今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
前回はフルシャの話題で1回飛んでしまったが、今回は前々回までと同じく、「もしもタイムマシンがあったなら行ってみたい演奏会」シリーズの続きである。
今回は、フルトヴェングラーの指揮によるブルックナーの交響曲第9番を取り上げたい。
今回もこれまでと同様、フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルの演奏による、ベルリンでの演奏会で、かつ1929~1934年頃に行われたもの(できれば1929年のもの)から探してみたいと思う(その理由はこちら)。
探してみると、下記の演奏会があった。
1932年2月14、15日、ベルリン
指揮:フルトヴェングラー
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
プログラム
Beethoven: Piano concerto No. 1 (Arthur Schnabel)
Bruckner: Symphony No. 9
ブルックナーの交響曲第9番だけでなく、アルトゥール・シュナーベルとの共演によるベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番が聴ける、魅力的なコンサートである。
ただしタイムマシンはまだないし、またこの演奏会のライヴ録音も残されていないので、代わりに下記の録音を聴いた。
●ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 シュナーベル(Pf) サージェント指揮ロンドン響 1932年3月23日セッション盤(NML/Apple Music/CD)
●ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 エッシュバッハー(Pf) フルトヴェングラー指揮ルツェルン祝祭管 1947年8月27日ルツェルンライヴ盤(NML/Apple Music)
●ブルックナー:交響曲第9番 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1944年10月7日放送録音盤(NML/Apple Music)
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番については、フルトヴェングラーとシュナーベルの共演による録音が残されていないため、代わりにそれぞれ別々の録音を聴いた。
フルトヴェングラーが振ると、ベートーヴェン初期のピアノ協奏曲であっても、まるで「英雄」交響曲か何かのように立派で感動的である。
フルトヴェングラー盤のソリストであるエッシュバッハーはよく知らない人だが、1912年生まれのスイスのピアニストであるらしい。
この録音で聴く限り、シュナーベルほどの「巨匠」感はないにしても、なかなかに美しい演奏だし、テクニック的にはシュナーベルよりややスムーズである。
とはいえ、やっぱりフルトヴェングラーとシュナーベル、巨匠同士の邂逅を聴いてみたかった。
ブルックナーの交響曲第9番のほうは、フルトヴェングラーの残された唯一の同曲録音である。
これ一種だけでも特に不満を感じないような、ブルックナー最後の交響曲にふさわしいダイナミックな名演である。
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