(行ってみたい演奏会 その34 フルトヴェングラーのチャイコフスキー交響曲第4番) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

また少し間が空いてしまったが、「もしもタイムマシンがあったなら行ってみたい演奏会」シリーズの続きを書きたい。

これまで、フルトヴェングラーの指揮によるコンサートがもし聴けたならということで、彼の振るベートーヴェン、ヴァーグナー、ブラームス、ブルックナー、マーラー、R.シュトラウスについて延々と書いてきた。

ここで少し趣向を変えて、独墺系からロシア系に移りたい。

フルトヴェングラーの振る、チャイコフスキー。

彼のチャイコフスキーはロシアの指揮者とはまた違った、何とも重厚な解釈だけれど、これはこれでチャイコフスキーの魅力をしっかり汲み取っていると私は思う。

 

 

というわけで今回は、フルトヴェングラーの指揮によるチャイコフスキーの交響曲第4番を取り上げたい。

今回もこれまでと同様、フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルの演奏による、ベルリンでの演奏会で、かつ1929~1934年頃に行われたもの(できれば1929年のもの)から探してみたいと思う(その理由はこちら)。

 

 

探してみると、下記の演奏会があった。

 

1931年1月25、26日、ベルリン

指揮:フルトヴェングラー

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

プログラム

Kodaly: Sommernacht/Summer night (UA)

Schubert: Sonata for Arpeggione (Gaspar Cassado)

Tchaikovsky: Symphony No. 4

 

ちょっと変わったプログラムである。

コダーイは、「夏の夕べ」だろうか。

シューベルトは、おそらくカサド編曲の「アルペジョーネ協奏曲」だと思われる。

これらと、チャイコフスキー交響曲第4番との組み合わせ。

とりとめがないといえばそうだけれど、でもぜひ聴いてみたいコンサートである。

 

 

ただしタイムマシンはまだないし、またこの演奏会のライヴ録音も残されていないので、代わりに下記の録音を聴いた。

 

●チャイコフスキー:交響曲第4番 フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1951年1月4、8~10日セッション盤(Apple MusicCD

 

(なお、コダーイとシューベルトは、おそらくフルトヴェングラーによる録音が残されていないため割愛)

 

 

ずっしりと重厚でスケールの大きい演奏。

ムラヴィンスキーや他のロシア人指揮者たちの一気呵成の演奏とは違って、重々しいところから少しずつ少しずつ盛り上がっていき、最後には爆発的な熱狂を迎える。

まるでベートーヴェンの第九か、あるいはヴァーグナーの「ヴァルキューレ」第1幕のようなフルトヴェングラーのこのやり方は、チャイコフスキーらしい演奏とはいえないかもしれないけれど、あまりに感動的で一度聴くと病みつきになってしまう。

そして、ウィーン・フィルの美しい音色。

もし上記演奏会のようにベルリン・フィルだったならば、さらにすさまじい演奏だっただろうけれど、ウィーン・フィルならではの味わいも捨てがたい。

それに、フルトヴェングラーによるこの曲の演奏が、状態の良いセッション録音で残されているというだけでも、感謝するより他にない。

私にとっては、この曲の最高の名演である。

 

 


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