真備駐在スタッフより① 勉強だけではない自習スペースの役割 | グッドネーバーズ・ジャパンのブログ

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こんにちは。岡山県倉敷市真備町における被災児童のための自習スペース運営に携わっている遠藤です。

 

昨年7月の西日本豪雨で被災した倉敷市真備町にて、9月より被災した中高生向けの自習スペースを運営しており、これまでにのべ約800名弱の中高生が利用してくれています。詳細はこちら

 

 

開設直後の自習スペースの建物周辺は、夜になると近隣店舗・住宅に電気がついているところはなく、前の道路を通る車もまばらで本当に真っ暗でしたが、最近は営業再開する店舗も増え、2階部分だけではなく1階にも電気が灯る住宅も見られ始めています。残念ながら取り壊された建物もありますが、段々と町としての風景を取り戻してきているように思います。


少しずつ町の風景を取り戻し始めた自習スペースの周辺

 

利用生徒のなかには、避難所(近隣小学校の体育館や公民館)や仮設住宅、一階部分が被災した自宅の二階で生活している子も多く、特にそういった子たちからは、「落ち着いて勉強する場所がないのでありがたい」、と言ってもらえるような場所を提供してこられたと感じています。あわせて、学校がプレハブ校舎であったり近くにある公立図書館も浸水被害を受け利用できなくなっていることから、生活スペースに影響がない中高生に対しても、被災前と変わらない勉強習慣を継続させることができていると思います。

 

東京や大阪からも、現役の高校教員や塾講師の方にボランティアで子どもたちに勉強を教えたいということで訪問いただきました。


大阪から塾講師の方がボランティアとして来訪

 

このように、生徒たちの本分である「勉強」に関して支援することはもちろん、彼らの様子を見て気付いた、この自習スペースのもう一つの役割があります。

それは、友だちと放課後や休日に「気軽に集まれる場所」としての役割です。

 

このスペースの主目的は自習のため、大きな声で騒いだりすることはできませんが、多くの子どもたちが友だち同士で連なって通ってくれたり、はたまた別の高校の友だちとこの自習室を集合場所にして一緒に勉強をしたり、受験について情報交換したりしている光景を見ている中で、そんなもう一つの役割を感じるようになりました。

 

倉敷市教育委員会の方によると、今回の豪雨被災による死亡児童・生徒や両親兄弟を亡くした子は幸いにもゼロだったということで、そういった意味では一番深い悲しみを経験した子はいなかったのかもしれません。それでも、まだ10代の子どもたちにとって、崩壊したり空き家のようになってしまった多くの建物や、日が暮れると真っ暗になる見慣れない“いつも”とは違う風景を見ることはどれだけのストレスや不安だっただろうと思います。

 

だからこそ、そんな中でも、“これまで通り”友だちと過ごす放課後や、勉強をするという彼らの日常を取り戻し守るための役に立てたらと考えています。そのためにも、「こんなことで将来の道を諦めたり投げ出したりしたらいけんよ!」(岡山弁で「いけん=だめ」)という想いを持って、引き続き子どもたちを見守っていきたいと思います。

自習室運営スタッフの遠藤(左)と中川(右)

 

グッドネーバーズ・ジャパンとしての復興支援は終わりが近づいています(本事業は3月末まで)が、今後とも、倉敷市真備町における自習スペース運営事業をよろしくお願い致します。