グッドネーバーズ・ジャパンのブログ

グッドネーバーズ・ジャパンのブログ

~こころを守る。身体を守る。~ 
グッドネーバーズは、日本国内を含む世界40カ国以上で子ども支援、開発、緊急支援活動に取り組む国際NGOです。

こんにちは!

海外事業部、ルーマニア駐在の池田です。

 

ルーマニアのガラツィでは、ウクライナ難民の子どもたちが、長引く避難生活の中でも、質の良い学習ができるよう、提携団体ProVeritasとともに教育環境の整備を進めています。

 

今日は、ProVeritasのボランティアスタッフから届いた9月の始業式の様子のレポートをご紹介します。

 

9月18日の月曜日、新しく改装されたウクライナ難民の子どもたちのための補習校が、新学期をスタートさせました。ProVeritasとグッドネーバーズ・ジャパンの協働による数ヶ月間の改装作業を経た学校は、1年生から4年生までの44人の子どもたちを迎え入れました。

 

新校舎(後ろの建物)に集まり始業式が行われました

 

ウクライナの子どもたちとその親たちは、避難先であるルーマニアにいる中でも、ウクライナの伝統的な始業式を楽しみました。多くの子どもたちはウクライナの民族衣装を身にまとい、男の子たちはきちんとしたシャツを着て、女の子たちは蝶リボンを髪につけていました。

 

子どもたちはクラスごとに並び、名前が呼ばれると笑顔で行進しました。各クラスの子どもたちは順番にステージに立ち、詩を朗読し、先生たちに美しい花束を贈りました。

 

ステージに立ち、詩を朗読する子どもたち

 

4年生の男の子、パーシャは、ウクライナの国旗を持ち、皆の前で行進しました。これは学校を代表する栄誉ある役割で、とても誇らしげな顔をしていたのが印象的でした。

 

国旗を持つ男の子を先頭にみんなでグラウンドを行進します

 

学校の敷地に隣接する教会の牧師、学校の校長、そしてグッドネーバーズ・ジャパンのスタッフによるスピーチの後、ウクライナの国歌が演奏されました。歌が鳴り響くと、胸に手を当てながら耳を傾ける人が多く、子どもたちも親たちも故郷の国歌に誇りを持っている様子でした。

 

挨拶するグッドネーバーズ・ジャパンのスタッフ(右)

 

始業式の後、子どもたちとその親たちは新しくきらびやかな入り口を通り、きれいに塗装され、カラフルな絵が描かれた壁がある新校舎に入りました。この壁の絵は、地元ルーマニアのアーティストによって描かれており、子どもたちはその美しい絵が描かれた教室に入るととても喜んでいました。

 

地元アーティストによって描かれた教室の壁

 

「私はこの学校に戻ることができてとても嬉しい」と、4年生のクラスを教えるスヴィトラーナ先生は言いました。彼女は再び同僚の先生たちと働き、新しい生徒たちに会うことを楽しみにしているとも言い、「改装が終わった学校は去年よりも広々として明るいです。生徒たちも本当に学校が好きで、ここで学ぶことをとても嬉しく思っています。」と付け加えました。

 

また、以前はガラツィの別の学校に子どもたちを通わせていた親は、「今の学校の先生方は子どもたちへの接し方が素晴らしい。アフタースクールのプログラム内容も非常に充実しており、子どもたちは家に帰るのを嫌がるほど楽しみにしています。」と子どもが楽しくこの学校に通う様子を教えてくれました。

 

さらに、多くの親たちが、新学期前の改修が学校をより良い方向に進化させたと満足げに語ってくれました。子どもたちの親は、あたたかく明るいクラスや新たに設置された多目的ルームで子どもたちが過ごせること、学校で給食が提供されることをとても喜んでくれています。

 

ProVeritasとグッドネーバーズ・ジャパンの協働により、ウクライナの子どもたちに楽しく快適な学習環境を提供できるようになりました。

 

皆さんのご支援に感謝いたします!

