今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
いきなりだが、名ピアニストのツーショット写真を探してみた。
管弦打楽器奏者と違って、ピアニスト同士でアンサンブルするという機会は少ない(2台ピアノや連弾はそれほど多くない)。
そのため、ピアニスト+ヴァイオリニストなどの写真は多いのに対し、ピアニスト+ピアニストの組み合わせの写真は少ないような気がする。
どんな写真が存在するだろうか。
勝手ながら、今回見つけた10組20名の名ピアニストたちの写真を紹介したい。
①セルゲイ・ラフマニノフ(左)とヴラディーミル・ホロヴィッツ(右)
(画像はこちらのページからお借りしました)
1942年の写真と推定される、とのこと。
とすると、ラフマニノフ69歳、ホロヴィッツ39歳。
この2人はかなり深い親交があったよう。
ラフマニノフの組曲を共演したこともあったのだろうか?(すごい演奏になりそう)
なお、真ん中の人はウォルト・ディズニーとのこと。
②アルフレッド・コルトー(左)とヴィルヘルム・ケンプ(右)
(画像はこちらのページからお借りしました)
この2人、とても親しそうである。
接点があったことすら知らなかった。
「久しぶり~!」とでも言っているのだろうか。
共演するとしたら、ヴァーグナーの楽劇のピアノ連弾版とか?
③スヴャトスラフ・リヒテル(右)とアルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ(左)
(画像はこちらのページからお借りしました)
これもまたすごい取り合わせである。
一触即発、と思いきや意外にもにこやか。
共演は、…きっとしていないだろうな(そう簡単には共演しなさそうな2人である)。
④フリードリヒ・グルダ(奥)とマルタ・アルゲリッチ(手前)
(画像はこちらのページからお借りしました)
グルダとアルゲリッチは、一時期、師弟関係にあった。
おそらく、その頃の写真だろう。
この写真の女性は、若すぎて少し自信がないけれど、たぶんアルゲリッチなのだろう。
アルゲリッチは、「グルダのモーツァルトは最高だった」とよく言っている。
この頃、モーツァルトの連弾曲を共演したこともあったかもしれない。
⑤クラウディオ・アバド(左)とマウリツィオ・ポリーニ(右)
(画像はこちらのページからお借りしました)
アバドは指揮者ではないか、と言われるかもしれない。
しかし、アバドは実は大変な名ピアニストだったようで、1955年夏にザルツブルクでグルダが開いた講習会では、最優秀の成績を取ってピアノ協奏曲を披露したらしい(このときのピアノ伴奏担当はなんとアルゲリッチ! このとき彼女はまだ14歳だったので、彼女が最優秀を取らなかったのは仕方がない)。
アバドのピアノ、聴いてみたかった。
ともあれ、この写真は1975年の撮影とのことなので、アバド42歳、ポリーニ33歳くらい。
この2人が公にピアノで共演したとは考えにくいが、私的な場では何か一緒に弾いたかもしれない(それこそピアノ協奏曲など?)。
なお、真ん中の人は作曲家のルイジ・ノーノ。
⑥マレイ・ペライア(真ん中)とアンドラーシュ・シフ(左)
(画像はこちらのページからお借りしました)
2人とも若い!
この2人も、親交があったのか。
共演はどうだろう、あまりしているイメージがないけれど。
この2人で、バッハの2台チェンバロ協奏曲やモーツァルトの2台ピアノ協奏曲を弾いてほしい。
⑦マルカンドレ・アムラン(左)とレイフ・オヴェ・アンスネス(右)
(画像はこちらのページからお借りしました)
この2人はすでに共演していて、CDも出ている(「春の祭典」など)。
ただ、このCDが出るまでは接点があるとは知らなかった。
現在聴くことのできるピアノ・デュオの中でも、トップクラスに位置するものの一つだろう。
⑧エリック・ル・サージュ(右)とフランク・ブラレイ(左)
(画像はこちらのページからお借りしました)
現代フランスを代表するピアニストである、この2人。
彼らもすでに共演していて、モーツァルトのCDが出ている。
この写真でも、そろって白いTシャツを着て、楽しそうに連弾している。
⑨山本貴志(右)と佐藤卓史(左)
(画像はこちらのページからお借りしました)
我らが日本の誇るピアニスト、「たかし」ペア。
2008年共演時の写真。
この9年後、2017年共演時の写真もある。
(画像はこちらのページからお借りしました)
2人とも、変わったような、変わっていないような。
2017年のほうの演奏会は私も聴きに行ったけれど、すごかった(そのときの記事はこちら)。
ワルシャワで学んだ山本貴志と、ハノーファーやウィーンで学んだ佐藤卓史、音楽性の全く異なる2人の、丁々発止の競演。
控えめに言っても、日本最高レベルのピアノ・デュオである。
⑩チョ・ソンジン(左)と小林愛実(右)
(画像はこちらのページからお借りしました)
現代を代表する若きショパン弾きの2人。
和気あいあいとしている。
こんな写真もある。
(画像はこちらのページからお借りしました)
とても仲が良さそう。
歳も近いし(1歳違い)、意気投合している。
若い2人だが、きっとあと半世紀もすると押しも押されもせぬ巨匠になって、今のポリーニとアルゲリッチのようになるのだろう。
(画像はこちらのページからお借りしました)
アルゲリッチとポリーニも、1歳違いである(なお、右に写っているバレンボイムも同じくらいの歳)。
ポリーニはジュネーヴコンクールのとき(ショパンコンクールよりも前の1957年。彼らは15~16歳)、アルゲリッチの演奏を一番前の席で聴いて大きな拍手を贈り、そのことをアルゲリッチ自身も知っていて感謝したという。
こういう絆って、何だかとてもいい。
上記の若い2人にも、同じような絆が生まれて、これから半世紀たっても、それ以上の年月が流れても、ずっと続いていくのだとしたら、素晴らしいことだと思う。
番外編
後列左からエリック・ルー、チョ・ソンジン、ドミトリー・シシキン。
前列左からケイト・リウ、小林愛実、イーケ・トニー・ヤン。
(画像はこちらのページからお借りしました)
2015年ショパンコンクールの上位者が勢ぞろいしている(リシャール=アムランだけどこかに行ってしまい写っていないが)。
これだけの名ピアニストが一堂に会して一つの写真に写るのは、なかなかない機会かもしれない。
あたかも、こんな感じではなかろうか。
(画像はこちらのページからお借りしました)
20世紀前半を代表する5大指揮者がそろった写真。
さすがに、これとはちょっと違うか…。
それでも半世紀後には、「この6人が一つの写真に写っているなんて貴重!」と言っているかもしれないのである。
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