキー=コルサコフ:歌劇〈雪娘〉 より 雪娘のアリア
  ピアノ 日高 志野

 

 

 

 

 

前回に引き続き(その記事はこちら)、ロームミュージックファンデーション スカラシップコンサートを聴きに行った。

ロームの奨学生によるコンサートシリーズである。

本日は、今年の第2回。

 

 

最初は、ピアノの加藤大樹(かとうだいき)による、バッハのチェンバロ曲、オルガン曲とショスタコーヴィチの前奏曲とフーガ。

加藤大樹については、リストのメフィスト・ワルツの2015年浜コンライヴCDを愛聴している。

彼の実演を聴くのは今回が初めて。

ショスタコーヴィチのフーガ、かなりの高速テンポ(メルニコフ盤以上だったかも)。

スリリングな演奏だった。

ショスタコーヴィチ特有の暗さだとか焦燥感だとかはあまり感じられず、どちらかというと健康的なアプローチだったけれど、これはこれでありだと思う。

 

 

次は、ヴィオラの杉田恵理(すぎたえり)による、ヴェプリクのラプソディー。

なじみのない曲なので確かなことは言えないけれど、ヴィオラらしい温かみのある音だったように思う。

なお、ピアノの吉武優については、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第13番の2015年浜コンライヴCDを愛聴している。

彼の実演を聴くのは今回が初めて。

彼らしいはっきりとした明快な音が聴かれ、なかなかの存在感だった。

 

 

次は、ヴァイオリンの森山まひる(もりやままひる)による、サラサーテのカルメン幻想曲。

とても若くて、元気いっぱいの演奏。

音楽的な表現力という点では、まだこれからの成長に期待したいところ。

最後の「ジプシーの歌」の部分は、重音奏法が安定しており見事だった。

技巧面でのポテンシャルがかなりあるのかも。

ただ、最後の最後、細かい刻みの間に挟まれた「ミレドシラ」「レドシラソ」「ドシラソファ」(階名表記)といった音階下行音型では、やや粗さが目立った(こういったところ、五嶋みどりは本当にうまい→動画はこちら)。

 

 

次は、ピアノの黒田哲平(くろだてっぺい)による、ブラームスのラプソディー第1番とハンガリー変奏曲。

昨日のアンサンブルで好印象だった彼だが、ソロではまずまずか。

強音部分の音の質がやや硬めで、単調な印象がある。

ただ、弱音部分の歌わせ方はなかなかうまく説得力があった。

 

 

次は、ピアノの梅村知世(うめむらともよ)による、シューマンの幻想小曲集の抜粋。

こちらも表現がやや生硬な印象で、もう少しシューマンらしいファンタジーが感じられると良かった。

ただ、例えば第8曲「歌の終わり」での内声部の強調など、作曲家の意図を丁寧に汲み取ろうとしている様子は感じられた。

 

 

次は、チェロの佐藤晴真(さとうはるま)による、シューマンのアダージョとアレグロ、および幻想小曲集。

技巧面、音楽面ともにあまり穴はないのだが、真面目すぎるのか、これといった個性的な魅力にはやや乏しいか。

こうなると、シューマンは面白くなくなってしまう。

ただ、まだ若いし、今後ひと皮むけるかもしれない。

 

 

最後は、ソプラノの林佑子(はやしゆうこ)による、R.シュトラウスのリート集とハイドンおよびR=コルサコフのオペラ・アリア。

生き生きとした表情、演技、歌唱が印象的だった。

昨日の吉澤淳ともまた違ったタイプで、オペラらしい明るい華やかさがある。

歌の役柄になりきっている様子で、リートでさえまるでオペラ・アリアのように表情豊か。

細部で音程にややムラがある部分もあったが、それほど気にはならなかった。

なお、ピアノ伴奏の日高志野は、昨日もそうだったのだが、衣装が独特で面白い(少しユジャ・ワン風?そこまでではないか)。

 

 

以上である。

同じロームのスカラシップコンサートシリーズの、今年の第3、4回の公演(8月26日開催予定)も楽しみ。

 

 

 

(画像はこちらのページからお借りしました)

 

 


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