 

グッドネーバーズ・ジャパンの活動報告はこちら

【エチオピア】エチオピアの文化・おもてなし ~コーヒーセレモニー~ 

 

こんにちは。

海外事業部の前田です。

 

グッドネーバーズ・ジャパンの多くの事業では、現地に日本人スタッフが駐在し、日本の本部からも定期的にスタッフが現地に出張をして事業の管理を行っています。

私も2023年3月、エチオピアにモニタリングのための出張に行ってきました。

事業地である山間の村を、駐在員や現地人スタッフと一緒に訪れました。 

 

この学校は、国内で起きた紛争の影響で、教材が壊れたり、なくなったりしています。

現在グッドネーバーズ・ジャパンでは、この学校で顕微鏡や実験道具などの教材の配付を行なっています。 

 

今回学校を訪れると、先生たちが歓迎の気持ちを込めてエチオピアの特別な行事を開いてくれました。

今回は、そのエチオピアのおもてなし文化、「コーヒーセレモニー」について動画でお届けします。 

 

 

 

農業を主要産業とするエチオピアでは、コーヒーの生産がとても盛んにおこなわれています。

エチオピアのコーヒー豆生産量はブラジル、ベトナム、コロンビア、インドネシアに次いで世界第5位であり、約6人に1人国民がコーヒー産業に従事しているとも報告されています。 

 

コーヒーがとても身近にあるエチオピア。ここで行われるのが、ゲストをコーヒーでおもてなしする、「コーヒーセレモニー」です。

エチオピアではカリオモンとも呼ばれるそうで、日本の茶道のように、ゲストに敬意や感謝の気持ちを示す伝統的な文化です。

主に女性が執り行う犠式で、今回もエチオピアの伝統的なストール、ガビを身に着けた女性がセレモニーを進めてくれました。 

 

 

コーヒーセレモニーは、生豆を水で洗うことから始まります。

きれいになった豆を焙煎し、粉状にした後コーヒーが淹れられます。

コーヒーは3杯淹れるのが作法とされており、最初の1杯は「健康のため」、2杯目は「愛のため」、3杯目は「祝福のため」とされています。 

 

参加者は豆やパン、ポップコーンをつまみ、会話を楽しみながら、3杯のコーヒーをじっくりと味わいます。

私たちもパンやポップコーンを頂きながら、現地の方から紛争のお話を伺ったり、学校での授業の状況や事業についてお話をしたりしました。

コーヒーは日本で飲むものよりも濃く、エスプレッソのようでした。

香りは強く、味わいも深くて、とても美味しかったです。

 

振舞われたポップコーン(左)と淹れたてのコーヒー(右)

 

エチオピアの人々は、いつも私たちを温かく迎え入れてくれます。

そんなエチオピアでは、現在も国内各地で紛争や干ばつの影響を受けた人道危機が続いており、食糧をはじめとするさまざまな分野での支援が必要です。

 

引き続きご支援をよろしくお願い致します。

 

こちらで「命をつなぐ支援」募金を受け付けています

エチオピア 寄付

 

こんにちは!ルーマニアに駐在している池田です。

ウクライナ及びモルドバとの国境近くにあるガラツィという都市で、ウクライナ難民支援事業を担当しています。

 

日本ではまだあまりなじみがない3月8日の国際女性(婦人)デーですが、ヨーロッパでは広くお祝いされている日で、グッドネーバーズ・ジャパンが支援しているウクライナや、事務所があるルーマニアもその例外ではありません。

 

 

【国際女性デーのはじまり】

 

この国際女性デー、起源は1908年のニューヨークの婦人参政権運動にあります。女性労働者100人以上が犠牲になった被服工場での火事が契機となってさらに運動が広がり、ヨーロッパで3月8日が「女性の政治的自由と平等のために闘う記念日」とされました。

 

ソ連では1917年の国際女性デーに合わせて行われた女性労働者のストライキから始まった運動が二月革命につながったことから、現在のロシアや旧ソ連の多くの国でも、国際女性デーは公式な祝日としてお祝いされています。(余談ですが、私が初めて「国際女性デー」という単語を聞いたのはロシア語の教科書だったのですが、このことを知って納得しました。)

 

