今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
一昨日に聴いた、カンブルラン/洗足学園音楽大学管弦楽団の素晴らしい「ペトルーシュカ」が、未だに耳に焼き付いて離れない。
先日のアリーナ・イブラギモヴァの「クロイツェル・ソナタ」などもそうだが(そのときの記事はこちら)、自分の好きな曲で、自分の思うその曲の理想形に近い演奏を実演で聴くと、もうそれで心がいっぱいになってしまう。
しかし、この曲、今月下旬にはあのベルリン・フィルが演奏する。
そして、この演奏会、私は当初諦めるつもりだったが、色々あって結局行くことにしたのだった。
私がベルリン・フィルを生で聴いたのは、1回だけ。
2004年、ラトルがベルリン・フィルの常任指揮者になって初の来日時の「フィデリオ」である。
そのとき、弦の美しさに感嘆し、また第2幕のクライマックスに涙したのは覚えているのだが、ベルリン・フィルがいったいどれだけすごかったのかということについては、もう記憶がもやもやしてしまってはっきりとは思いだせない。
一方、ウィーン・フィルのほうは昨年聴いて、あまりの美しさに驚愕してしまった(そのときの記事はこちら)。
しかし、人は口々に言う、「ベルリン・フィルはもっとすごい」、と。
なんだかんだでラトル/ベルリン・フィル初来日からもう13年が経ち、来年にはラトルの契約が終了してしまう。
今回で、「ベルリン・フィル常任指揮者」としてのラトルの来日は最後になるのである。
しかも、前述のように、プログラムには私の好きな「ペトルーシュカ」が入っている。
これはもう、神様が「ゆけ」とのたまっているのかもしれない(単なる勘違い)。
ラトル/ベルリン・フィルの「ペトルーシュカ」は、どのような演奏になるだろうか。
●ラトル指揮バーミンガム市響 1986年セッション盤(NML/Apple Music)
●ハイティンク指揮ベルリン・フィル 1988年12月セッション盤(Apple Music)
前者はラトル指揮の「ペトルーシュカ」で、若々しい活気にあふれている。
私の好きなブーレーズやカンブルランのような、音の響きや調和を重視した演奏とはまた違ったタイプの演奏だが、これはこれで魅力的である。
後者はベルリン・フィルの「ペトルーシュカ」で、キレがあるというよりは、落ち着いた、丸みを帯びた演奏。
何となくほのぼのしていて、この曲がもともとバレー音楽であることが思い出される。
ただ、ベルリン・フィルはやっぱり「うまい」人たちの集団だというのは、つくづく感じさせられる。
では、ラトルとベルリン・フィルではどうなるか?
この2つの演奏を足して2で割ったような感じだろうか。
それとも、それ以上の演奏になるか。
はたまた、今回のカンブルランの演奏ほど感動できない、ということもありうるのか…。
期待と不安とが入り交じった、複雑な気分である。
いずれにしても、ラトルとベルリン・フィル、「最初」と「最後」でどう変わったのか、あるいは変わらないのか、両者ともに実演で体験できるというのは、大変嬉しい。
ラトル/ベルリン・フィルの任期最後の来日公演、心ゆくまで楽しみたい。
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