(小林愛実の新譜 ショパン ピアノ・ソナタ第2番 リスト 巡礼の年 第2年「イタリア」より) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想でなく、別の話題を。

好きなピアニスト、小林愛実の新譜が最近発売された(Apple MusicCD)。

ショパンのソナタ第2番と、リストの巡礼の年 第2年「イタリア」の後半部分が収録されたアルバムである。

詳細は下記を参照されたい。

 

 

 

 

 

日本を代表する若手ピアニスト、小林愛実
ワーナークラシックス、インターナショナル契約第1弾


その桁外れの実力から一躍脚光を浴びながら、14歳で天才少女として旧EMIレーベルより鮮烈なデビューを果たした小林愛実。カーネギーホール等の世界の檜舞台に立ち続け、更なる研鑽を積むために活動の拠点をアメリカに移し、カーティス音楽院に籍を置きながら演奏活動の幅を広げています。
 旧EMIレーベルよりリリースした2枚目のアルバム「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ『熱情』」から6年が経つ2017年、脱皮した蝶のように、天才少女から若手女流ピアニストへと目覚ましい進化を遂げた小林は、得意とする2人の作曲家、ショパンとリストの深い理解を要する難曲かつ名曲を選曲録音。その待望のニューアルバム「ニュー・ステージ~リスト&ショパンを弾く」は、ワーナークラシックス・インターナショナル契約第1弾にふさわしい内容です。(輸入元情報)

【収録情報】
●ショパン:ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調 op.35
●リスト:ペトラルカのソネット第47番、第104番、第123番(巡礼の年 第2年『イタリア』 S.161より)
●リスト:ダンテを読んで-ソナタ風幻想曲(巡礼の年 第2年『イタリア』 S.161より)
●リスト:愛の夢 第3番変イ長調 S.541


 小林愛実(ピアノ)

 録音時期:2017年8月17-19日
 録音場所:ボストン、WGBH Fraser Performance Studio
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

 

 

 

 

 

なお、上記はHMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

聴いてみてまず最初に思ったのは、小林愛実の音の美しさはこんなものじゃない、ということ。

実演で聴ける彼女の音色の美しさの、三分の一程度しかこの録音には入っていないような気がする。

例えば先日買ったショパンコンクール in Asiaでの彼女のライヴCDは、何の変哲もない録音ではあるけれど、それでも実演での美しさの三分の二くらいは入っていたのに(このCDについての記事はこちら)。

ただ、今回の新譜は、音の明瞭度という点では当然ながら上記ライヴCDよりも上である。

また、こうしたセッション録音にありがちな人工的な残響が付加されていなさそうなのも、好感が持てる。

何度か聴いていると慣れてきて、演奏の良さが味わえるようになった。

 

 

音質については、そんなところ。

肝心の演奏のほうは、素晴らしいものだった。

ショパンもリストも、物理的な音の力強さという意味ではややおとなしいけれど(例えばダンテソナタでは、ロルティ新盤などきわめて充実した力強い音が聴ける)、表現力という点では超一流である。

彼女の演奏には、デモーニッシュな力がある。

「葬送行進曲」でもダンテソナタでも、只事ではない陰鬱な何ものかが表現されているのが分かる(上記ロルティの演奏からはこういったことは感じられず、もっと淡白な演奏。私としてはどちらも好き)。

また、3つの「ペトラルカのソネット」や、アルバムの最後にまるでアンコールのように添えられた「愛の夢 第3番」では、彼女特有の夢見るようなロマン性が遺憾なく発揮されている。

ショパン、リストともに、同曲を代表する録音の一つと言っていいのではないだろうか。

巡礼の年 第2年「イタリア」は後半のみの収録であり、できれば前半も含めて全曲録音してほしかったと惜しまれるほど。

今後も多くの曲をリリースしていってほしいものである。

 

 


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