ガラツィ事務所で一緒に働くスペイン人の同僚セバスチャンは、「スペインにいたときは、3月8日は女性の権利を求める運動やパレードに参加していた。みんなで集まって楽しんだり話し合ったりする、エンパワーされる一日だよ」と話してくれました。

 

最近では政治性を帯びない、単に女性に感謝を伝える日としてお祝いしている国も多いこの国際女性デーですが、もともと参政権や女性の権利向上を求める運動から始まった記念日とあり、それにちなんだイベントが開催される場所もあるようです。

 

さて、この記念日をどのように過ごしているのか、グッドネーバーズ・ルーマニア事務所の同僚や提携団体の職員たちに聞いてみました。

 

 

【ウクライナでのお祝い】

 

ウクライナでは国際女性デーは祝日で、男性から女性だけでなく、お母さん、おばあさん、学校の先生など、お世話になっている身のまわりの女性にお花やお菓子を渡して感謝を伝える日なのだそうです。また、日本と同じく、「母の日」は5月にあるそうですが、国際女性デーにはお母さん以外の女性も感謝を伝えられる対象になるとのこと。

 

 

ただし、2022年の戦争により非常事態宣言が出てから、記念日であることに変わりはないのですが、休日ではなくなったそうです。

 

ウクライナ人の同僚リュドミラに国際女性デーの心に残っている思い出を聞いてみたところ、子どものころ、お母さんに休んでもらいたくて、お掃除などの家事のお手伝いをしようと頑張ったことを覚えている、と話してくれました。

 

 

【ルーマニアでは3月8日は「母の日」】

 

春の訪れを感じる3月初旬は、ルーマニアでも特に女性たちが心待ちにしている時期です。ルーマニアでは3月8日は祝日ではないものの、記念日として広く認識されています。また、この日は母の日とされていて、パートナーや子どもといった近しい家族からお花やプレゼントが贈られるのだそうです。

 

ルーマニアに特有なのは、3月1日にも春の訪れのお祝いとして女性にお花やプレゼントを贈る習慣があることで、赤と白でよられたかざり紐を結んだ贈り物が渡されるそうです。この日にはクラスメート、同僚、兄弟、お父さん、さらには通りがかりの知らない人からもお花を贈られることがあるとか。

 

ルーマニア人の同僚ビアンカは、子どものころ、初めて自分のおこづかいでお母さんにプレゼントを買えるようになった年の国際女性デー(母の日)が心に残っているといいます。‘I love you’のメッセージの入ったマグカップをプレゼントしたそうで、お母さんはこのマグカップを今も大切に持っているそうです。

毎年手作りのメッセージカードにお母さんについての絵や詩を書いて贈っているそうで、3月8日は母子にとってとても大切な記念日であることがうかがえました。ビアンカによると、たとえ自宅のお庭から摘んだものであっても、プレゼントとしてお花があることが重要なのだそうです。

 

 

【避難先のルーマニアでの国際女性デー】

 

グッドネーバーズ・ジャパンが支援しているガラツィのウクライナ難民のための学校と難民センターでも、3月8日と9日にそれぞれ国際女性デー(母の日)のイベントが開催されました。

このイベントでは、ルーマニアとウクライナそれぞれの伝統的な歌やアクセサリーなどを用い、お花で作った冠を女性にプレゼントしたり、子どもたちが自作の詩や歌をお母さんに披露したり、先生たちにスピーチで感謝を伝えたりしました。

 

 

たくさんのハグやお祝いの言葉が飛び交う心に響くお祝いになり、自分たちは美しく、強く、そして愛されるべき存在であることを再確認できたと、提携団体ProVeritas(プロヴェリタス)の担当者アレクサンドラは言います。

 


 

国境を超える移動を強いられるストレスフルな環境下のなかで、ほんの束の間、ストレスから解放されるひと時を過ごせた人も多かったのではないでしょうか。

 

以上、国際女性デーの過ごし方についてお伝えしました。日本でも少しずつ認識されつつある国際女性デー、身の回りでどんなイベントや対話があるのかを知ったり、異なる国々での生活について思いをはせたりするきっかけにしていただけたらなと思います。