(行ってみたい演奏会 その36 フルトヴェングラーのチャイコフスキー交響曲第6番) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

前回と同様、「もしもタイムマシンがあったなら行ってみたい演奏会」シリーズの続きを書きたい。

これまで、フルトヴェングラーの指揮によるコンサートがもし聴けたならということで、彼の振るベートーヴェン、ヴァーグナー、ブラームス、ブルックナー、マーラー、R.シュトラウスについて延々と書いてきた。

そして最近は、チャイコフスキーについて書いている。

今回は、フルトヴェングラーの指揮によるチャイコフスキーの交響曲第6番を取り上げたい。

今回もこれまでと同様、フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルの演奏による、ベルリンでの演奏会で、かつ1929~1934年頃に行われたもの(できれば1929年のもの)から探してみたいと思う(その理由はこちら)。

 

 

探してみると、下記の演奏会があった。

 

1932年2月16日、ベルリン

指揮:フルトヴェングラー

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

プログラム

Brahms: Variationen über ein Thema von Haydn

Wagner: Siegfried-Idyll & der fliegende Holländer, Overture

Tchaikovsky: Symphony No. 6

 

ブラームスの「ハイドン変奏曲」、ヴァーグナーの「ジークフリート牧歌」と「さまよえるオランダ人」序曲、そしてチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。

王道のプログラムである。

なお、この直前の2月14、15日にはブルックナーの交響曲第9番とベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番(ピアノはシュナーベル)を演奏している(その記事はこちら)。

また、この直後の2月18日にはシューベルトの「未完成」やベートーヴェンの交響曲第7番を演奏している。

いずれも、ベルリンである。

フルトヴェングラー&ベルリン・フィルが連日このようにバラエティ豊富なコンサートをやっているなんて、なんて贅沢な環境なのだろう。

この3種の演奏会を全て聴いて、またヴァイマール共和国末期のベルリンの文化的活況を見てまわって、4泊5日くらいで帰ってくるようなツアーをぜひやりたいものである!

 

 

ただしタイムマシンはまだないし、またこの演奏会のライヴ録音も残されていないので、代わりに下記の録音を聴いた。

 

●ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1949年3月30日、4月2日セッション盤(NMLApple MusicCD

●ヴァーグナー:ジークフリート牧歌 フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1949年2月16、17日セッション盤(NMLApple MusicCD

●ヴァーグナー:「さまよえるオランダ人」序曲 フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1949年3月30、31日、4月4日セッション盤(NMLApple MusicCD

●チャイコフスキー:交響曲第6番 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1938年10、11月セッション盤(NMLApple MusicCD

 

 

ブラームスの「ハイドン変奏曲」と、ヴァーグナーの2曲は、いずれも1949年の2~4月にウィーン・フィルと録音された状態の良いセッション盤である。

いずれもフルトヴェングラーの得意とした曲であり、広くお勧めしたい名盤である。

 

 

そして、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。

フルトヴェングラーの戦前の代表的な録音である。

フルトヴェングラーは1937年頃にDGからEMIに契約を変更して、ベートーヴェンの交響曲第5番や、ヴァーグナーの「トリスタン」「パルジファル」の第1幕前奏曲などを録音したのち、1938年にこのチャイコフスキーの「悲愴」を録音することとなった。

「運命」や「トリスタン」に続いて録音されたことからも、「悲愴」がとりわけフルトヴェングラーの得意とする曲だったことが窺える。

演奏は、全く素晴らしい。

ドイツ的に過ぎる、という意見もあるだろうが、私にはしっくりくる。

重厚でロマンティックでスケールの大きい、最高の名盤である。

上記の演奏会のわずか6年後の録音であり、かつ同じベルリン・フィルであるため、きっとよく似た演奏だったことだろう、と思いを馳せることができる。

 

 


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