Ability for love
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出会い2

店の客に一通り挨拶を終わらせ、ママが戻ってきた。

「オーちゃんにこんな素敵なお友達がいたなんて!ご挨拶遅れました。ナツキです!」

40代半ばといったところか。

多少声が酒やけしてるが、スレンダーな身体は歳を感じさせない。

「御名刺頂けますか?」

私は仕事以外の場で名刺を渡すような事はあまりないが、ツレの顔を立てて名刺を一枚取り出した。

「あのー、私にも頂けませんか?」

隣に座っていた舞子が小声でささやいた。

私は一瞬躊躇ったが、断る理由も見つけられず名刺を渡した。

「ありがとうございます!」

舞子はフワリとした笑顔を浮かべ私の名刺を見つめていた。


「舞子さんお願いします。」

店のマネージャーが彼女に合図をした。

「すみません。ちょっと失礼します。あのー本当に連絡してもかまいませんか?」

「営業電話はお断りだぞ!」

「はいっ!」

彼女は目を輝かせ小さくうなずいた。

私はその瞬間何かを予感した。

自分でもそれが何かはわからない。

しかし、何かがリンクした。

何かが始まろうとしている。

出会い

舞子との出会いは、生まれ育った地方のクラブだった。

地元の知人と二人で訪れBOX席に案内された。

直ぐに20代の若い女性が2人接客にきた。

明らかに着色された長い髪は、微妙なバランスを保ちながら頭頂部にまとめられ

胸元が大きく開いたロングドレスを身に付けていた。


「お客さん、地元の方じゃないでしょ!なんか雰囲気がちがう。」

「生まれは、ここだが現在は名古屋に住んでる。」

「やっぱり!!」


どうも、この年代の女性は苦手だ。


ツレの手前場を保ったが、30分もすると苦痛になってきていた。

店のマネージャーがその様子に気付いてか、新しい女性が席についた。


「はじめまして!舞子と申します。」


色白で黒髪、

落ち着いた物腰、

30代前半か・・・。

古風な中に華やかさがある。


「おまえ、俺の理想にピッタリだ。綺麗だな。」

自然とそんな歯の浮くような言葉を口走っていた。

「本当ですか?初対面でいきなりそんな事言われたの初めてです。」

「あくまでも外見の事だ。いい絵っていうのは一瞬で人を惹きつけるもんだ。」

大きな瞳、愛嬌のある小さめの鼻、上品な口元、子供のような笑顔が年齢を判らなくさせる。

「おまえ、歳いくつだ?」

「36歳です。」

躊躇無い返答にいささか戸惑った。

「へぇ、意外といってんだな。」

正直な意見だ。

「子供は?」

「いません。バツもありません。」

以外だった。

なぜ、これ程の女性に縁が無かったのだろう・・・。

「長い間辛い恋でもしてたのか?」

「どういう意味ですか?」

キョトンとした顔で俺の顔を覗き込む

「報われない恋、不倫とかが長かったのか?」

「そんな事も全くありません。」

彼女は再び子供のような笑顔を浮かべた。




彼女の龍 8

ホテルの部屋はツインベットルームになっていた。

以前シングルを予約したが、あまりの窮屈さに耐え切れず叫び、デラックスダブルに変えてもらった事があった。

その出来事が私のカルテに残っているのか、予約を入れると必ずツインもしくはダブルを勧められるようになった。



私はこのホテルグループをいつも利用していた。

利用し始めてわかったことだが、創業者は同郷らしい。

部屋にはお勧めの本として、


「大東亜戦争は侵略戦争ではない!」


とする論文を書いて問題となった、元自衛隊航空幕僚長の書籍が置いてある。


私はこの論文を肯定も否定もしないが、ホテルという公共の施設の経営者でありながら、堂々と自分の考えを主張する社長の姿勢を評価していた。

最近はこういう経営者、政治家が本当に少なくなったと思う。



ゆきこは、入り口に近いベットに座っていた。

私は、冷蔵庫の中から缶ビールを二本とりだした。


「飲むか?」


「・・・・・・。」


ゆきこは黙ってビールを受け取った。

爪に施されたネールアートの為、プルトップを起こすのに戸惑っている様子だった。


「かしてみろ。」


ゆきこは、私の提案を体をよじって拒否し、頭の髪留めを外した。


長い髪が肩に届いた。


ヘアスプレーの残った髪は完全に解ききれないままあらゆる方向に広がっていたが、彼女はそんな事は気にもとめず外した髪留めでプルトップを起こしていた。


「プシュー!」

缶からガスが抜ける音聞くと彼女は達成感からか、


「ふぅー」

大きく息を吐き一気にビールを流し込んだ。


彼女は勢い余って口角から流れ出たビールを手の甲で拭いながら私を真っ直ぐに睨みつけた。

その目は、パンチをもらったボクサーが「よくも当てたな次は俺の番だ!」と、今にも殴りかかってきそうな勢いだ。


「シャワー貸して!」


身構える私をあざ笑うように口元だけに笑みを浮かべ、私の返事(意見)は聞かぬままシャワールームのドアを閉めた。




私は、窓際のソファーに座り腕時計を外した。

パネライ ルミノール マリーナ

裏蓋には私と妻のイニシャルが彫られている。

私がヤクザを辞めサラリーマンになった時に妻がプレゼントしてくれたものだ。

革ベルトも大分痛んできた。


ビールを口に流し込みふと窓の外をみると、さっきまで歩いていた繁華街のネオンが輝いていた。星空

この街も私が住んでいた頃と比べると大分変わった。





「ねぇ、今日わたしここに泊まってもいい?」


振り返るとバスローブ姿でゆきこが立っていた。


「どうせベット一つあいてるんでしょ?」


化粧が落ち、濡れた髪の顔にはまだ少しあどけなさが残っていたが、化粧をしたそれとは別の次元の美しさがあった。


「シャワーを浴びる、好きにしろ!」


私は少し高ぶった気持ちを悟られないように勤めて大人の男を装った。ガーン




シャワー室に入ると、彼女が使った歯ブラシ、コップ、シャンプー、リンス等が綺麗に並べてあった。


私は少しでも酒を抜く為にお湯の温度を高くした。

できるなら、サウナに入りたかったがしかたがない。


私はシャワーを浴びながら、ゆきこの裸体を想像していた。



首から肩のライン


脇から胸のふくらみ


その中心にある突起


くびれた腰のライン


ハート型に張り詰めた臀部


長くしなやかに伸びた脚



深酒のはずなのに私の体も反応していた。


私はシャワーを冷水に切り替え、気持ちの高ぶりを抑えた。










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