アメリカのフォートワースで開催されている、第15回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。
6月8日は、ファイナルの第2日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、これまでの記事はこちら。
Georgy Tchaidze (Russia | Age 29)
DVOŘÁK Piano Quintet in A Major, op. 81
味わいのある演奏。
やや地味な印象ではあるけれども、室内楽ではあまり主張しすぎず、これくらいにとどめておくのも良いかもしれない。
Rachel Cheung (Hong Kong | Age 25)
BRAHMS Piano Quintet in F Minor, op. 34
大変素晴らしい!
音色は取り立てて魅力的とまでは言えないけれども、音の粒立ちが良く、アーティキュレーションやフレージングにこだわりが感じられ、かつよくコントロールされている。
こういった特長が、一種独特の風格さえ伴って表現されている。
一次や二次のときはここまでの逸材とは思っていなかった。
思うに、彼女はロマン派の華美でパワフルな曲(それこそ一次での「メフィスト・ワルツ」のような)以上に、モーツァルトだとか、今回のような室内楽だとか、「味」で勝負する曲により適性があるのではないだろうか(リーズ・ドゥ・ラ・サールのようなタイプ?)。
彼女の選んだ最後のコンチェルトは、ベートーヴェンの第4番、まさに彼女の得意そうな選曲である。
もしかすると、優勝もありうるかもしれない。
Daniel Hsu (United States | Age 19)
FRANCK Piano Quintet in F Minor
こちらも素晴らしい。
情感あふれる大変美しい語り口で、なおかつそれが高度に安定したテクニックに裏付けられている。
室内楽にしてはやりすぎだ、と思う人もいるかもしれないが、これほどの表現力を前にしては、有無を言えなくなる。
全体に、室内楽では出来が良くないと思う人がいなかった。
ファイナルでは当然かもしれないが、皆レベルが高い。
そんな中でも、CheungとHsuの印象がとりわけ強く、彼らのうちどちらかが優勝する可能性が高いのではないだろうか。
それ以外では、Sunwooあたりか。
ただ、グランド・コンチェルトではどんな大どんでん返しが起こるか分からない。
2015年浜コンでのアレクサンドル・ガジェヴの優勝や、つい先日のモントリオール国際音楽コンクールでのZoltán Fejérváriの優勝も、その類だと私は思っている。
コンチェルトを鮮やかに弾ききったなら、6人のうち誰にでも優勝はありえそうである。
さて、どうなるだろうか。
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