(アレクサンドル・メルニコフの新譜 ドビュッシー 前奏曲集第2巻) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

好きなピアニスト、アレクサンドル・メルニコフの「Four Pianos, Four Pieces」という新譜について今年の冬に書いたけれど(その記事はこちら)、今回また別の新譜が発売された。

飛ぶ鳥を落とす勢いである。

今回の新譜の曲目は、ドビュッシーの前奏曲集第2巻、および「海」の4手ピアノ版(NMLApple MusicCD)。

詳細は以下の通り。

 

 

 

 

 

 


これこそ真のドビュッシー、
目から鱗の連続のメルニコフ驚嘆の最新盤!


ドビュッシー・イヤーの今年、ハルモニア・ムンディは特別なリリースを数本用意しています。その第一弾はメルニコフによる『前奏曲集 第2巻』。メルニコフの独特な解釈はもちろん、彼所有の1885年頃製のエラール・ピアノを用いている点も注目です。
 一聴して驚かされるのはその響き。『海』も『前奏曲集 第2巻』もドビュッシーが印象主義的作風を確立した作品として名高く、茫漠とした響きで再現されることが多いですが、ここでは明快かつ明るい音色でくっきりと輪郭線を描いています。とはいっても即物的なものではなく、たっぷり歌っているのも特徴です。「ビーノの門」「花火」の激しい部分も決して叩かずに凄まじい効果をあげているのがさすが。ドビュッシー自身の演奏はこのようなものだったかと妄想させられます。
 カップリングはドビュッシー自身がピアノ4手用に編曲した交響詩『海』。手の接近や交差、複雑なトレモロの多用など演奏は極めて難しく、これまでの録音も2台のピアノを用いることばかりでしたが、ここでは若手女流のオリガ・パーシチェンコとエラールの銘器を連弾。1986年生まれのパーシチェンコはリュビモフ門下で、フォルテピアノ、チェンバロ、オルガン奏者として非常に注目されています。この『海』もクリアで推進力に満ち、ドビュッシーが頭で描いていたであろう日本の浮世絵のように鮮やかでクリアな色彩に目から鱗が落ちること間違いありません。(写真© Julien Mignot)(輸入元情報)

【収録情報】
ドビュッシー:
1. 前奏曲集 第2巻(全12曲)
2. 交響詩『海』(作曲者編による4手版)


 アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)
 オリガ・パーシチェンコ(ピアノ:2)

 使用楽器:1885年頃製のエラール・ピアノ

 録音時期:2016年10月19-22日、2017年6月6,7日
 録音場所:ベルリン、テルデックス・スタジオ
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

 

 

 

 

 

なお、上記はHMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

メルニコフというと、ドビュッシーが得意そうなイメージはあまりなかった。

というのも、

 

1. 彼の打鍵はかなりしっかりしているので、ドビュッシーには少し重いかもしれない

2. 彼の演奏は薄めのペダルで明晰性を重視するので、ドビュッシーらし雰囲気はあまり出ないかもしれない

 

と思われたためである。

 

 

しかし、このアルバムを聴いてみると、そんなことはなかった。

おそらく、ピリオド楽器を使用しているというのが大きいと思う。

1885年製のエラールのピアノは、現代のピアノに比べ音が軽めであるため、彼が弾いても重く聴こえない。

それに、現代のピアノに比べペダルが響き過ぎないので、彼にしては思い切ってペダルを使っており、結果的に明晰性が保たれながらもドビュッシーらしい雰囲気がよく出ている。

 

 

テクニックのキレはいつもの彼らしく文句のつけようもないし(「妖精たちはあでやかな踊り子」「交代する三度」「花火」など)、一方でドビュッシーらしい詩的なニュアンスもよく表現されている(「月の光が降り注ぐテラス」「カノープ」など)。

ドビュッシーの前奏曲集の録音については、私は

 

●プラネス(Pf) 1985年セッション盤(Apple MusicCD

 

が大好きで、私の中でのゴールデンスタンダードになっているのだが、誇張的な表現を排した禁欲的なこのプラネス盤に比べ、今回のメルニコフ盤はより細部のニュアンス付けに富んでいる。

メルニコフは、こうした工夫をやりすぎることがときどきあるけれど(人工的すぎるというか)、今回のドビュッシーでは音楽の自然な流れも損なわれず、ちょうどいいように私には思われる。

 

 

プラネス盤が耳にこびりついている私としては、今回のメルニコフ盤がこれと同じくらい好きかといわれるともう少し聴き込んでみる必要があるけれど、少なくともそうなる可能性は十分にあると思われる。

 

 

なお、カップリングの「海」4手ピアノ版については、録音自体かず少なく貴重であり、演奏も素晴らしく、こちらもオススメである。

 

 


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