みなさん、こんにちは。サラムノ!
エチオピア駐在員の高橋と申します。
エチオピアの民族衣装を身にまとう駐在員高橋
本日2月21日はInternational Mother Language Day(国際母語デー)で、言語と文化の多様性を促進し、母国語の重要性を認識するための日としてユネスコが設定しています。言語は、持続可能な開発や対話、誰一人取り残さない包括的な社会構築において重要な役割を果たしています。
日本人にとって、母国語と言えば、一般的には「日本語」が思い浮かびます。季節や自然、文化や風景、日本の独特の美意識や感性を表現する言葉であり、また古典文学や伝統的な文化、歴史的な価値観を反映することができる日本語は、多くの日本人にとって、その豊かな文化や精神の一部を伝える手段として重要な存在です。このように言語は、歴史、文化、社会の一部として深く根付いています。
海外の旅行先で日本語を聞くとホっと安心したりしますよね。これは、言語が個人やコミュニティのアイデンティティや帰属感を強くし、文化的なつながりを感じさせる力を持っているからです。
ではエチオピアではどうでしょうか。
エチオピアには多様な言語が存在します。これは、文化や民族の豊かさを反映しています。国内で話されている言語は、約80以上で、その中でも、公用語のアムハラ語(Amharic)やオロモ語(Oromo)は多くの人が話す言語です。その他にも、ティグライ語(Tigrinya)、アファール語(Afar)、ソマリ語(Somali)、シダマ語(Sidamo)、グラゲ語(Gurage)、ワライタ語(Wolaytta)など、様々な民族グループが独自の言語を話しています。
私が住んでいる地域では、多くの人がアムハラ語とゲデオ語を話すことができます。しかし民族的にはゲデオ族が多いため、ゲデオ語がアイデンティティとして根付いています。なのでゲデオ語で挨拶すると、街の人はすぐに笑顔になり心を開いてくれます。
近所のコーヒー屋さん(私のエチオピアのお母さん)
私は、ゲデオ語はまだまだ勉強中ですが、エチオピアの公用語のアムハラ語は日常会話レベルで話すことができます。その中で私が大好きなのが、「サラムノ」という挨拶です。サラムとは平和のことです。この挨拶は直訳すると「平和ですか」となります。私はこれに文化や伝統を強く感じます。私は久しぶりにあった人にも毎日会う人にも最初の挨拶として、平和ですか、と問うエチオピアの言葉が大好きです。
一方で、エチオピアでは特定の言語が特定の民族やグループのアイデンティティと結びついていることが多く、民族間の緊張や対立が、紛争の原因となることがあります。現在私が駐在しているゲデオ県・西グジ県も、貧困や不平等、土地問題、政治的不安定などいろいろな要素を含んだ民族間の紛争があった地域です。私はこの地域で平和構築の事業を担当しています。
平和について考えるこどもたち
途上国支援において、現地の言葉を学ぶことは、ただ言葉の壁を越えること以上に大きな意味を持ちます。それは、心の壁を取り払い、人々との真のつながりを築くための鍵です。言葉を通じて彼らの喜びや悲しみ、夢や希望を共有し、彼らの生活に共感することができます。このような姿勢が、地域でニーズや課題を正確に把握し、支援活動をより効果的に計画・実施するための基盤作りに役立っていくと考えています。これからもたくさん現地語を話し、地域の人々との関係をより密接にし、信頼関係や協力関係を築いていきます!
引き続きみなさまの温かいご支援のほどよろしくお願いいたします。