(行ってみたい演奏会 その37 フルトヴェングラーのストラヴィンスキー「火の鳥」) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

前々回までの記事と同様、「もしもタイムマシンがあったなら行ってみたい演奏会」シリーズの続きを書きたい。

これまで、フルトヴェングラーの指揮によるコンサートがもし聴けたならということで、彼の振るベートーヴェン、ヴァーグナー、ブラームス、ブルックナー、マーラー、R.シュトラウス、チャイコフスキーについて書いてきた。

前回はチャイコフスキーについて書いたということで、次はロシア物つながりで、ストラヴィンスキーへ。

フルトヴェングラーとストラヴィンスキーというと、音楽的に水と油のようなイメージがあるけれど、フルトヴェングラーはストラヴィンスキーの曲を頻繁にとは言わないまでもそれなりに振っていたようである。

 

 

今回は、フルトヴェングラーの指揮によるストラヴィンスキーの「火の鳥」を取り上げたい。

今回もこれまでと同様、フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルの演奏による、ベルリンでの演奏会で、かつ1929~1934年頃に行われたもの(できれば1929年のもの)から探してみたいと思う(その理由はこちら)。

 

 

探してみると、下記の演奏会があった。

 

1929年1月20、21日、ベルリン

指揮:フルトヴェングラー

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

プログラム

Schumann: Symphony No. 3

Brahms: Violin concerto (Fritz Kreisler)

Stravinsky: The Firebird

 

シューマンの交響曲第3番、ブラームスのヴァイオリン協奏曲、そしてストラヴィンスキーの「火の鳥」。

ブラームスの協奏曲のソリストは、大御所フリッツ・クライスラー。

そして、この2人の共演は、これが最初で最後だったようである。

 

 

 

ただしタイムマシンはまだないし、またこの演奏会のライヴ録音も残されていないので、代わりに下記の録音を聴いた。

 

●ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 クライスラー(Vn) ブレッヒ指揮ベルリン国立歌劇場管 1927年セッション盤(NMLCD

●ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 メニューイン(Vn) フルトヴェングラー指揮ルツェルン祝祭管 1949年8月29~31日セッション盤(NMLApple MusicCD

 

(なお、シューマンの交響曲第3番とストラヴィンスキーの「火の鳥」は、おそらくフルトヴェングラーによる録音が残されていないため割愛)

 

 

クライスラーとフルトヴェングラーの取り合わせによるブラームスのヴァイオリン協奏曲の録音は残されていないため、それぞれ別々にクライスラーによる録音、フルトヴェングラーによる録音を聴いた。

これらについては、今さら書くまでもないような名盤である。

特に、フルトヴェングラーのほうの録音は、彼が振ると協奏曲の演奏がいかに充実したものになるかということの好例となっている。

 

 

肝心の「火の鳥」の録音がないのが残念である。

フルトヴェングラーは、ストラヴィンスキーの作品の中でも、この「火の鳥」をとりわけ頻回に取り上げたようであり、きっと得意曲だったのだろう。

確かに、他のストラヴィンスキー作品に比べると、フルトヴェングラー流の物々しい演奏がまだ合いそうな曲ではある。

上記演奏会に近い時期の「火の鳥」の録音としては、フリート指揮ベルリン・フィルやE.クライバー指揮ベルリン国立歌劇場管のものなどがある(ともに1928年)。

これらも個性的な演奏だけれど、フルトヴェングラーの解釈はきっと全然違っただろう。

「魔王カスチェイの凶悪な踊り」の音楽など、まるで「ラインの黄金」の地底の国ニーベルハイムの音楽のような、凄まじいものだったのではないだろうか。

ぜひ聴いてみたかった…。

 

 


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