ローム ミュージック ファンデーション スカラシップ コンサート Vol.16 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

ローム ミュージック ファンデーション スカラシップ コンサート Vol.16

 

【日時】

2018年8月4日(土) 開演 15:00 (開場 14:30)

 

【会場】

京都府立府民ホール アルティ

 

【演奏・プログラム】

・安田 理沙 (ヴァイオリン)
F.クライスラー:美しきロスマリン ト長調
J.マスネ:タイスの瞑想曲 (歌劇<タイス> 第2幕 より)
F.クライスラー:愛の悲しみ
  ピアノ 河合 珠江

 

・荒井 優利奈 (ヴァイオリン)
E.イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ホ短調

 

・千葉 水晶 (ヴァイオリン)
E.エルガー:ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 作品82 より 第2、3楽章
  ピアノ 黒田 哲平

 
・日高 志野 (ピアノ)
S.ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 作品36

 
・藤原 秀章 (チェロ)
黛敏郎:BUNRAKU

 

・吉澤 淳 (ソプラノ)

H.ヴォルフ:〈イタリア歌曲集〉 より 第1曲 「小さなものでも」

H.ヴォルフ:〈メーリケ歌曲集〉 より 第2曲 「少年とミツバチ」

H.ヴォルフ:〈メーリケ歌曲集〉 より 第6曲 「春が来た」

G.ドニゼッティ:歌劇〈シャモニーのリンダ〉 より 「ああ、この心の光」
  ピアノ 大西 真理子
 
・黒川 侑 (ヴァイオリン)
L.v.ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 変ホ長調 作品12-3
  ピアノ 金 ジャン ミッシェル

 

 

 

 

 

ロームミュージックファンデーション スカラシップコンサートを聴きに行った。

ロームの奨学生によるコンサートである。

昨年のちょうど今頃、このシリーズの演奏会を初めて聴きに行って、石井楓子という素晴らしいピアニストを知ることができた(そのときの記事はこちら)。

今年は同じシリーズの演奏会が全4回予定されている(Vol.16~19)。

本日はその1回目。

どのような演奏家に巡り合えるだろうか。

 

 

最初は、ヴァイオリンの安田理沙(やすだりさ)による、クライスラーやマスネの小品集。

割ときっちりした感じの演奏で、もう少し艶のようなものがあるといいかもしれない。

 

 

次は、ヴァイオリンの荒井優利奈(あらいゆりな)による、イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第4番。

音量がけっこうあり、音程も安定していて、なかなかの技量だと思った。

ただ、終盤の和音の連続部分で少し危ういところもあったか。

あと、全体的にもう少し細部の繊細な表現が聴かれるとなお良いと感じた(イブラギモヴァ盤のような)。

 

 

次は、ヴァイオリンの千葉水晶(ちばみずき)による、エルガーのヴァイオリン・ソナタ(第2、3楽章)。

これは、なかなか良かった。

五嶋みどり盤ほどの精緻さはないにしても、まずまず安定感はあるし、何よりも音の柔らかさが印象的だった。

第2楽章の中間部の美しいメロディが、何とも優しく響く。

ピアノの黒田哲平ともども、好印象。

 

 

次は、ピアノの日高志野(ひだかしの)による、ラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番。

瑕なく弾けているが、全体的に音が硬めで、またニュアンス付けがあまりなく淡白。

もう少しリリシズムをつけるか、あるいはテクニック的なキレを示すか、何かしらの突出したワンポイントがほしかった。

ただ、1913年版と1931年版とを共に取り入れた独自の校訂版を用いたというのは、なかなか面白い試み。

 

 

次は、チェロの藤原秀章(ふじわらひであき)による、黛敏郎の「BUNRAKU」。

日本らしさと西洋らしさの混ざったような、不思議な音楽。

初めて聴く曲なので、演奏については判断しづらいけれど、独特の雰囲気が出ていてなかなか悪くないように思った。

 

 

次は、ソプラノの吉澤淳(よしざわまこと)による、ヴォルフのリート集とドニゼッティのオペラ・アリア。

これは、なかなか良かった。

彼女の声は、バーバラ・ボニーのような天上の声とは言わないけれど、なかなか美しかったし、細部までおろそかにならず繊細に歌われるのが良い。

華やかな声量があるというよりは、むしろしっとりとしたリートに向いているかもしれない。

とはいえ、オペラ・アリアのほうも丁寧で良かった。

本日の演奏の中では、一番良かったかもしれない。

 

 

最後は、ヴァイオリンの黒川侑(くろかわゆう)による、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第3番。

分厚めの音による悠揚とした演奏で、音程面などやや大味なところもあり、私の好みとは違っている。

ただ、緩徐楽章などでは温かみのある表現が聴かれた。

なお、ピアノの金ジャンミッシェルは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第10番やドビュッシーの「版画」の、2015年浜コンライヴCDを愛聴している。

実演を聴くのは今回が初めてだが、メルニコフ盤ほどとは言わないまでも、粒のそろった打鍵が印象的だった。

彼のフランス風の硬質で軽めの音は、この曲に合っている気がする。

 

 

以上である。

本日は、今年のロームのスカラシップコンサートシリーズの第1回だったが、第2~4回も楽しみ。

特に、石井楓子の演奏が聴ける第3、4回は必聴である(ともに8月26日)。

 

 

 

(画像はこちらのページからお借りしました)

 

 


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