(行ってみたい演奏会 その38 フルトヴェングラーのストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

前回までと同様、「もしもタイムマシンがあったなら行ってみたい演奏会」シリーズの続きを書きたい。

これまで、フルトヴェングラーの指揮によるコンサートがもし聴けたならということで、彼の振るベートーヴェン、ヴァーグナー、ブラームス、ブルックナー、マーラー、R.シュトラウス、チャイコフスキーについて書いてきた。

最近は、フルトヴェングラーの振るストラヴィンスキーについて書いている。

今回は、フルトヴェングラーの指揮によるストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」を取り上げたい。

今回もこれまでと同様、フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルの演奏による、ベルリンでの演奏会で、かつ1929~1934年頃に行われたもの(できれば1929年のもの)から探してみたいと思う(その理由はこちら)。

 

 

探してみると、下記の演奏会があった。

 

1931年10月11、12日、ベルリン

指揮:フルトヴェングラー

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

プログラム

Brahms: Variationen über ein Thema von Haydn

Schubert: Symphony No. 8

Glazunov: Violin concerto (Erica Morini)

Stravinsky: Petrushka

 

ブラームスの「ハイドン変奏曲」、シューベルトの交響曲第8番「未完成」、グラズノフのヴァイオリン協奏曲、そしてストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」。

グラズノフの協奏曲のソリストは、エリカ・モリーニ。

なかなか盛りだくさんのコンサートで、楽しそうである。

 

 

ただしタイムマシンはまだないし、またこの演奏会のライヴ録音も残されていないので、代わりに下記の録音を聴いた。

 

●ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1943年12月12~15日ベルリンライヴ盤(CD

●シューベルト:交響曲第8番「未完成」 フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1950年1月19~21日セッション盤(NMLApple MusicCD

●グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲 モリーニ(Vn) フリッチャイ指揮ベルリン放送響(旧RIAS響) 1958年10月セッション盤(NMLApple MusicCD

 

 

モリーニとフルトヴェングラーの取り合わせによるグラズノフのヴァイオリン協奏曲の録音は残されていないため、モリーニによる別録音を聴いた(フルトヴェングラーによるこの曲の録音はなし)。

モリーニが弾くと(フリッチャイの指揮も相まって)この曲はロシアロシアせず、それがなかなか良い。

オイストラフのような濃厚なロシア・ロマンも大好きだけれど。

 

 

ブラームスの「ハイドン変奏曲」は、つい先日ウィーン・フィルとのセッション盤を挙げたので(そのときの記事はこちら)、今度はベルリン・フィルとのライヴ盤にした。

音質は劣るけれど大変な熱演で、吉田秀和が「世界の指揮者」で指摘したように、まるでヴァーグナーの「トリスタン」第1幕前奏曲のようなロマン的精神の飛翔を聴くことができる。

 

 

シューベルトの「未完成」は、今さら言うまでもない名盤。

冒頭の低弦からして、他の誰の演奏とも全く違う、恐ろしいほど緊張感のみなぎった弱音である。

シューベルトからかくもデモーニッシュな要素を引き出しうるとは。

もうほとんどシューベルトには聴こえないほどである。

1950年という、フルトヴェングラーが晩年の様式に入っていくぎりぎり前で、かつ録音の音質が飛躍的に向上しつつある時期だったのも、幸いしている。

 

 

そして、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」。

この曲は「火の鳥」同様、残念なことにフルトヴェングラーによる録音が存在しない。

フルトヴェングラーは、1948年のザルツブルク音楽祭でこの曲を取りあげた(オーケストラはウィーン・フィル)。

彼の戦後のザルツブルク音楽祭の録音はほとんど残されているのに、1948年のこの日のコンサートの録音は残っていないようである。

この日のプログラムには他にも、「パレストリーナ」の3つの前奏曲や「英雄の生涯」という興味深い曲が含まれていた。

録音が残っていないのは残念すぎる!

フルトヴェングラーの振った「ペトルーシュカ」、ずっしりしすぎて躍動感も何もあったものではなかったかもしれないが、なんとも聴いてみたかった…。

 

 


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